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マスメディア批判

戦闘機輸出の意義
日本の安全保障に貢献

 

現実路線の産経・読売の姿勢

偽善的平和主義の朝日・毎日

 

  国際共同開発の防衛装備品の第三国輸出をめぐり、自民と公明両党は日英伊3カ国が共同開発する次期戦闘機に限って認めることで合意した。今回の合意を受け、政府は防衛装備移転三原則の運用指針改定を閣議決定する。新聞各紙の社説での合意に対する反応は予想された通りとなった。産経・読売と朝日・毎日とでは評価が大きく分かれている。

 産経(3/17)は「輸出を実現すれば、調達単価を低減できる。安全保障上の同志国を増やすことにもつながる。力による現状変更を志向する中国などへの抑止力が高まり、日本の守りに資する」と高い評価だ。「本来は、次期戦闘機に限らず一般的な原則として輸出解禁に踏み切るべきだった。煩雑な手続きを嫌って日本との共同開発をためらう国が現れれば、日本の平和と国益が損なわれる」として、政府を後押しする姿勢を示している。読売(3/16)は「装備品の輸出を制限してきた日本は、殺傷能力のある完成品の輸出先を、原則として同盟国である米国と、国際共同開発の相手国に限ってきた。次期戦闘機について、これまでの方針を見直さなければ、日本は英伊両国に技術を提供するだけで、共同開発のメリットを得られなくなる可能性があった」としたうえで、「大事なことは、世界の平和のために日本の技術をどう生かすか、という視点に立ち、装備品の輸出の是非を判断することだ」と述べ、政府に前向きな注文を付けている。

 それに対して、朝日と毎日は日本が殺傷能力を持つ次期戦闘機を他国に輸出することに強烈な批判を展開している。

 朝日(3/27)は「昨年末に、米国企業のライセンスを得て日本国内で製造された地対空ミサイル『パトリオット』の米国への輸出を可能にするなど、殺傷能力のある兵器の完成品の輸出に一部道が開かれていたが、戦闘機までとなると、完全に一線を越えたといえる」と断じている。日本の輸出産業の花形である自動車だって人身事故を起こせば、戦闘機と同じく殺傷兵器ではないのか。一方で、戦闘機も使用目的は幅広いので、殺傷兵器以外として使用されることもあるはずだ。毎日(3/27)は「コスト低減や交渉力保持のために、共同開発国の主張に合わせて武器輸出の重要な原則を曲げるのでは本末転倒だ。国の安全保障政策の根幹に関わる問題を、なし崩しで判断すべきではない」というが、果たしてそうだろうか。毎日の姿勢は「国の安全保障政策の根幹」の意味を履き違えているようにしか見えない…。

 朝日・毎日は政府がどのような歯止めをかけようが、難癖を付けて反対するだろう。

 産経が「日本が侵略される場合、殺傷力のある防衛装備品を提供する国が現れなければ、自衛官や国民の命が一層多く失われかねない。米欧がウクライナへ火砲や弾薬など防衛装備品を提供しなければ侵略者ロシアが凱歌をあげるだろう」と述べている。

 まさに正論だ。

 日経6日付朝刊によれば、習指導部12年間の活動報告に見るキーワードを分析したところ、今年は「安全」が29回と過去最高の頻度だった。裏返せば、それだけ不安が一杯ということであろう。

 発表は裏を読み、逆を想像し、発表されないことに注目する。全人代が強く示唆する中国報道の肝と言える。

(濱口 和久)週刊「世界と日本」第2267号

 

中国全国人民代表大会
会期半減、進む形骸化

 

党の統制強化、首相は格下

習が「弱い指導者」の理由

 

 3月11日、7日間の日程を終え閉幕した全人代(国会に相当)のニュースは、ちょうど東日本大震災13年に米アカデミー賞の日本作品W受賞も重なり、12日の新聞各紙もテレビもトップ扱いではなく、朝日や読売では国際面のトップですらなかった。

 だがより根本的な理由は、閉幕後の恒例の首相会見が今年から廃止されたことだろう。都合の悪い話は聞かれたくも書かれたくもない習近平政権には、むしろ思惑通りだったかもしれない。

 李強首相の政治活動報告は、初めてにも拘らず過去30年の歴代首相で最短。中身も《不動産業をどう立て直すのか。地方債務の問題をどう解決するのか。政府活動報告から、そうした疑問への答えは読み取れなかった》(日経3月6日付朝刊)。

 記者会見廃止や最短演説を《北京の外交筋は「習氏の側近である李強首相は、自分が習氏より目立つことを避けたのではないか」との見方を示す》(読売3月12日付朝刊)。

 時事ドットコム3月6日も《「習氏は格下の首相による対外発信を快く思っていない」(外交筋)という指摘が以前から出ていた》と伝えた。

 2週間前後あった会期も半減した。《1週間の会期を振り返ると、外国、特に西側メディアが質問する機会は従来より目に見えて減少した。共産党の「喉と舌」と位置づけられる国内メディアを通じ、指導部が知らしめたい情報を一方的に発信するプロパガンダ色が強まった…》(毎日デジタル3月11日)。

 また朝日3月12日付朝刊によれば、政府活動報告など表決に掛けられた7議案の反対票は最多で44票。どの議案も3桁の反対票があった習政権発足時の2013年とは大きく様変わりした。さらに「国務院は中国共産党の指導を堅持する」ことを明文化、党の政府に対する統制を強める「国務院組織法」の改正案も可決した。

 以上の報道から見えるのは、共産党指導の強化と優位性、全人代と首相職の形骸化、そして《習氏へ権力集中鮮明》(読売12日)《習氏1強体制盤石に》(日経6日)だ。

 だが取材や報道の自由がない中、それらが額面通りであると検証出来るのか。習氏一強体制は本当に盤石と言えるのか。全人代の中身同様に不透明と言わざるをえない。

 産経12日付《習氏が「弱い指導者」の理由》は習氏の一元的体制は完成したものの、「結局、習氏が強いのは党と国家の官僚機構の中だけ。自分の指示命令で必ずしも物事が動かない経済や社会の領域では非常に弱い所がある」との大東文化大の鈴木隆教授の見方を紹介している。

 日経6日付朝刊によれば、習指導部12年間の活動報告に見るキーワードを分析したところ、今年は「安全」が29回と過去最高の頻度だった。裏返せば、それだけ不安が一杯ということであろう。

 発表は裏を読み、逆を想像し、発表されないことに注目する。全人代が強く示唆する中国報道の肝と言える。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2266号

 

株価のバブル期越え
けん引役は海外投資家

 

果実を投資と賃上げに

不十分な米株高との関連性

 

 2月22日、日経平均株価がバブル期最高値の3万8915円を越え、3万9000円台を記録した。全国紙は、当日のオンライン版や翌日の社説でこぞってこれを取り上げた。テレビ放送でもニュースとして即時報道した。株価は23日以降も上昇基調にある。

 この場合、一般読者がマスメディアに期待するのは、株価上昇の要因は何か、バブル期との違いは何か、株価上昇は経済にどう影響するかといった論点の解説であろう。

 日本の年初来の株価上昇は「主要国の中でトップ」で、その「けん引役は海外投資家の買い」である(ブルームバーグ2/22)。これを補足する形で、日経(2/22電子版社説)は、世界で稼ぐ企業によるけん引、海外投資家による日本株の再評価、半導体関連等の日本企業の台頭などが株価上昇の要因であるとした。さらに産経(2/23主張)は、中国経済の停滞に伴う海外投資家の中国から日本への資金移動、値上げの浸透や円安による海外収益の改善等による企業業績の向上に加え、「東証が昨年、資本効率や株価を重視した経営改革で企業価値を高めるよう要請した」結果、「企業の自社株買いや増配、企業間で株式を持ち合う政策保有株の売却などが進んで海外投資家にも好感された」と解説した。

 バブル期との違いについて、日経(同上)、朝日(2/23社説)やテレ朝NEWS(2/22)は、企業業績の改善や企業の純利益の増加を挙げ、NHK NEWS WEB(2/21)は、「今回は企業が変革するなか、海外と比べた日本株の出遅れを修正するため買いが入っていて、バブルの時とは違う」ので「今後も株価の上昇基調は続く」という日本証券業協会・森田会長の言葉を紹介した。

 経済への影響について、東京(2/23社説)は、「株高だけが際立ついびつな構造」だとし、同日の別の記事では、株高の「高揚感は金融業界や投資家らを除くと、広く行き渡って」おらず、「日本株上昇の恩恵は海外投資家に集まる」と冷めた解説をした。他紙も似た問題意識から、「民間主導の力強い経済の実現」(産経同上)につなげるには、株高や企業業績の果実を家計や働き手に広く行き渡らせるべきだ(毎日2/25社説、朝日同上、日経同上、東京同上)とした。より正確には、「積極的な国内への投資と賃上げに努めることが不可欠」というべきだろう(読売2/23社説)。

 株高についてのマスメディアの論調は総じて相互補完的で類似していたが、米国株式市場との関連性にもっと触れても良かったのではないか。例えば、日経平均のバブル期越えとほぼ同時に、米国半導体企業エヌビディアの株価時価総額が、アップル、マイクロソフトに次ぐ第3の2兆ドル越えを達成した。「マイクロソフトとアップルの時価総額は2社で東証全体に匹敵する」(日経同上)現状で、さらにエヌビディアの株価が米国市場をけん引する。こうした米国株式市場との関連性についても言及してほしかった。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2264・2265号

