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内外ニュース懇談会 講演要約

講演
しくみを変える 悪しき文化を変える

カルビー株式会社
代表取締役会長兼CEO
松本 晃 氏

2015年月15日に開催した東京懇談会で、「しくみを変える 悪しき文化を変える」と題して、「経営とは何か」に迫り、国内外の会社経営という経験に裏打ちされた思うところを縦横無尽に語った。


 皆さんこんにちは。松本晃でございます。カルビーに来てから、もう少しで6年になる。「このようなことをやっていますよ。こんな考え方ですよ」ということをお話ししたい。

 今週の日経新聞に、カルビーは6期連続で増収・増益と載り、喜んでいる社員がいるから、30年ぐらい連続なら、少しはやったと思っていいが、わずか6年で威張るなと。もちろん30年先は、私はおそらく地球上にはいないが・・・。そういうことを申している。

良い文化は残し、悪しき文化は排除した

 1989年の11月9日、ベルリンの壁が崩壊した時を境に、世界は全く変わった。西と東、こういうものが基本的にはなくなった。

 日本は、89年以前の40年は大変良かった。こんな世界が後にも先にも、もう1度戻ってくるはずはない。

 振り返ると、1980年の後半になって、世界はおかしくなってきた。91年にはソ連が崩壊し、95年には日本で阪神大震災。98年にはアジア金融危機がおこり、2003年には世界同時不況。08年にはリーマンショック。さらに日本では11年に東日本大震災と・・・。世界は全く変わった。変わったのだから我々も変わらざるを得ない。

 カルビーは大変いい会社だったが、約6年前は正直停滞していた。売り上げが伸び悩み、利益は非常に少ない。そんな会社ゆえ、変えていかざるを得ないが、実は“少し”変えただけだ。焦って全部変えるより一つずつ順番にと。

 それでも世間では「カルビーは変わった。変わった」と言ってくれた。何を変えたか。要するに、「しくみ」を変えたのだ。つまり、良い文化は残し、悪しき文化は排除した。

経営に欠かせない3つの要素

 さて、経営って一体何だろうか。それは株主を喜ばせることではなく、すべてのステークホルダーズ(会社の利害関係者)を喜ばすことだ。簡単に言えば、2つから成りたっている。1つは、すべて世のため、人のため。もう1つは、当たり前のことだが儲けることだ。

 経営には欠かせない3つの要素がある。

 1番目は「しっかりしたビジョン」だ。昔の日本の会社は、ちゃんとビジョンをつくってから始めた。ところがだんだん、ただお金を儲けることだけがビジョンになったが、そんなものはビジョンとは言えない。

 いま、皆さんのお手元にお配りしたのは、私が15年間勤め、そのうち9年間社長を務めた、ジョンソン&ジョンソン『Our Credo(我が信条)』のペーパーだ。(※ダウンロード 和文版PDF 英文版PDF

 これは、世界で最も優秀なビジネス・ドキュメンツだと言われている。繰り返し読んで、3年ほどすると、なるほどと思うようになる。

 しかし、ビジョンだけでは何をやっていいのかがわからない。2番目は「具体的なプラン」だ。どの仕事、どの商品、どのサービスを・・・。これらを具体化しなければならない。

 具体化されたら、必要になるのは、3番目の「リーダーシップ」だ。経営はこの3つから成り立っている。

ステークホルダーズへの思い

 会長としてカルビーに着任したのは2009年の6月25日だが、その2日後に、次に紹介する「全てのステークホルダーズに対しての責任を果たしていく」ビジョンをつくった。

 1番目は顧客と取引先で、2番目が従業員とその家族だ。

 3番目がコミュニティ。自分たちが住んでいる地域社会、国、世界、地球。それから大事なのは資源、環境。それらを合わせてコミュニティと考えている。

 そして4番目が株主になる。株主を1、2番目にするから、うまくいかないのだ。株主に本当に良くしたいと思うなら、4番目に置かなければいけない。

 これらのステークホルダーズから尊敬され、賞賛されて、愛されたらいいなあと、思っている。

「しくみ」を変えることの大事さ

 時代にそぐわない悪しき文化についてだが・・・。組織が悪くなる、停滞する。また、業績が右肩下がりになると、たいていは「人」を変える。人を変えたら、その人は自分の好きなように組織を変える。その後どうするか。実はたいがい何もやらない。

