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祝!関西懇談会  創立45周年

内外ニュース関西懇談会 創立45周年記念講演

「これからの国際ビジネス戦略~万博・IR関西経済を展望する」

元国税庁長官
ベトナム簿記普及推進協議会理事長
大武 健一郎 氏

 「内外ニュース関西懇談会・創立45周年」記念の例会が、平成30年10月22日、大阪新阪急ホテルで開催された。はじめに弊社社長、千葉榮爾が「45周年を迎えることができましたことは、ひとえに、支えてくださいました会員の皆様のお陰です」と感謝の言葉を述べ、「これからも質の高い情報を提供していきたい」と決意を語った。続いて、元国税庁長官、特定非営利活動法人・ベトナム簿記普及推進協議会理事長の大武健一郎氏が「これからの国際ビジネス戦略~万博・IR関西経済を展望する」と題して講演し、好評を博した。

《おおたけ・けんいちろう》
昭和21年生まれ。東京都出身。昭和45年東京大学卒業後、大蔵省(現財務省)入省。大阪国税局長、国税庁長官を歴任。退官(平成17年)後、商工組合中央金庫副理事長。現在、関西大学客員教授、北京中央財経大学名誉教授。著書は『データで示す日本の大転換「当たり前」への回帰』(かんき出版)、『「平和のプロ」日本は「戦争のプロ」ベトナムに学べ』(毎日新聞社)など多数。

日本の平和を守ること。それが私たちの一番の役割ではないか

 今、世界は大きく動いている。実は日本も大きな転換期を迎えたというのが、私の思いだ。
 私は今、3分の1を海外で生活し、3分の1は日本の地方都市を回り、地方の社長塾を全国7カ所で開いている。
 今日お話しするのは、世界の動きと日本の動き、さらにその中で関西経済がどうなるのかである。
 特に世界の動きについては、私が4年前に出した『平和のプロ日本は戦争のプロベトナムに学べ』という本に書いたが、その中でベトナム人が言った言葉で一生忘れられないのが、「太平洋戦争が終わって70年経つと、世界は平和から戦争に向かい出すから、大武さん、日本もそこは頭に置いたほうがいいですよ」ということだった。
 それはベトナムという国は、中国に1000年占領され、その後も中国に常に干渉を受け、さらにフランスが100年占領し、フランス、アメリカと戦いをした。中国が1000年占領した後も、だいたい70年に1回、中国に攻められたという歴史があるからだ。
 彼らが言うには「基本的には、戦争というのは、勝ったほうも負けたほうもやりたくない。だから70年間は平和なんだ」と。
 現在、トランプ米大統領が典型的な例だが、戦争を知らない世代が非常に角突き合わせる時代に入っていると言われ、この本を出した。その後、まさに世界中で、平和に向かっていたベクトルが、戦争に向かっているという気がしてならない。
 一方、我々は今まで戦争に向かっていくベクトルはなかったので、みんなが「軍縮だ、平和だ」と言っていた。しかしこれからは、具体的に平和に向かって何ができるのかと思い、国税庁の長官を辞めた直後にNPOをつくり、ベトナムに日本語で簿記を教えることをやり出した。
 今、人手不足ということもあり、大量のベトナム人が来るようになった。実は受け入れには大問題がたくさんあるが、いずれにしてもASEAN(東南アジア諸国連合)という国とタッグを組むことで、中国とアメリカの中間で、我々がやれることはたくさんある。
 やはり一番重要なことは、日本の平和を守ること。それが私たちの一番の役割ではないかと、今でもそう思ってやっている。