 

米大統領予備選始まる
ヘイリー敗北も闘争心

 

トランプ連勝も苛立ち不安

米国民主主義は瀕死の危機

 

 11月の米大統領選候補者を選ぶ共和党予備選挙は、序盤戦でトランプ前大統領が2戦2勝。読売新聞1月17日付朝刊は《共和党のトランプ化を改めて印象づける結果》と報じた。

 ただし23日のニューハンプシャー(NH)州ではトランプ氏の「弱点」や「本選への不安」の報道も目に付いた。毎日新聞1月25日付朝刊によれば、出口調査でトランプ氏は保守派の70%の支持を得たが、穏健派は25%、無党派層は38%とヘイリー元国連大使を大きく下回った。

 興味深いのは本人の苛立ちだ。勝利集会なのに《彼女は勝ったようなことを言っているが、負けたんだと強調。SNSに「妄想だ」と書き込んだ》(読売25日朝刊)には苦笑した。前回大統領選の自分のことではないか。

 苛立ちや不安の正体にはネットメディアの分析の方が格段に鋭い。在米ジャーナリストの高濱賛氏曰く。

 《トランプ氏は裁判のことで頭が一杯》(JBpress)なのだ。刑事事件4、罪状91を抱えて裁判費用は巨額、トランプ・党挙げてのヘイリー氏への撤退圧力も資金を温存したいからだろう。

 そのヘイリー氏は「負けたのに」闘志満々。資金もまだ潤沢という。ただ2月24日のサウスカロライナ(SC)州は地元ながらトランプ氏勝利の予想で、たとえ続けても順当なら15州が競う次の3月5日のスーパーチューズデーで、トランプ氏で決着、バイデンVS.トランプの公算が高まっている。

 昨年末以来、マスメディアで「もしトラ(もしトランプ氏が再選されたら)」へ備えの論議が氾濫するのもこうした情勢の反映だろう。

 日本はどうするのか。まずはトランプ氏とのパイプ作りというわけで、安倍晋三元首相の出番がもはや叶わぬことから、自民党の麻生太郎副総裁の1月初旬の訪米に俄かに注目が集まった。

 朝日新聞1月17日付朝刊によれば《トランプ氏との接触を水面下で模索していたことがわかった。今回は実現しなかったものの、麻生氏とトランプ氏の接触を模索する動きは続きそうだ》。トランプ陣営からも複数ルートで麻生氏側に接触の打診があったという。気に食わぬ欧州より対日重視ということか。

 産経新聞1月17日付朝刊は《この1年、日米同盟に磨きをかけ、隣国の挑発が激化する東アジアに力の空白を生まぬよう米国をつなぎ留める積極外交に注力すべきだ。それが本当の備え》と断じた。

 もっとも「もしトラ」までにはまだ幾つものハードルがある。裁判はもとより、共和党上院議員49人中3分の1強は未だ“抵抗勢力”だし、トランプ党の結束が固まれば固まるほど穏健・無党派層離反のジレンマもある。

 グッドルーザー(良き敗者)に、勝者にも劣らぬ拍手を贈る米大統領選の民主主義の健全さと明るさは、「報復」を公言するトランプ氏の登場で瀕死の危機にあると言わざるを得ない。その意味で日経1面コラム「民主主義を問う1年」(1月17日付)は一読に値する。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2263号

 

民主集中制の時代錯誤
異論認める自由さ肝要

 

共産党に初の女性新委員長

〝長期低落〟から脱却なるか

 

 在任期間じつに23年の志位和夫委員長が退き、田村智子政策委員長が日本共産党の新委員長に就任した。女性委員長は初めて。4年ぶりに開かれた党大会(1月18日閉会)で決まった。

 志位氏は空席だった議長に就任。小池晃書記局長は続投する。後任の政策委員長は山添拓参院議員。

 時あたかも日本航空の次期社長に、客室乗務員出身の鳥取三津子氏が就任するニュースなども伝えられ、日本もいよいよ女性を含む「多彩なトップ」が活躍する時代になりつつあるのか、などとやや前向きな気分に浸りたくもなったけれど、各紙社説を読む限り、少なくとも共産党に関する限り、どうやらそれも高望みらしい。

 読売社説「共産党新委員長 世代交代で党勢拡大できるか」(1/19)は冒頭で、「幹部の世代交代と女性党首の登用という新機軸で、党勢を立て直す狙いがあるのだろう」と述べた直後に、「だが、社会主義・共産主義への変革を目指す路線を保ったまま、支持を広げるのは容易ではあるまい」と、楽観を直ちに否定する。

 現在「共産党は党勢の後退が著しい。党員数はピーク時の半分の25万人に減り、機関紙『赤旗』の読者も1980年には355万人いたが、今は85万人に落ち込んだ」。そのことと、全党員の投票で党首を選ぶことを求める著書を出版した古参の党員を「党の規約に違反した」として除名するような、閉鎖的・権威主義的な党体質とが無関係とは到底思われない。世代交代と女性起用は、そんなイメージを乗り越える最後の試みだろう。

 しかし、「党の綱領は今も日米安全保障条約の廃棄を掲げ」、自衛隊についても「当面容認」しつつ「将来的に解消する方針」を維持する姿勢が、「世論の大勢から乖離しているのは明らか」。党大会では「野党共闘の再構築」決議も採択されたが、果たしてそんな共産党の基本理念を受け入れてなお共闘する政党があるのか、と結ぶ。

 産経主張「共産委員長交代 革命党の体質変わらない」(同)、日経社説「新党首で共産党は変わるのか」(1/21)もほぼ同じ。

 朝日社説「共産党新体制 党を開く変革伴わねば」(1/19)と毎日社説「共産新委員長に田村氏 開かれた党へ体質刷新を」(同)は、ともにタイトルに「党を開く」「開かれた党」と同じ言葉を使っているのが注目された。「民主集中制」などという異論を認めず多様性を排除する党の体制が、よほど時代の流れからかけ離れた、内向きで閉鎖的ものと映るのだろう。

 ついでに言い添えると、共産党指導部の東大偏重は歴史的にも顕著で、歴代委員長をみても初代宮本顕治氏(在任12年)、2、4代不破哲三氏(計16年)、それに志位氏とみんな東大卒だ。東大以外の卒業生で委員長を務めたのは在任2年の3代村上弘氏のみである。今どき東大神話でもあるまいが、もしあるとしたら、早大卒の田村新委員長には大いに変革を期待したい。

(本郷 一望)週刊「世界と日本」第2262号

 

ウクライナ支援で結束
プーチン氏の茶番会見

 

毎日・朝日の熱い主張

露・中・北朝鮮を批判

 

 最近、ウクライナを支援してきた西側諸国内部に「支援疲れ」のほころびがみられる。

 NATO(北大西洋条約機構)加盟国では、米国の共和党、ハンガリーのオルバン政権、スロバキアのフィツォ政権がウクライナ支援に否定的だ。EU(欧州連合)では、12月14日の首脳会議で、ウクライナのEU「加盟交渉を始めることを決めた」が、「ウクライナへの巨額の資金支援はハンガリーの反対によって合意できなかった」(日経12/15)。米国では、来年秋の大統領選挙も絡んで、「バイデン政権が求める追加の予算を野党・共和党が拒んでいる」(毎日12/19社説)。

 そうした中で、12月19日、G7財務相・中央銀行総裁会議がオンラインで開催され、ウクライナ支援が議論された。「議長を務めた鈴木俊一財務相は終了後に・・・、日本政府として総額45億ドルの追加支援を行う用意がある」と述べた(共同12/20)。

 全国紙では、ウクライナ支援問題を毎日と日経が社説で取り上げた。毎日(12/19)は、「他国に武力侵攻して領土を奪い取ることは明白な国際法違反」で、「ロシアの侵略行為は決して許されるものではない」として、「支援の継続によってウクライナへの団結の力を示すことが、独裁国家の横暴を許さない国際社会をつくることになる」と力強い。日経(12/4)も、「法の支配という国際秩序が根底から崩れること」を阻止するために「ウクライナ問題を埋没させず支援続けよ」と主張した。他紙は社説でこの問題を取り上げていないが、12月14日に2年ぶりで開催されたロシアのプーチン大統領の会見を徹底批判したことで間接的にウクライナ支援を支持した。

 朝日(12/18社説)は、来年3月の大統領選への立候補表明を「独裁延命が目的の茶番」と批判、産経(12/16主張)は、会見自体が「侵略を正当化する茶番」だと批判した。読売(12/18社説)は、「侵略を成功させてはならない」とし、「国際社会は結束を強めるべきだ」と主張した。

 毎日も「侵略正当化する茶番劇」(12/17社説)と書き、日経(12/12社説)も大統領選出馬を「侵略と独裁を正当化する」ものと厳しく批判した。

 このように、プーチン氏会見を茶番で侵略と独裁の正当化であると徹底批判し、ウクライナ支援での結束を強調した点で全国紙が珍しく(?)結束した。すると当然ながら、中国や北朝鮮の独裁政治も批判の対象とならざるをえない。

