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防衛コラム

第11回 週刊「世界と日本」2176号 令和2年7月6日

太平洋島嶼国地域との安全保障協力

元海将

山下 万喜(かずき) 氏

 防衛省主催の太平洋島嶼国地域の国防大臣会合(JPIDD)が、新型コロナウイルスの影響で延期された。太平洋島嶼国14カ国のうち、軍隊を保有する3カ国の国防大臣を招き、その他の島嶼国、米、豪、新、英、仏など関係国からも参加を募り、安全保障上の課題に関する意見交換等を行う予定だった。

 ここで考慮すべきは中国の関与拡大である。中国は台湾との断交を迫り、外交上の有利を得るため、これらの島嶼国に巨額の経済支援を行い、人員と資源を投入し、港湾等の重要インフラを整備することで自国に依存せざるを得ない状況を作り出してきた。

 一方で、島嶼国は中国の思惑を察知しながらも、関係国の狭間で上手くバランスを取り成長を続けている。この地域の安全保障を論じる場合には、このような島嶼国の意向を尊重し、軍事問題を中心とした会合であっても、その結果は全ての島嶼国が享受できるものとすべきである。

 例えば、自然災害への対応や海洋資源の管理などは、いずれの島嶼国も無視できない重要な課題であり、その対策は軍事力が関わることで実効性を増す。具体的には机上での演習を通じ、空港や港湾等への日頃からのアクセス確保や、共通の通信手段及び作業手順の必要性を議論する。

 また、海洋資源を適切に管理するため、広大な排他的経済水域における警戒監視の重要性を訴え、平素からの海軍等の活動を通して得られた情報を共有する仕組みを議論することなどが考えられる。

 会合の性格上、中国の島嶼国地域への関与を具体的に公表することはできないが、参加した島嶼国が特定の国に過度に依存している状況の危険性を認識できるように議論の焦点を絞ることはできる。

 この会合での議論を通じ、自由で開かれたインド太平洋という考え方に則り、多国間協力による選択肢確保の必要性や、ルールに基づく国際秩序の維持の重要性を共有できない国は、将来的には孤立し、困窮するという認識が芽生え定着することを期待する。

 

第10回 週刊「世界と日本」2174号 令和2年6月8日

ポストコロナの日米同盟

元空将

尾上 定正 氏

 60周年の節目に日米同盟は2つの大きな課題に直面している。トランプ大統領の大幅な防衛費負担の増額要求と新型コロナウイルスの危機である。

 隣の米韓同盟は4月以降在韓米軍基地の韓国人労務者が無給休職となる異常事態にもかかわらず、両国首脳は折り合うそぶりもない。在韓米軍縮小撤退という事態すら現実味を帯び、日本としても今後の展開を注視して日米同盟への影響と対応を考えるべきだ。

 さらに突然世界を襲ったパンデミックは、危機後の世界が一変するほどのインパクトをもたらし、日米同盟もその影響を受けるであろう。グローバル化した世界でも結局国民の命と生活を守るのは国家であり、ウイルスを遮断するには国境を閉じるしかなかった。

 人類共通の敵に対処するには国境を越えた協力が必要だが、米中は自国ファーストで“Gゼロ”の世界を実感させられている。何より、米海軍の誇る空母機動部隊に感染が拡大し、一時的にせよ太平洋に実動する空母がいなくなった。艦長更迭を巡る混乱は米軍の政軍関係・指揮統制の揺らぎをも懸念させる。

 感染源の武漢を丸ごと都市封鎖する強権措置とIT技術の駆使によって、いち早く危機を脱した中国は欧米の感染拡大を好機と捉え、マスク外交や空母による示威等、硬軟織り交ぜた“超限戦”を仕掛けている。米国は激しく反発し、欧州諸国も警戒の色が強いが、中国の攻勢には粘り強く適時に反撃することが重要だ。日本も尖閣で隙を見せてはならない。

 事態終息後もコロナ危機が強いる財政負担は国防予算を圧迫し、サプライチェーンリスクと相まって、各国はより内向きで自国優先の誘惑にかられるだろう。日米は協調への強い意志を持ち、その罠にはまらないことが重要である。ポストコロナの世界では、劇的な変化に適応した国々が生き残るのは明白だ。未曽有の危機は過去のしがらみを断ち切る絶好の機会でもある。

 今こそ日本は、独自に持つべき防衛力と“感染後”の新たな日米同盟を構想し、貴重な資源を最も効果的に投資すべきである。

 

第9回 週刊「世界と日本」2172号 令和2年5月11日

ますます重要になる自衛隊の情報収集(調査研究)任務

元陸上自衛隊 東北方面総監

松村 五郎 氏

 世の中の注目が新型コロナウイルス問題に集まる中、メディアに登場することは少なくなったが、海上自衛隊の艦艇と航空機による、中東での日本関係船舶の安全確保のための情報収集活動は、今も粛々と続けられている。