いくつか日本の問題を考える

 次に、いくつか日本の問題を考えてみたい。
 これからの日本の問題は人口だ。労働力の人口減少と超高齢化の進行は、本当に大問題である。政府もやっと重い腰を上げ、移民を認めたらどうかとか、労働力を、いわゆる今までのような技能実習生や、私立大学に通う中で1週28時間働いてもいいとか、そういう、まやかしでない形の労働を認めることを決め、来年4月から本格化すると思う。
 その中で大切なのは、日本語だ。文部省から来た人は口を開くと「国際化、グローバル化は英語を学ぶことだ」と言う。しかし、日本人が海外に行く時には英語の会話力がいるが、それすらAIでできるような時代になってきた。
 何より重要なのは、これから来る外国の人に、日本語をある程度話せるようになってもらうこと。それが日本の国際化に最も重要なことだと思う。ましてや大阪は海外の人が一番憧れる地だから、教育をしっかりやってもらいたいと思う。
 2025年には団塊の世代、昭和22年から25年生まれが、全員75歳以上になる。75歳以上になると、かなりの人が医療や介護の世話になるだろう。今より34兆円のお金が必要になり、消費税を少々上げただけでできる額ではない。
 だから私は国税庁を辞める時に、「社会保障と税の一体改革」をしてくれと言った。税だけでは、やれるはずがない。全ての社会保障を賄うほど、消費税を上げられるわけがない。
 そして、社会保障自体を、もう少し軽減させてはどうか。例えば医療がそうであるように、年金を食料切符、また住宅は、今やあちこちで空き家だから、そこを使っていただくとか、実物給付に切りかえる。
 さらに日本人の劣化という問題もある。本当の意味で先を見据え、行動するリーダーが欠落している。私もいくつかの会社の経営に関与しているが、中期計画といっても、社長自体がくびになるかもしれないから、3年先のことしか気にしていない。結果として、もっと長期についての話の布石が、ほとんど触れられないまま来てしまっている。

地域で人・物・金の使い方工夫を

 最後に、時代の変化に対応できない日本人の問題についてお話しする。
 企業も国家も、労働力不足や国際化、IT化、AIの活用というものに、明らかに他の国に比べ、戦略が抜けているので、非常につらい状況になってきていると思う。
 私は、日本人は“京都の人”に、大阪では“堺の人”に学んでほしいと思う。
 それはストックを利用することた。所得倍増計画など、財政再建もプライマリーバランスというフローで、解決を図ることばかり言ってきた。しかしこれから人の数が減り、どんなに1人当たりのGDPが増えても、トータルのGDPは伸びない。つまり、これからはアダム・スミスの国富論ではないが、ストックをどう増やすか、どう活用するかだと思う。
 そういう意味では、京都はちゃんと町屋の古い民家を改築して、民泊で使う。東京や大阪でも始まっていると思うが、そういうものをもっともっと活用したほうがいい。
 日本の国の経済は今までのような右肩上がりは、人口が減ったら無理だ。人というストックをいかに活用するかである。ストックは何も物だけではない。金も人も物も、どう使うかが、これからのカギになると思っている。
 関西経済はとりあえずイベント、つまり万博を連れてくることである。これはおそらく成功すると思う。万博をやりたいというほどのお金をもっている国はないからだ。重要なのは、その跡地を一過性ではない経済にするために、まさにIR(統合型リゾート)をやるしかない。
 大阪は、外国人が1番いい街だと思っている。世界の中の第3位(英誌「EIU」調べ「世界で最も住みやすい都市」ランキング)になったのは、世界で最も住みやすくて、安くておいしい食べ物があり、サービスがいいからだ。

関西の起爆剤は万博とIR

 やはりIRが大阪にとっては、一番カギだと思う。一発で終わらない催事などで、より人を呼んでくる経済環境をつくることに腐心される必要があると思う。何しろ大阪は物価が安くて、人が親切で、そこが世界で評価されているので、海外客誘致とその人脈を利用した海外戦略があると思う。
 日本は一極だけではだめで、このままいくと東京だけになってしまう。金融だけはグローバル化に簡単に乗れるが、それをやっていると結局、人を生かせない。
 それぞれの地域が、ストック、特に人・物・金をどう使うかのアイディアを出すことである。
 大阪というのは、ある意味で本当の国際都市の一番いいところをもっているので、それをいかに生かすか。そういう戦略をもっと立ててほしいと、つくづく思う次第である。

創立45周年懇談会の模様
創立45周年懇談会の模様

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