 やや驚きだったのは、毎日(12/19社説)が、北朝鮮のICBM発射が国連安保理決議に「違反する挑発行為であり、断じて容認できない」とし、「日米韓の連携をさらに強めなければならない」と主張し、朝日(12/13社説)が、低投票率の香港区議選は「公正な選挙と呼ぶに値しない」と批判したことだ。読売(12/17社説)が「強権的な中国式統治では、香港住民の信任は得られまい」と書いたことが控えめにみえるほど、毎日と朝日の主張は熱かった。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2261号

 

キッシンジャー氏死去
ウクライナ報道の埋没

 

光る田久保忠衛氏のキ氏論評

報道消えても事態は消えず

 

 ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官が11月29日、100歳で死去した。

 極秘訪中による米中和解への道筋、ベトナム和平、米ソ・デタント(緊張緩和)による軍備管理条約の締結など華やかな外交活動を反映し、ニュース記事はもちろん社説も全国紙では朝日新聞が12月2日付、毎日新聞は12月1日付、日本経済新聞も12月1日付で取り上げた。

 ただ報道も論説も現実主義外交の指摘やその光と影と言った型通りで予想の範囲の内容に終始し、親中姿勢や日本核武装論など問題も多い対中・対日外交論への批判の筆は鈍く、違和感を覚えた。

 その中にあって時事通信の元ワシントン支局長でもあった田久保忠衛氏の産経新聞12月7日付「正論」の論考は光っていた。

 訃報で内外の論評に目を通した田久保氏は、幾つかの例外は別にして日本の新聞の大方が、キッシンジャーを米中国交樹立実現の主役であるかのような書き方をしているのは俗論と断じ、《対中外交正常化を思案し、実行に移させた主役は大統領ニクソンであり、この点でキッシンジャーは脇役だった》とした。

 まさに正論である。対中外交のシナリオの書き手はニクソン、キッシンジャーはあくまで密使だ。ニクソンのウォーターゲート事件による失脚や、キッシンジャーの派手な言動も加わってのことだが、主客転倒してはいけない。その危うさの問題提起は貴重だ。ニクソンの対中外交で博士号を取得された同氏ならではと感じた。

 マスメディアに欲しいのも、このような厚みと深掘りの精神だ。そうでないと俗論が歴史になりかねない。

 筆者の本欄はこれが今年最後だが、もう1つの問題点を指摘しておきたい。国際ニュースの賞味期限というか寿命の短さだ。10月にイスラエルとハマスの軍事衝突が勃発すると、アッという間にウクライナ戦争報道は後方に追いやられ、ミャンマー内戦報道に至っては表舞台から消えて更に久しい。

 その意味で日経12月5日付社説「ウクライナ問題を埋没させず支援続けよ」はタイムリーだった。米国は野党共和党が支援に反対し、《欧州では大衆迎合のポピュリスト政党への支持が広がり、団結が揺らいでいる》。

 そして今、ウクライナの反転攻勢の失敗説さえ欧米では報道されている。事実はどうなのか。越年必至のウクライナ戦争はどこへ向かうのか。報道も正念場である。

 ミャンマー報道も然りだ。10月下旬からの軍と少数民族や民主派武装勢力の衝突は当初、無視も同然だった。12月に入り軍劣勢という衝撃的事態に、漸く不十分ながらも報じられている。しかし少数民族3勢力の連携は何(誰)が可能にさせたのかをはじめとして疑問や謎は多い。

 来年2月で権力奪取から3年となる軍政は、基盤強化とは逆に土台から揺らぎ始めたのだろうか。これまた見解の分かれるところだ。報道は消えても、事態は消えない。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2260号

 

アルゼンチン大統領選
右派ミレイ氏を選出

 

危機は克服できるか

試されるリバタリアン改革

 

 11月19日、アルゼンチンで「大統領選挙の決選投票が行われ、中央銀行の廃止などその過激な主張から『アルゼンチンのトランプ氏』といわれている右派の下院議員、ミレイ氏が勝利」した(NHK NEWS11/20)。「ミレイ氏は中国との関係凍結を訴えており、親中路線だった現政権の外交方針を大きく転換する見通しだ」(読売11/20)。

 南米アルゼンチンの動向が注目されることは多くないが、右派のミレイ氏勝利のニュースはどの全国紙も取り上げ、日経は11/26社説でも取り上げた。

 ミレイ氏がトランプ氏に例えられるのは、「米国のトランプ前大統領の主張に共感」しているからである(読売11/20)。トランプ氏も早速祝福の言葉を投稿した。ミレイ氏勝利には、サリヴァン米大統領補佐官、ブラジルのルラ大統領、コロンビアのペトロ大統領、チリのボリック大統領らがコメントを寄せたほか(BBC NEWS11/20)、岸田首相も祝辞を発出した(外務省11/21)。コメント内容は祝福一辺倒ではなく、ペトロ大統領のように、「ラテン・アメリカにとって悲しいことだ」という否定的反応もみられた(上記BBC NEWS)。

 ミレイ氏は、「右派リバタリアン(自由至上主義者)」として、「中銀廃止に加え、経済のドル化、国営石油会社YPFなどの民営化」といった「抜本的な改革を掲げてきたが、導入へ向けては大きな障壁に直面している」(ロイター11/26)。

 とはいえ、ミレイ氏勝利は、「年間インフレ率が140%を超え、5人に2人が貧困にあえぐなかで、アルゼンチン国民が伝統的な政治と経済危機にうんざりしている」ためだ(上記BBC NEWS)。国際決済銀行(BIS)の統計によると、中央銀行の政策金利は、21年末38%から22年末75%、23年11月末133%へと驚くべき上昇だ。誰が見ても常軌を逸したインフレ率や政策金利は、従来の経済政策の破綻であり、抜本的改革が必要なことは明らかだ。

 この点に関して、トランプ氏とは違って、ミレイ氏が経済学者であったことに注目すべきだ。なぜなら、中銀廃止論は、1974年ノーベル経済学賞受賞者で自由主義者のハイエクが70年代に主張した有名な議論だからだ。ハイエクは、政府による通貨の独占的発行を批判し、民間による競争的通貨体制を主張したことで有名で、この主張に同調する論者は皆無ではない。

 また、リバタリアンを自由至上主義者と表現するメディアの扱いには注意が必要だ。代表的なリバタリアンとして知られ、無政府主義的資本主義(アナルコ・キャピタリズム)を提唱したD・フリードマンは、多数の実例を挙げて、公共サービスを政府よりも民間がやったほうが効率的に提供できることを示した(『自由のためのメカニズム』勁草書房)。ミレイ氏は、こうした思想系譜に属すると見るべきであり、右派のポピュリスト(Newsweek11/28)といった程度の理解では不適切だ。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2258・2259号

 

一帯一路10年の蹉跌
印・中東・欧州経済回廊

 

中ロ首脳の空疎な自画自賛

米、中東戦略立て直せるか

 

 10年前の華々しい発足から大いなる様変わり。巨大経済回廊「一帯一路」フォーラム(北京、10月17日〜18日)は151と参加国は多いが、首脳級は24カ国に減り、脱退が伝えられるイタリアの姿はなかった。

 全国紙の社説も専(もつぱ)ら中ロ首脳会談に焦点を当て、その蜜月ぶりを《力の信奉では平和導けぬ》(毎日新聞10月21日付)、《世界の安定を乱す》(読売新聞同19日付)、《連携は看過できない》(日本経済新聞同22日付)と異口同音に批判した。

 プーチン大統領の「(一帯一路は)非常に発展している」との称賛は空々しく、読売は《ロシアが中国に従属している実態を映している》と断じた。

 現実を自分に都合よく歪曲する点では、習近平国家主席も同じだ。朝日新聞19日付は《習氏が会談冒頭で、ウクライナ侵攻などないかのように経済関係を自賛したのにも驚く》とした。現実無視はウクライナ情勢だけではない。会談はガザ危機が深まる最中に行われたのに、仲介の労は取らず、公平性なき傍観者に終始した。

 一方肝腎の「一帯一路」自体の報道はいかにも通り一遍だった。今後は「量から質へ」(習主席の基調演説)と言えばもっともらしいいが、台所事情が巨大インフラなどもはや許さないのだろう。

 しかし参加国の多さや、途上国との共同建設を謳(うた)う構想はなかなかのものだし、「一帯一路」は終わっていない。質への方向転換の内実がどのような道筋を辿(たど)るのか、むしろ一層注意深く、きめ細かいフォローが必要だ。

 このことは遡(さかのぼ)ること約1カ月、9月の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でバイデン米大統領が発表した「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」と併せ考える時、一層重要性を増す。

 IMECはひと言で言えば、米国が一帯一路に対抗して打ち出した鉄道と港湾のインフラ投資構想で、日経9月18日付社説は《米国は中東戦略の立て直しを迫られており、今回の構想はその一手だろう》と見る。

 産経新聞9月12日付「水平垂直」欄によれば、バイデン大統領は「経済回廊を築く」とのフレーズを会議で繰り返したという。意気込みは、IMECがグローバルサウス(GS)への関与策だからだ。

 ただそれが実を結ぶか否かは、大統領選を控え、《国内政治にも大きく左右されることになる》(同紙)との指摘はその通りである。想定外のガザ危機も加わり、今はIMECどころではなくなった。

 しかしこのまま水泡に帰すものでもあるまい。フォーブス誌9月11日(電子版)によれば、関係者は向こう60日以内により綿密な計画を立て、スケジュールを設定する予定というから、やはりフォローが重要だ。

 一帯一路が先行し、IMECが追う形だが《果たしてこのプロジェクトはどこまで現実のものになり、ゲームチェンジャーになりうるだろうか》(TBS NEWS DIG9月12日、電子版)との問いは興味深い。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2257号

 

迅速だった当時の政府
歴史の教訓を活かせ

 

石油危機50年の教訓とは?