 だから、まずは「しくみ」を変えることが大事だ。すると組織は、その「しくみ」に合うように変わる。人はその後でもいい。

 私は今、会長兼CEOで、伊藤秀二さんが社長兼COOだ。CEOの仕事とCOOの仕事をはっきり分けた。

 会社の方針・方向、今年幾ら稼いで幾ら売るかという目標はCEOの私が決める。

 私が決めた方針・方向に従って、目標を達成する役割が社長だ。その代わり、権限のすべては社長に移譲する。大事なことは、社長が一生懸命やって、達成できなかった場合、それは社長の責任ではなく、会長である私の責任だ。

株主さんの会社とは

 上場を機に、会社は大変きれいになった。「上場って何だ」と皆さんがよく言うが、一言で言うと「マイカンパニーもしくはアワカンパニー」が、「ユアカンパニー」になることである。株主総会で「わが社」と言う経営者は上場の意味がわかっていない。わが社ではなくて、株主さんの会社なのだから。

会社がうまくいくためのコツ

 会社、組織を上手に運営するためには、次の3つがある。

 1番目は、Appreciation(感謝)。よくやってくれたら、ありがとうと言う。それを口に出して言うことが大切だ。それだけでも当然、人は動く。

 2番目は、Recognition(表彰)。ちゃんとした賞賛の場が必要だ。会社全体の賞賛の場は年に1回やっている。「カルビーアワード」と称し、前の年に会社に貢献した人を集めて表彰式をやる。これが大事だ。

 3番目は、Compensation(報酬)。払うべきものはしっかりと払う。

 この3つを、上手にバランスを持って、社員を動機付けし、刺激することが、組織を活性化し、会社がうまくいくコツだ。

文化を変える

 「今、あなた(会社)が使おうとしているお金はInvestment(投資)ですか。投資は将来返ってくる可能性がありますが、そうでなければ、これはExpense(費用)です」と。自分で判断して、投資だったらやれ。費用なら最初から使うなと。

 上司が許可している、という文化をつくるから、お金の使い方がいい加減になって、とにかく上司の許可さえ取ればいいと。そうではなく、自分で考えて、自分でやれと。

 ダイバーシティは、5年前から、ダイバーシティ委員会をつくって取り組み始めた。今年の4月1日で管理職に占める女性の割合は、ほぼ20%になった。そして「なでしこ銘柄」にも選ばれた。

カルビーの「夢経営」とは

 毎年「7年後の夢」を語る会を5月に2日間、泊まり込みでやる。今の夢は、「カルビーを1兆円の売り上げ、営業利益2000億円の会社にする」

ということだが、1日目に「こうなればいいなあ」という話をして、2日目に、「じゃあ、何をやったらいいのかな」と、大変楽しい夢を語る会をやっている。

 カルビーに来て、まず組織の簡素化、透明化、分権化をすすめた。

 1番目。組織というのは、放っておいたらどんどん複雑化する。したがって、どんどん簡素化し、できるだけシンプルにしろ。

 2番目。どんどん透明化しろ。俺しか知らんというものはなくせ。会社の中に秘密なし。

 3番目。権限はできるだけ移譲しろ。社員を元気にして、もっと優秀にしろ。

 吉田松陰の言葉に、皆さんとシェアしたい、メッセージがある。

 「夢なき者に理想なし」、「理想なき者に計画なし」、「計画なき者に実行なし」、「実行なき者に成功なし」。故に「夢なき者に成功なし」。

 カルビーはまだまだ小さな会社で、前期の売り上げは2222億円。世界には、スイスという小さなところから進出して、10兆円超の売り上げを誇る世界最大の食品会社・ネスレがある。

 日本からでも立派な会社を、と夢を持ってやっている。

 

※講演全文は月刊『世界と日本』1253号に収録されます。また、要約は週刊「世界と日本」2055号に掲載されます。

 

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