 この派遣にあたって議論となったのは、派遣の根拠が防衛省の所掌事務たる「調査・研究」(防衛省設置法第4条18号)であったことである。派遣間、眼前において日本関係船舶が脅威に曝されているような場合には、海上警備行動を発令して対処するというのが政府の見解であるが、では「調査・研究」という名目は便法なのかとの批判もあった。

 しかしながら、現在の国際安全保障環境を鑑みるとき、実は自衛隊が「調査・研究」の一環として行っている情報収集や警戒監視の任務こそは、わが国の安全保障上、大きな意義を有しているのである。今回の中東派遣のきっかけとなった日本関係船舶に対するリムペットマイン(吸着爆弾)による攻撃にしても、その実施主体が何者であるのかを明確に監視できていれば、その主体は大きな国際的非難に曝され、場合によっては制裁の対象になったであろう。

 十分な情報収集態勢を備え、国際規範に対する個々の違反を明確に特定することは、現代に特有の多様な脅威を抑止する上で、大きな効果がある。海上テロや海賊に対してはもとより、帰属が明確でない離島や極地等の軍事拠点化、国際的経済制裁に対する瀬取り等の違反行為、サイバー空間における違法活動、宇宙や電磁空間における妨害行動やその準備などに対しても同じことが言えよう。

 国際的な規範作りの努力と相まって、情報収集、警戒監視態勢を充実させてこそ、規範遵守の実効性を確保することができる。

 国際安全保障環境は大きく変化している。今後自衛隊が、海洋、サイバー空間、宇宙、電磁空間などにおける情報収集、警戒監視の体制や能力を強化していくことの意義は、ますます増大すると考えられる。環境変化に適合させた、防衛体制や法制の整備、整合が強く望まれるところである。

 

第8回 週刊「世界と日本」2170号 令和2年4月6日

人工知能(AI)の軍事への適用

富士通システム統合研究所 安全保障研究所長

渡部 悦和 氏

 AIの軍事適用が世界的な潮流になっている。米軍はこの分野でトップであるが、中国人民解放軍も米軍に肉薄している。中国は、AIを将来の最優先技術と位置づけ、「2030年までにAIで世界をリードする」と宣言、習主席が重視する「軍民融合」(軍と民の技術の融合)により、民間のAI技術を軍事利用し、「AI軍事革命」を指向、AIと無人機システム(無人のロボットやドローンなど)の融合を重視し、これにより戦争の様相は激変すると信じている。

 一般に、AIの軍事適用は、人事、情報、作戦・運用、兵站(補給、整備、輸送)、衛生などの「あらゆる分野」に及ぶが、まとめると以下のようになる。

 ▽AIを無人機システム(ドローン、水上艦艇、無人潜水艇、ロボット)に

  搭載して、兵器の知能化(自律化)を実現

 ▽サイバー戦における防御、攻撃、情報収集の全ての分野

 ▽情報活動分野、例えば、AIによるデータ融合、情報処理、情報分析も有望。

  特に、AI自動翻訳機の日米共同作戦や国際情勢分析での使用

 ▽目標確認、状況把握の分野。例えば顔認証、海洋状況把握(MSA)、

  宇宙状況把握(SSA)

 ▽ウォーゲーム、戦闘シミュレーション、教育・訓練の分野

 ▽指揮・意思決定、戦場管理の分野

 ▽兵站、輸送の分野。例えば、AIによる補給、整備、輸送などの最適な兵站計画

  の作成

 ▽医療活動、毎日の心と体の健康維持。AIがカウンセラーを代用する案は有望

 ▽フェイクニュースなどの影響作戦(Influence Operation)に対処

 以上、今後AIの活用は避けられないが、自律型兵器の開発に当たっては、国際法、倫理、ROEを十分に考慮しなければならない。

 日本政府は、人間が関与しない完全自律型致死兵器の開発は行わないが、人間が関与する自律型兵器の研究開発への規制は厳に慎むべきだとの立場だ。

 自衛隊のAI活用は米国や中国に比較して低調である。特段の奮起を期待したい。

 

第7回 週刊「世界と日本」2168号 令和2年3月2日

中国の対台湾圧力強化に対応した日米台防衛協力の在り方

元海将

矢野 一樹 氏

 先般、台湾で実施された総統選は蔡英文氏の圧勝に終わった。これには1国2制度下にある現香港の騒動が大きく影響した事は疑いない。これによって台湾が政治的に中国と統一される可能性は遠のいたが、反面、この事態は中国による台湾武力統一の決意を高める可能性を内包している。