中東緊迫で世界経済揺らす

 

 1973年10月6日、シリア軍とエジプト軍がイスラエルへの攻撃を開始し、第4次中東戦争が勃発した。これが発端となり、石油危機が世界を襲った。

 あれからちょうど50年経った今年10月7日、ハマスが突然イスラエルを攻撃、中東情勢は一気に緊迫した。読者諸氏が本稿を目にする頃の情勢を予想することは難しいが、石油危機再来への懸念が広がっていることは確かだろう。特に日本は、原油の中東依存度が50年前より高くなっているだけに、影響は大きい。

 今回の事態は50年前との共通点が多い。ただ一方で相違点もあり、両面からの分析が必要だ。その観点から、全国紙5紙の各電子版(10/1〜10/22)で、「石油危機」と「50年」の両方をキーワードに記事検索してみた。

 ヒットした記事件数が最も多かったのは日経で、21本だった。「エネルギー選択の時 石油危機50年」と題する5回の連載をはじめ、社説(10/8)では「(日本は)石油危機後、省エネや原発、天然ガスの導入など成果を上げたが、時間の経過とともに危機感を忘れてはいまいか」と指摘、「石油危機の経験を今こそいかせ」と主張している。同感である。

 日経以外の各紙の記事検索では、朝日が12本だったものの、毎日6本、読売3本、産経2本(いずれも同一記事の重複ヒット分を除く)と、量的には物足りない印象だ。

 その中で、朝日の「『列島改造は諦める』角栄が直面した石油危機 元秘書官92歳の回想」(10/17)が目を引く。当時の田中角栄首相の秘書官だった小長啓一氏へのインタビュー記事で、政権の動きや米国とのやり取りが語られている。

 同記事では少し触れられている程度だが、実は当時の政府の対応は現在の我々がイメージする以上に素早かった。田中内閣は第4次中東戦争勃発からわずか1カ月余り後の11月16日には、総需要抑制と石油消費節約を柱とする緊急対策をまとめた。

 筆者は当時、日経の松山支局に赴任したばかりで、11月25日に本州四国連絡橋の3ルート同時起工式が大々的に行われる予定になっていた。ところがその5日前になって突然「凍結」が決まったのだ。地元が大騒ぎになったことを今でもよく覚えている。

 田中首相のトップダウンによる決定だった。このような迅速な対応とそれを受けた官民一体の取り組みで、日本はインフレ乗り切りと省エネに総力を挙げた。

 その結果、第二次石油危機(1979年)では打撃を最小限にとどめて欧米より早く立ち直り、省エネ大国となったのだった。

 これらは単なる“過去の出来事”ではない。日経の社説が指摘するように、こうした歴史の教訓を活かすことが何よりも必要なのだ。メディアは、その教訓をもっと深掘りし、現在の危機を乗り越える知恵を結集する役割を果たすべきである。

(岡田 晃)週刊「世界と日本」第2256号

 

中国EVシフトの影響
中国のリチウム戦略

 

日本の土鍋生産に打撃

欧州のしたたかな戦略

 

 中国の自動車市場では、急激なEV(電気自動車)シフトが生じている。23年上半期の中国国内自動車生産は1310万台(前年同期比6・1%増)、うちEVを含む新エネルギー車が361万台(同35%増)を占めた(中国国家統計局データ)。EVシフトに伴って、日系メーカーが苦戦を強いられる一方、比亜迪(BYD)を筆頭に中国勢が勢力を伸ばしている。実際、23年第2四半期の世界EV市場シェアは、テスラが21・7%で1位、BYDが16・2%で2位、GAC(広州汽車集団)アイオンが6%で3位となった(TESLA News8/19)。

 こうした中国でのEVシフトは、日本の地場産業に思わぬ影響を及ぼしている。

 「三重県の地場産業『四日市萬古焼(ばんこやき)』」は、ペタライト(葉長石)と呼ばれる鉱石を配合して土鍋を作り、今では「土鍋の国内シェア8割を占めるまでに成長した」。ところが、EV用のリチウムイオン電池の需要急増と価格高騰から、ペタライトに含まれるリチウムに注目した「中国企業が、世界有数のリチウム埋蔵量を誇るジンバブエの鉱山を買収し、日本向けの輸出がストップした」(毎日9/21)。まさに「EVの風、土鍋作れず リチウム争奪 中国、原料囲い込み」(毎日9/25)という状況だ。ただし、リチウムイオン電池の需要拡大が粘土価格を高騰させ、窯業全体に打撃を与える可能性についてはすでに日経(6/9)が指摘していた。今後は、代替原料を使った土鍋の生産も避けられない。

 東洋経済オンラインによると(22年2/25、情報源は財新)、22年2月にジンバブエの鉱山を買収したのは「国有非鉄金属大手、中国有色鉱業集団」傘下の中鉱資源集団で、同社は「カナダのリチウム・セシウム鉱山や、ザンビアの銅山および鉄鉱山などの権益をすでに保有している」。天斉鋰業や贛鋒鋰業などの中国リチウム大手も、オーストラリア、アルゼンチンやチリでのリチウム資源開発に参画を企ててきた。

 中国のEVシフトに対し、EUは、中国製EVが「中国政府による補助金を受けて人為的に安く抑えられており、EU製のEVが価格競争で不利に立たされている」として中国製EVを排除する動きを見せている(PRESIDENTオンライン9/26)。その一方で、欧州自動車メーカーは、部品調達、コストや納期の優位性から「完成車の輸出拠点としての中国の優位性が急速に高まった」として、「中国で生産し、世界各地に輸出する動きが相次いでいる」(東洋経済オンライン9/22)。

 日本の対応はどうか。「西村経済産業大臣はアフリカ中部のコンゴ民主共和国を訪問し、電気自動車のバッテリーの製造に欠かせないコバルトなどの重要鉱物の資源探査やビジネス交流」を今後進めていくという(NHK NEWS WEB8/11)。商社や政府系機関が相当頑張っているとはいえ、政府には明確で持続的な経済安全保障戦略を示してほしいものだ。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2255号

 

BRICS・G20拡大問題
中印の主導権争い激化

 

理念なき結集は限界と読売

分断の橋渡し役求める朝日

 

 米中対立や世界の分断、格差が深まる中、合従連衡が盛んだ。

 中でも様々な憶測を呼んだのが、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)が8月に首脳会議でサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イラン、エジプト、エチオピア、アルゼンチン6カ国の加盟を認めたこと。加盟国は一挙倍増の勢いだが、反米あり、産油国、経済危機国ありでバラバラ感も増大した。

 全国紙の評価は総じて否定的で今後にも懐疑的だ。読売新聞8月30日付社説「理念なき結集には限界がある」は《多国間協力体としての存在感を示すことは困難だ。逆に、足並みの乱れが露呈するのではないか》という。

 拡大を主導した中国の習近平国家主席は「拡大は歴史的だ」と自画自賛したが、1カ国を除いて中東アフリカへの集中は、日本経済新聞8月26日付社説によれば《米国の指導力が衰えた地域で影響力を広げたい中国の意図がにじむ》。

 にじむどころか中国は3月に仇敵同士のサウジとイランの国交正常化を仲介し、揃ってBRICS入りさせた。産経新聞9月4日付主張は《中国には新興・途上国との連携を強化し、米欧への対抗軸にしたいとの思惑がある。ロシアも同様だ》と指摘し、《米欧への対抗姿勢が、逆にBRICS内の不協和音を増大させかねないと知るべきだ》と批判した。

 不協和音は既に現実で、《ブラジルのルラ大統領は、「BRICSは新興国・途上国の組織化が目的で米国やG7に対抗するためのものでない」と述べた》(同紙)。また日米豪印(クアッド)の枠組みの一員、インドも米の対抗軸は望まず、習主席の拡大路線にも反対、南アのラマポーザ大統領が仲を取り持った。

 習主席は9月9、10日の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を発足以来、初めて欠席。理由は、議長国インドに花を持たせたくない、不動産バブルの破綻や経済悪化など国内事情、G20よりBRICS重視—など憶測を呼んだ。

 しかし拡大に反対したインドがG20ではアフリカ連合(AU)加盟を諮り、賛成を得たのは意趣返しか。中印は新興国や途上国の取り込みに主導権争いを激化させそうだ。

 朝日新聞9月9日付社説は《「先進国対新興・途上国」に「中ロ対日米欧」。この絡み合った分断の橋渡し役となり、G20を本来の姿に戻せるか。看板としてきた全方位外交の真価が問われる》とG20の今後に期待。また毎日新聞8月26日付社説は《拡大したBRICSは世界に壁を作るのではなく、平和と安定にこそ力を尽くすべきである》とBRICSに注文をつけた。

 だが両紙の期待も希望もないものねだりの感は拭えない。

 上海協力機構(SCO)も7月の首脳会議でイランの加盟を認め、発足時の5カ国は今や9カ国に拡大した。さらにBRICS、SCOともウエイティング・リストには20を超す国々が並ぶ。対立と分断が深まる悪しき連鎖がむしろ強いのである。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2254号

 

処理水放出への反応
安全性と必要性は容認

 

中国政府の非科学的批判

中国側の理不尽な迷惑行為

 

 8月24日、「多核種除去設備(ALPS)で大半の放射性物質を取り除いた」(東京8/23社説)処理水の海洋放出が始まった。処理水は、福島第1原発内に貯蔵されてきたもので、放出は今後約30年間続くとされる。

 8月の全国紙社説では、処理水の問題が何度か取り上げられた。社説の焦点は2点で、1つは放出の決定や実施に関わり、もう1つは放出に対する中国の反応や対応に関わる。

 放出決定・実施に関わる論点は3点だ。

 第1は、関係者の理解を十分に得ないまま処理水を放出したという批判である(毎日・朝日・東京8/23)。

 第2は、政府の決定が「科学的な安全性や必要性」に基づき、IAEA(国際原子力機関)の「国際的な安全基準に合致」(日経8/22)することだ。日経のほか、8月23日付けの産経・読売・毎日はこれを積極的に認め、朝日も「計画通りに運用される限り、科学的に安全な基準を満たすと考えられる」と書いた。容認の背景には、「福島の復興や廃炉を進めるには政治決断が必要」(日経8/22)という認識があった。

 第3は、中国などの非科学的批判や風評被害への対応だけでなく、安全対策や対話など、政府と東電の責任と役割を求めるものだ。

 一方、処理水放出に対する中国の動きに関わる論点は3点だ。

 第1は、中国政府が2年前から非科学的な批判を続けてきた上に水産物の全面禁輸に踏み切ったことである。

 非科学的批判の一例は、IAEAの見解の無視(日経8/29)、核汚染水の呼称(日経8/24、産経・読売・毎日8/26)だ。全面禁輸については、理不尽(日経8/24)、科学無視の暴挙(産経)、不当な措置(読売)、科学的な論拠に基づかない(毎日)、筋が通らぬ威圧(朝日)であるとして批判的だ(日経を除き8/26)。特に、「日本の水産品すべてが輸入禁止ならば、(北太平洋などで)中国漁船が捕った魚などの取引も全面的に禁止しなければ、筋は通らない」と書いた朝日の主張は論理的で痛快だ。

 第2は、処理水放出後に中国発信の嫌がらせ電話、中国国内の日本人学校への投石や日本製品不買呼びかけなどの反日活動が横行したことだ。これに対し、8月30日付けの毎日と東京は、中国政府に対して、冷静な対応や国民への冷静な行動呼び掛けを提言した。

 しかし、「中国のSNSで中国の原発の方が福島第1よりもはるかに多くのトリチウムを放出しているとの正しい情報が投稿されても削除」し、「誤った情報しか自国民に与えず、SNS上の反日的投稿を放置」してきた中国政府が反日の「張本人も同然」(産経8/29)だとすれば、中国側が素直に聞く耳を持つとは思えない。

 第3は、こうした中国政府の対日批判の意図は何か、である。「食の安全と中国人民の健康を守るため」(日経8/24)という説明は建前で、その本音は、中国経済停滞に対する自国民の不満を日本に向けた(産経8/29、朝日8/29)ということか。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2252・2253号

 

70年の節目を迎えた
朝鮮戦争の休戦協定調印

 

毎日以外は社説で取り上げるも

全紙中途半端で物足りない内容

 

 朝鮮戦争の休戦協定調印から7月27日で70年の節目を迎えた。

 朝鮮戦争は日本の経済復興を大きく牽引した(戦争特需は間違いなく日本の戦後復興を加速させた)。また、連合国軍総司令部(GHQ)の要請で、日本海に北朝鮮が敷設した機雷除去の任務中に犠牲となった旧日本海軍軍人のことについては、あまり知られていない。ちなみに、桜林美佐著『海をひらく 知られざる掃海部隊』(並木書房)に機雷除去の任務中に犠牲となった旧日本海軍軍人のことが詳しく書かれている。

 テレビのニュース情報番組は、ロシアのショイグ国防相や中国共産党の李鴻忠政治局員が招かれ、金正恩朝鮮労働党総書記と一緒に軍事パレードを観覧している映像を見せながら、スタジオのゲストに解説をさせていたが、当たり障りのないコメントばかりで、面白くなかったというのが私の感想だ。

 では、新聞はどうか。毎日新聞以外の全国紙は社説で70年の節目を取り上げている。そのなかで東京新聞が「日本は事実上の参戦国」という小見出しをつけて、冒頭で紹介した機雷除去や輸送任務中に犠牲となった旧日本海軍軍人のことについて触れていたことには驚いた。

 一方で、「岸田文雄首相が休戦協定70年に当たり再確認すべきは、軍事力強化一辺倒ではない、外交や対話による平和構築の重要性である。日本の外交力が試されている」と論じ、岸田首相に注文を付けているが、北朝鮮からの弾道ミサイル発射についての批判を社説(27日付)でどこにも書かれていないのは如何なものか。

 朝日新聞は社説(29日付)で「米国はウクライナ問題や中国への対応に手いっぱいで、朝鮮半島をめぐっては日米韓による抑止力の強化という『力対力』以上の戦略が見えてこない」と断じているが、北朝鮮の軍拡が止まれば、北朝鮮に対する日米韓の抑止力の強化は必要なくなると思うのだが…。さらに、「際限のない対立構図から脱する国際協調を再起動させる必要がある。日本もそのために率先して力を尽くすべきだ」と論じているが、「率先して力を尽くすべきだ」の部分は言わんとしていることが見えてこない…。

 読売新聞は「北朝鮮が核放棄へと踏み出すまで、国際社会が結束し、中露も巻き込んで制裁圧力を維持、強化することが肝要だ」と社説(28日付)の最後を締めくくっているが、中露が北朝鮮に対して厳しい態度を取り続けることができないことは、国連安全保障理事会での対応を見れば、誰の目にも明らかではないのか…。

 産経新聞の「日本にとっても対岸の有事ではない。有事には、日本も万全の対応をとれるよう準備を怠ってはならない」という認識は正論だが、社説(29日付)の結論部分で、「北朝鮮に新たな侵略をさせないための最大の抑止力は日米韓の結束である」と述べるだけでは物足りない。

 今回は全紙が全て中途半端な内容の社説だったと、私は思う。

(濱口 和久)週刊「世界と日本」第2251号

 

世界に広がる日本ブーム
幅広い視点で報道を

 

大谷効果が日本経済を救う!?

「第3のジャポニズム」

 

  大谷選手の目覚ましい活躍が続いている。メディアの報道も過熱し、大谷選手のニュースを目にしない日がないほど。中でも、民放各局の午後の情報番組は、ちょうど米国での試合終了から間もない時間帯で、大谷選手のニュースを連日トップで扱っている。

 今年3月のWBCで日本が優勝した際、大谷工業やクリヤマホールディングスの株価が一時急騰して話題となった。大谷選手や栗山監督とたまたま同じ名前というだけで何の関係もない会社なのだが、最近は大谷工業の株価が再び上昇傾向となっている。これはご愛嬌としても、大谷選手の活躍による経済効果はこれまでのどのスポーツ関連よりも大きいと見られる。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は昨年10月の時点で「大谷選手の活躍による2022年の経済効果は日米両国合計で457億円」と試算し、「一人のアスリートが創り出す経済効果としては空前絶後」と指摘していた。今年はこれをはるかに上回るのは確実だろう。

 同教授はまた、WBCの日本優勝の経済効果を650億円との試算も発表していた。

 これら一連の試算はメディアも伝えていたが、いずれも金額で推計できる直接的な経済効果。だが筆者は、それ以上にマインド面も含め、数字では表しきれない効果が大きいと、見ている。

 第一は、多くの日本人を元気にさせてくれることだ。同選手の前向きな姿勢も、プラス思考の大事さを教えてくれる。これらは、経済活動にもプラス効果となるだろう。

 第二は、同選手が米国でも、成績だけでなく、発言や振る舞いなど、あらゆる面でリスペクトされていることだ。それを通じ、日本と日本人への海外の評価を高めることにつながっている。

 海外では今、日本の文化、食、技術やサービス、さらにはホスピタリティやマナーなど、トータルで日本がリスペクトされるようになっている。

 折から、日本企業の競争力は回復しつつあり、日本製品や技術への信頼も改めて高まっている。ここに、大谷効果が重なったと言える。

 歴史的に見ると、海外の日本ブームは今回で3度目だ。

 1度目は、幕末から明治にかけての「ジャポニズム」。日本の浮世絵や工芸品が欧州に紹介され、文化面で大きな影響を与えた。

 2度目は昭和の高度経済成長期で、「メイド・イン・ジャパン」が称賛された。

 今回はそのソフトとハードを含むトータルでの高評価であり、ブームの基盤はよりしっかりしたものとなっている。

 最近のインバウンドの急速な回復は、その顕著な例だ。また農林水産物・食品の輸出額はコロナ禍でも過去最高を更新し続け、今年も増加中だ。こうした動きが日本経済回復の一翼を担っている。

 メディアは、こうした日本経済の前向きな側面にもっと焦点を当て、幅広い視点で報道してほしいものである。

(岡田 晃)週刊「世界と日本」第2250号

 

デジタル後進国露呈
マイナ混乱責任は政府

 

マイナ拙速も廃止も無責任

解決策は様式統一から

 

 6月2日、「マイナンバーカードの活用拡大に向けた改正マイナンバー法などの関連法」が成立した。「24年秋に現行の健康保険証を廃止して『マイナ保険証』に一本化するほか、マイナンバーの年金受給口座とのひも付けを進める」ものだ(読売6/2)。

 しかし、「カードを巡っては、公金受取口座の誤登録があったり、マイナ保険証に他人の情報がひも付けされたりするなど、トラブルが相次いで発覚」した(時事6/2)。誤入力によって、「薬剤や医療費などの情報が他人に閲覧」される事態も発生した(読売5/18社説)。「交付手続きを担う自治体の間では政府への不満」が広がり、「誤登録など多くが現場の単純ミスとはいえ、マイナカードの普及を急いだ政府の取り組みが自治体など現場に大きな負担となり、ミスを誘発したとの声が噴出」している(産経6/27)。

 マイナンバー(マイナ)やマイナカードをめぐる混乱から、国民の不安が生じている。マイナカード返納の動きもあることに対し、松本剛明総務相は「理解得るよう努める」(時事6/27)と会見で述べた。また、総務省は誤送付防止のため、「13項目のチェックリストを自治体に通知した」(時事6/28)。

 これに対し、産経(6/27主張)は、「これまでの手順を点検し、必要に応じて改善を進めるというが、あまりに悠長すぎる」とし、「各省庁に改善を指示するだけ」では問題の解決は難しいと疑問を呈する。混乱が生じた根本原因として、全国紙各紙が指摘するのは、24年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に移行しようとする政府の拙速だ。

 読売(6/7社説)は、マイナ保険証を見直し、「当初の予定通り、選択制に戻すのも一案」とし、産経(6/10主張)は、普及優先を見直し、「実施時期は柔軟に対応すべき」とする。毎日(6/23社説)も「保険証廃止時期の再考」を求める点では、読売・産経と共通する。

 一方、朝日(6/9社説、6/26社説)は、マイナカードの「利用の強制や拙速な活用拡大」に繰り返し反対し、東京(6/21社説)は、「カード廃止も選択肢」として再検討すべきとする。他方、日経(5/24社説)は、東京のような主張を念頭に、「問題が起こるとゼロリスクを唱えて立ち止まりがちで、デジタル化を遅らせる一因」だとし、「試行錯誤を許容し、よりよい社会をめざす意識がデジタル社会の基盤を強くする」と提言する。

 評者は、読売の選択制への復帰を支持し、日経の見識を高く評価する。デジタル弱者問題への対応として読売の提言は適切で、不可逆的なデジタル化のもとで東京のようなアナログ回帰は時代錯誤であり、日経のような見識をもって「国民の不安広げる失態」(産経5/17主張)の原因を解明すべきと考えるからだ。マイナカード拡大の前提条件として、各種フォーマット統一の重要性を政府もメディアも認識していないことを残念に思う。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2249号

 

秩序再編活発化の中東
米中、サウジ、イラン

 

中国の攻勢に米国は後手か?

岸田首相は中東訪問を予定

 

 世界の眼がウクライナ戦争に一斉に注がれる間に、中東の覇権競争が活発化している。

 何と言っても今年世界を驚かせたのは、3月に仇敵同士の石油大国サウジアラビアとペルシャ湾岸大国イランが7年ぶりに国交正常化に合意したことだ。しかも仲介役は米国ではなく中国だった。

 地域に影の薄かった中国がこれからは関与を深めていくのか。その意図を読売新聞は《仮に中国が台湾を侵攻し、米欧日が厳しい対中制裁を発動するような場合でも、産油国との良好な関係を利用して打撃を緩和できると計算しているのではないか》(3月19日付社説)と勘繰った。

 また毎日新聞は《合意履行のため、火中の栗を拾う覚悟を示すことができるか。「責任ある大国」を自任する中国にとって重要な試金石となる》(同19日付社説)とした。

 合意から3カ月余り。大使館は再開されたが、両国の代理戦争とされるイエメン内戦に終結の兆しはない。

 5月にはシリアが12年ぶりにアラブ連盟に復帰した。日本経済新聞は《圧政の免罪符ではない。日米欧は誤ったシグナルを防ぎ、シリア国内の融和に向け圧力を続けるべきだ》(5月23日付社説)と警告したが、サウジの実力者ムハンマド皇太子とシリアのアサド大統領による笑顔の握手は、読売新聞社説の見出し《価値観より実利で動く中東》(同24日付)そのものだ。

 アラブ首長国連邦(UAE)は11月開催の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)にアサド氏を招くと言う。サウジ、イラン、中国の3カ国共同声明が謳った「内政不干渉」で正当化するご都合主義である。

 昨年1月にはサウジ、UAE、バーレーン、エジプトが2017年から続けてきた対カタール断交も終止符が打たれ、この独自の小国も息を吹き返した。

 さて、これら目まぐるしい秩序再編の動きに、米国はブリンケン国務長官が6月6日から8日までサウジを訪問。産経新聞国際面はこれを連日報じた。

 それによれば、ブリンケン氏は湾岸協力会議(GCC)出席に先立ち「米国はこの地域にとどまる」と述べ、中東諸国との関係強化に努める方針を示した(9日付)。またサウジとイスラエルの国交正常化への橋渡しも模索、《行き詰まりをみせていた中東外交の仕切り直しを図るものとなった》(10日付)と訪問を総括している。

 しかし前途は容易ではない。人権問題を巡り対立するサウジと米国の関係改善は一筋縄で行かないし、パレスチナ問題抜きにイスラエルとの正常化をアラブの盟主サウジがよしとするかどうか。

 またアラブ・ペルシャ湾岸諸国の一連の動きは米中露いずれとも一線を画し、中東の中東による中東のための自律覇権の動きと見ることも可能だろう。

 石油の約9割を輸入する日本は、政府もメディアもまるで対岸の火事視している。岸田首相は7月中旬頃から中東産油国を訪問の予定だが、相変わらずの石油行脚外交では不十分だ。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2248号

 

生成AIの功罪
適切なルール作り

 

業務や生産性にプラス

権利や思考力にマイナス

 

 4月から5月にかけてチャットGPTに代表される生成AI(人工知能)がマスメディアで注目を集めた。生成AIは、「インターネット上の膨大なデータを学習し、利用者の質問や指示を受けて自然な表現の回答や画像などを作る」ものだ(読売5/1社説)。4月末のG7デジタル・技術相会合で「AIの適切な利用に向けた行動計画」(同上)をまとめたこともあり、一挙に注目を集めた。2カ月間にマスメディアは社説でAIを何度も取り上げ、とりわけ日経と読売は4回も取り上げた。産経は主張で1回取り上げただけだが、ウェブサイトのトップページの最も目立つ場所にチャットGPTのコーナーがあり、多数の記事が時系列的に整理され、関連する記事が多数掲載されていて大変参考になる。

 生成AIが注目されるのは、G7で取り上げたことが唯一の原因ではない。すでに業務の支援・補助に活用する企業や自治体もあり、政府内でも「国家公務員の負担軽減のため」、「西村経済産業相が、国会答弁の作成に活用する考えを示した」(読売4/14社説)。こうした背景には、生成AIが「人間の仕事や創造活動の生産性を飛躍的に上げる可能性がある」という期待がある(日経4/9社説)。さらに、自民党内では、「新たな経済成長の起爆剤」として、「チャットGPTなどを活用する政策の推進を政府に求めている」(毎日4/23社説)。

 このように、代表的な生成AIであるチャットGPTが「世界中で人気になる一方、野放図な開発や普及を懸念する声も高まっている」(日経同上)。例えば、「偽情報の拡散や個人情報流出、著作権侵害などのリスク」や「専制主義国家がAI技術を悪用する事態」への懸念である(産経5/2主張)。すでに、「利用者が既存の作品とよく似た画像を作り出し、制作者らの反発を招いている」(日経5/26社説)。

 読売(4/25社説)は、「考えることにこそ人間の尊厳がある」として、「人間の思考を代替させるような使い方は、極めて問題が大きい」と主張する。AIを使って作文やレポートを作成するなど、人間本来の考えるという行為をAI任せにすることで「思考力の育成」が失われることへの警告である。

 読売の警告はもっともだが、教育現場をみると事態は別の意味で深刻だ。すなわち、安価なコピー機を使って模範答案をコピーしてそれを答案に書くだけの80年代が、ネット上で模範答案や資料を探してそれをコピー&ペーストして提出するだけの00年代を経て、生成AIを使って答案内容を書かせるだけの20年代に変わっただけで、思考力の育成停止はかなり前から続いている。テレビを見ても、満足な芸をもたない「ノー芸人」が毎日登場して、「まじ、やばい、めっちゃ、なので」など、稚拙、下品で聞くに堪えない言葉をまき散らす。この際、生成AIの功罪論議を契機として、思考力だけでなく言語発信力も、徹底的に取り上げてほしい。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2246・2247号

 

米国防総省の情報流出
容疑者の動機解明急務

 

日本も怒れ、甘い米情報管理

岸田氏爆弾事件との相関性

 

 米国防総省の機密情報がSNS(交流サイト)上に大量流出し、世界への拡散を止められないという前代未聞の事件が起きた。

 4月6日の米紙ニューヨークタイムズ(NYT)が政府高官の話として報じたことで事件が発覚、その後英紙フィナンシャルタイムズ(FT)、同ガーディアン、米紙ワシントンポスト(WP)など各国各紙がフォロー、米CNN、英BBCなど放送メディアも続々と後に続いた。

 漏洩(ろうえい)文書は100件を超し、ウクライナ戦争から国連、北大西洋条約機構(NATO)、ロシア、韓国、イスラエル、台湾情勢まで対象は世界的規模に及び、まさに「ずさんな管理に世界が揺れた」(15日付読売新聞社説)。

 他の全国紙社説も、「戦時の連帯損なう失態だ」(16日付毎日新聞)「早急な改善策を」(19日付日本経済新聞)「同盟国の不信食い止めよ」(15日付産経新聞)と取り上げ、朝日新聞は国際面で「21歳州兵 カリスマがなぜ」(15日付)とゲーム愛好家と思われる容疑者の怪に迫った。

 元々善悪は明らか、賛否の別れる事件でもないから、各紙こぞって米国に手厳しい。にも拘らず、その後の報道は手薄で、漏洩による損害の大きさや今後の情報収集活動への打撃など、事の重大さと深刻さへの危機感がもうひとつ伝わって来ないのは、日本が情報活動に疎(うと)く、かつ遠い国だからだろうか。

 しかしたとえそうだとしても、同盟国として国益や今後の同盟関係への影響を考えれば、事件は座視出来ない。日米同盟の根幹を揺るがしはしないか、官邸や外務省、防衛省の動向など、メディアが掘り下げるべきテーマは多い筈である。

 米国では2013年にも元中央情報局(CIA)職員スノーデンによる国家安全保障局(NSA)の情報活動暴露事件があった。あの反省と教訓はどうなったのか。米国は情報管理が意外に甘い感じがする。日本はもっと怒った方がよい。

 職歴も短い1等空兵が容易に国防総省機密情報へアクセスが出来てしまう。米国は情報の選別だけでなく職員の権限の選別も再考するべきだろう。

 さらに私見だが、岸田文雄首相が衆院補選の応援に訪れた和歌山市の演説会場で起きた爆発事件との相関性にも注目したい。

 重大事案の発生をいとも易々(やすやす)と許してしまう社会、容疑者が無職の24歳と21歳と共に若者であること、動機も片や黙秘のため不明、空軍州兵も政治・思想的背景は伺えず不明なことなど両者には妙に共通点が多い。

 事の重大さに見合わぬ、ある種の軽さが両事件に付きまとうのも何か不気味だ。

 そういう時代の始まりなのだろうか。日米とも第2、第3の類似事件が不可避ではないかと危惧する。

 ただ明るい材料はNYTやWPはじめ米紙の調査報道が健在なこと。漏洩文書や容疑者の動機を解明する続報を期待したい。

 事件が日本にも他山の石である以上、日本のメディアも大いに奮起を。

(岡田 晃)週刊「世界と日本」第2245号

 

首相襲撃事件の深刻度
テロにもっと断固たる姿勢を

 

問われる安倍氏暗殺後の報道

テロ再発の一因か?

 

 岸田首相が襲撃される事件が起きた。本稿執筆時点では動機など不明だが、昨年7月の安倍元首相暗殺と同様、テロである。各紙は社説(4/16)で「民主主義を揺るがす暴挙」(朝日)、「言論への暴力は断じて許せぬ」(読売)、「言論封じる暴力許されぬ」(毎日)と厳しく批判した。

 この点は、安倍元首相暗殺事件でも同様だった。だが日が経つにつれそうした姿勢は弱まり、多くのメディア報道は逆に統一教会問題と安倍批判一色となっていった。これは昨年の本欄(2226号・8/1)で指摘した通りである。

 さらに一部では襲撃を正当化するような議論や山上被告への同情論、挙句の果てには映画まで上映され、SNSなどでは同被告を英雄視する声まで出る始末だった。

 このようなメディアの論調が、今回の事件をひき起こす一因になった可能性がある。何らかの影響を受けたか、または安倍氏暗殺後のメディア報道や社会の風潮が襲撃実行のハードルを下げた可能性を指摘する識者の意見もある。

 とすると、そうした報道にも責任の一端があるのではないか。報道のあり方が問われている。このままでは、さらなるテロの誘発も懸念される。

 昔の個人的な経験で恐縮だが、筆者はテレビ東京ニューヨーク駐在時代に2001年9月11日の米国同時多発テロに遭遇した。

 それだけにテロへの怒りや脅威を強く感じるのだが、帰国後ある会合で某大手メディアの幹部が9・11について米国に非があったかのような発言をしたので、大変驚いたことがある。

 昨年の事件後の報道ぶりを見ていると、今も一部メディアではそうしたテロに甘い空気が強いように感じる次第だ。

 本稿で筆者は「岸田首相襲撃」「安倍元首相暗殺」と書いている。だがメディアは「暗殺」という言葉をほとんど使っていない。今回についても一部の見出しでは「襲撃」とあるが、記事本文では「爆発物が投げ込まれた事件」などとなっている。なぜ、わざわざ表現を和らげるのか。そのような報道の仕方が、テロへの態度も和らげることになっているのではないか。

 メディアがテロに甘い姿勢を取ることは、まさに自分の首を絞めることなのだ。

 今から36年前、朝日新聞阪神支局への襲撃事件が起きた。朝日新聞もテロの被害者なのである。それこそ言論を生業とするメディアにとってテロは最も許してはならないことだ。

 一方、よく「テロの背景には貧困や格差がある。それを解決しない限りテロはなくならない」と言われる。確かにその通りだが、それを強調し過ぎるとテロ容認につながりかねない。

 どんな理由があってもテロは絶対に認めてはならないのである。

 メディアはテロに対する断固とした姿勢をあらためて明確にし、テロを再発させない機運を高めるための報道を行うことが急務である。

(岡田 晃)週刊「世界と日本」第2244号

 

スパイ防止法の制定
中国への対抗手段

 

誤解を生む朝日のスタンス

毅然とした態度を示せ

 

 アステラス製薬の現地法人幹部の日本人男性が2014年に施行された反スパイ法違反の容疑で中国国家安全当局に拘束された。

 日本人は今回を含め、判明しているだけで反スパイ法により17人が拘束され、その後に11人が帰国、1人が服役中に病死している。現在も5人が拘束されたままだ。

 中国政府は日本人を拘束するたびに具体的な容疑を明らかにしないまま非公開で裁判を行う人権無視を繰り返している。中国政府は、日本は類似の事件を再三起こしているとして、「国民への教育を強めるべきだ」としている。だが、類似の事件が何なのかの説明は一切ない。また、中国政府が日本に対して一方的に対応を要求するのも納得できない。

 毎日新聞を除き、新聞各紙も今回の拘束事件を社説で取り上げている。

 朝日新聞は日本国内では特定秘密保護法や通信傍受法の制定時に紙面上で反対の大キャンペーンを張っていたくせに、社説(3月29日)では今回の理由を明らかにしないままでの拘束事件を問題視しているものの、「中国が公的機関の秘密を法律で守ること自体は必要だ」と論じるなど、どことなく中国の対応に与(くみ)していると取られかねない書き方となっているのは如何なものか・・・。

 読売新聞は社説(4月1日)で「米欧では、中国との貿易を制限するデカップリング(切り離し)が進んでいる。習氏は、透明性を欠いた法の手続きを見直さなければ、こうした流れを止められないことを認識すべきだ」と断じている。中国の姿勢に疑問符を投げかけている姿勢は評価していいだろう。

 日経新聞の社説(3月28日)は「日本政府は男性の速やかな解放に向けて、あらゆる手段をとる必要がある」とし、産経新聞の社説(3月30日)も「日本政府は中国に滞在する日本人を保護するため、あらゆる手立てを講じるべきだ」と論じており、同じようなニュアンスでまとめられているが、具体的な解決に向けた方策が示されておらず、少し物足りない感じがする。

 日本には対抗手段として、中国人のスパイ活動を取り締まる法律(スパイ防止法)がない。新聞各紙は今回の拘束事件を受けても、スパイ防止法の制定について、まったく触れられていない。

 それに対して、4月2日のフジテレビ『日曜報道 THE PRIME』に出演した元大阪市長・弁護士の橋下徹氏が「成熟した民主国家であったとしてもスパイ防止法っていうのはみんな持っている」「日本もスパイ防止法、反スパイ法を持っていて、やり返してお互いに交渉して相互解放するとかね」と発言していた。この発言を私は支持したい。

 スパイ防止法の制定には、朝日新聞や毎日新聞に加えて、共同通信などが反対の大キャンペーンを張ることが予想されるが、近年、経済安全保障問題が注目を集めるなか、日本がスパイ天国と揶揄されないためにも、スパイ防止法の制定は必要である。

(濱口 和久)週刊「世界と日本」第2243号

 

性急な政策修正要求は危険
偏らない視点で政策論議を

 

植田新日銀総裁への期待と

黒田日銀への〝過度〟な批判

 

 4月9日に、日銀の新総裁に植田和男氏が就任する。

 植田氏は国会の所信聴取で「現在の物価上昇はコストプッシュであり、需要の強さによるものではない。目標の2%の安定的な達成には時間がかかる」として「金融緩和を継続する」と基本姿勢を表明した。

 一方、異次元緩和には「さまざまな副作用が生じている」と指摘しつつ、「緩和のメリットが副作用のデメリットを上回る」と、早期の政策修正には慎重な姿勢を示した。同氏のこうした考え方が伝わるにつれ安心感が広がり、メディアの論調もおおむね好意的だ。

 ただ、今回の総裁交代をめぐる報道で気になることがある。黒田東彦現総裁への批判が増え、一部には全面否定ともいえる内容が目につくことだ。

 中でも日経の「経済教室」(3月15日付)は突出していた。日銀出身の経済学者、翁邦雄氏の寄稿論文で、黒田日銀の異次元緩和は「中国のゼロコロナ政策と似通っている」というのだ。それによれば、ゼロコロナ政策は当初は劇的な成果を収めたが、ロックダウンから抜け出せなくなり、市民の不満が限界に達して解除、感染が爆発的に増加した。異次元緩和では長期金利の固定化(YCC)を導入し市場をロックダウンしたと、ゼロコロナと重ねている。

 翁氏はかつて日銀の理論的支柱と言われた人だが、それに似つかわしくない乱暴な議論だ。言うまでもなく、中国のゼロコロナ政策と日銀の金融政策とでは全く次元が異なる。強権政治が引き起こした事態と「似通っている」などと批判するのは不適切だ。

 最近、メディアで日銀OBの発言が目立っている。前総裁の白川方明氏がIMF(国通貨基金)の季刊誌に「変化の時」と題して寄稿したことも話題を呼んだ。各紙がこれを報じたが、中でも日経(3月1日付)は「異次元緩和に疑問を呈した」と詳しく紹介していた。

 その日経は、「市場のゆがみ限界に」(2月15日付)、「異次元緩和問われる10年」(3月3日付)など、黒田日銀に批判的な論調が多い。

 黒田日銀の政策にはYCCの副作用など改善すべき点があるのは確かだ。

 しかし黒田批判の多くは「異次元緩和は効果がなかった」と、異次元緩和そのものに向けられている。

 だがこの10年間で「デフレではない状況」(植田氏)になったのは事実だ。成果が十分とは言えないが、全面否定されるものではないだろう。

 こうした黒田批判は、植田新総裁に早期の政策修正を求めることにつながりやすい。だが前のめりの出口戦略が危険なことは、過去の日銀の失敗が示している。その時、多くのメディアが同調したことも教訓にすべきだ。

 メディアは、異次元緩和の成果と課題を幅広い視点から検証し、今後の金融政策のあり方について一方に偏らない議論の場を提供すべきである。

(岡田 晃)週刊「世界と日本」第2242号

 

おっさんビジネス用語
不毛な日本語のまん延

 

表現力欠如の社会現象か

理解不可能な人への配慮を

 

 「おっさんビジネス用語」の使い方と落とし穴を取り上げた産経の2月28日配信記事にはうなずかされた。

 「一丁目一番地、鉛筆なめなめ、ガラガラポン、全員野球」など何度か聞いたことがあったが、そのたびにこの用語はいつ定着したのか、どのように定着したのかと疑問に思っていた。産経の記事はこの疑問を氷解させる優れものであった。

 とはいえ、「ロハ、よしなに、えいや」など一度も聞いたことがない用語もあり、自分の知らない世界でそんなに流通していたのかと驚かされる共に、自分一人取り残されたような孤独感も味わった。

 同記事によると、使う人には「面白い、柔らかい印象を与える、便利なフレーズ、職場の潤滑油になる」などの効果があるらしい。しかし、明確な定義がないために、「正確に伝わらない、誤解を生んだりする、言葉の意味が分からず混乱した」などのマイナス効果もあるという。

 どうやら私が味わった孤独感は、用語が流通する職場に私が属していないためであり、違和感を持ったのは、正確な意味がわからないためであったようだ。ガースーといった表現やガーシーの呼称にずっと違和感や嫌悪感を持つのも、これに近いものがある。

 孤独感、違和感や嫌悪感を抱くのは、おっさんビジネス用語だけではない。野球などでよく使われる「勝利の方程式、何とかジャパン」という言い回しにも似たものを感じる。最初に使った人は独創的であったかもしれないが、女性アナウンサーまで用いるとなると、人真似でなくもっと自分の言葉で表現できないものかと思ってしまう。他人の表現を借用するだけでは、官僚の書いた文章をただ読み上げるだけの大臣とほとんど変わらない。

 日本社会にとって、おっさんビジネス用語よりももっと深刻なのは、テレビのグルメ番組で出演者が使う言葉である。何を食べても「おいしー、めっちゃおいしい、めちゃくちゃおいしい」しか出てこない。貴重な料理を食べさせてもらっても出てくる言葉は下品かつ貧弱な俗語だけ、しかもそれで高額の出演料をもらい、視聴者がそれを称賛するのは、ほとんど病的な世界である。下品かつ貧弱な世界を映し出す放送に対して高額な報酬が支払われるのは、極めて不合理かつ不公平だ。

 これに対し、収入や生活の不安定に直面しているギグ・ワーカーや非正規労働者から強い不満や批判の言葉が出てきても良いのではないか。また、番組等に出演する有識者や文化人が日本文化の低俗性を指摘し、問題提起しても良いのではないか。それとも、出演によって自分の認知度と報酬がアップすることしか関心がないのか。もっとも、そのようなことを指摘しようものなら、二度と番組出演のチャンスがやってこないかもしれない。

 かつて低俗番組の横行に対し「一億白痴化」と看破した大宅壮一氏が生きていたら何と表現しただろうか。問題の深刻さは、おっさんビジネス用語をはるかに上回る。

(谷口 洋志)週刊「世界と日本」第2241号

 

米の中国偵察気球撃墜
不明飛行物体も相次ぐ

 

海も空も制覇目論む?中国

日本の対応言及は産・読のみ

 

 北米大陸上空に侵入した中国の偵察気球を2月4日、米空軍が撃墜。その後も3日連続、米上空で不明飛行物体を撃ち落とすという奇怪な事件が起きた。

 さすがに全国紙社説も今回は「撃墜しないで話合いを」とは書かない。毎日新聞は見出しを「米が『偵察』気球撃墜、中国の言動が緊張高めた」(7日付)とし、《両国(注:米中)間の緊張を高めた責任は、中国にある》と断じた。たとえ過ちであれ無断侵入は弁解の余地はないから当然だ。

 ただし結構なのはそこまで。気象研究の民生用への武力行使は過剰反応という中国と、偵察目的での領空侵犯の撃墜は国際法上可とする米国の主張を《国際法の解釈が真っ向から対立した》と言うのは、さしずめ悪しき客観主義の典型である。

 これは国際法の解釈の違いの問題ではない。日本経済新聞(6日付)と読売新聞(7日付)両社説が異口同音で指摘したように、中国では航空・宇宙・気象に関わる部門の活動は政府の関与なしにはあり得ない。国際法云々以前に、ここは民生用を隠れ蓑にする欺瞞(ぎまん)こそ問うべきであろう。

 同様に朝日新聞社説(7日付)がブリンケン米国務長官の訪中延期を《進展の兆しを見せていた対話の流れに水を差したのは残念というほかない》というのもお門違いだ。

 中止しなければ、中国が「この位は米国も看過する」とより大胆な行動を取る可能性の高いことは、過去の言動が証明済み。訪中に敢えてぶつけたような気球侵入は、米国を試したか、習近平政権と軍部に齟齬(そご)があるか、対米関係で路線対立があるか等々、何故今だったのかを巡って様々な疑問を惹起(じゃっき)する。

 筆者が事件に真っ先に思ったことは、宇宙を含めて空、特にインド太平洋上で支配権確立を目指す中国の野心が、いよいよ露わになったというものだ。

 海洋では、南・東の両シナ海の現状が示すように、既にそれは始まっている。1992年の領海法制定以来、前者では領有権を争う東南アジア諸国を向うに着々と軍事拠点化を図り、後者では日本の尖閣諸島海域へ武装海警船を今や日常的に送り込む。頻度も規模も昨今はエスカレーションに歯止めがない。

 米国防総省によれば偵察気球の飛行は5大陸40カ国超に及ぶというから、中国は「今頃気付いたか」と宇宙戦略の再構築を計っているかもしれない。

 日本でも、令和2年6月と同3年9月に似たような飛行物体の目撃を官房副長官が記者会見で認め、産経新聞主張(社説)は《政府と自衛隊は、スパイ気球やドローン(無人機)に対処する能力をきちんと備えているのか》(8日付)と問うた。

 読売も日本周辺の動向の再調査を求めたが、他紙は言及なし。その後「中国の偵察用と強く推定」(防衛省)される気球の存在が次々と明らかになっている。メディアは国民の関心や不安にもっと敏感でありたい。

 今後の「長期戦」のためにも、撃墜気球の調査結果や同盟国との情報共有が待たれる。

(千野 境子)週刊「世界と日本」第2240号

 

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