 現状、我が国の同盟国たる米国は、中国を長期競争相手と認識し、これに対する経済的な締め付けを強化、軍事的にも対決姿勢を採り、台湾への軍事支援を強化している。

 これに対して日本は、日米同盟の重要性について事あるごとに言及はするものの、対中・対台湾姿勢に関しては、全く同盟国米国の意図に沿わない低姿勢に終始している。

 一方、地政学的に見れば、日本と台湾は「一衣帯水」の関係にあり、我が国が生存を全うするためには、台湾が日米同盟サイドに留まることが絶対条件と言える。

 米国の如く「台湾関係法」を制定していない日本が、台湾との平素からの連携を強化するためには、米国を仲介した台湾支援強化の枠組みを、日本政府承認の「日台交流強化」の形で早期に構築することが必須と考える。

 政治・経済的には、台湾の孤立化を図る中国への対応として、台湾の国際的な地位向上への支援が必要となる。米国との緊密な協力のもと、台湾の国際機関等への参加等を支援・助力するとともに、日台の経済的な結び付きを強化する「自由貿易協定」の早期締結が望まれる。

 軍事的には、米国が台湾への軍事供与を強化しつつある現状を踏まえ、同国を仲介・迂回して台湾が希求する防衛技術の移転、防衛装備品の供与等を実施する手法が考えられる。

 また、現在、台湾との人的・防衛交流を強化している米国の諸計画に日台が個々に参画し、これを共通基盤として相互の人的・防衛交流を強化することも一計と考える。

 米国が台湾重視に回帰し、中国の国家姿勢に大きな疑念が日米に共有されつつある現在、日本はこの状況を最大限に活用し、米国と軌を一にした台湾支援強化に踏み切る絶好の機会であると考える。

 

第6回 週刊「世界と日本」2166号 令和2年2月3日

「戦略的競争」を導入する日米同盟

慶應義塾大学教授

神保 謙 氏

 米国の『国家防衛戦略』(18年7月)は、中国やロシアとの「長期にわたる戦略的競争」が中核的課題だと説いている。米国の戦略用語としての戦略的競争は、米ソ冷戦期における熾烈な対立を長期的に勝ち抜く政策体系として、主として米国防省の戦略計画や統合アセスメントから生み出された概念である。

 戦略的競争の原理は、安全保障、経済、技術の優位性を保つため、台頭する競争相手国のパワーの基盤を揺るがし、資源を競争劣位な分野に浪費させ、拡張政策のコストを賦課することなどにより長期的競争を勝ち抜くことにある。

 米国防省は伝統的な作戦領域における米国の優位が自明ではない戦略環境でも、潜水艦を中心とする水中戦や、電子戦領域、宇宙、サイバー、無人兵器、指向性エネルギー兵器などの新領域を組み合わせたクロス・ドメインの戦闘領域を確立することにより、競争相手に多大なコストを賦課し、統合的な優位を確保しようとする。

 日米同盟も「戦略的競争」を共通の戦略として導入しつつある。

 2019年4月の日米安全保障協議委員会(2+2)は「領域横断作戦における協力、日米同盟の能力強化並びに運用の即応性及び協力の強化」を「中核的目標」としている。防衛計画の大綱(2018年12月)でも強調された「宇宙、サイバー及び電磁波領域」を日米共通の優先分野として確認している。

 ただし戦略的競争の中核的課題は、接近阻止・地域拒否(A2/AD)環境下においても、米軍の前方展開と作戦空間におけるアクセスを確保し、日米共同作戦の領域を拡大・強化することである。そのためには米海空軍が最新鋭の攻撃アセットを前方展開し、米海兵隊が即応展開できる態勢を強化する必要がある。

 日本自身も在日米軍基地を戦力投射プラットフォームとして抗堪性を強化し、自衛隊の常続監視能力、スタンドオフ防衛能力、統合ミサイル防空能力、機動展開能力を統合的に強化することが肝要だ。

 

第5回 週刊「世界と日本」2163号 令和元年12月16日

専守防衛ではなく積極防衛(アクティブ・ディフェンス)

元陸将

元東部方面総監

渡部 悦和 氏

 我が国は、先の大戦における敗戦後、世界に類を見ない不毛な安全保障議論を繰り返してきた。その象徴が「専守防衛」という非常識な政策だ。一般の国民は、専守防衛を「もっぱら防衛し、攻撃をしない」と解釈している。

 この解釈を忠実に守ると、軍事的には「百戦して百敗」の国防政策だと言わざるを得ない。

 一方、政府の「専守防衛」の解釈は、「相手から武力攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう」となっている。

 「相手から武力攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使する」という表現は問題ない。しかし、「その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」とは余りにも消極的すぎる。

 歴代政府は、「専守防衛は国是だ」と主張しているが、この「百戦して百敗」の政策を国是にしてはいけない。

 専守防衛ではなく、「積極防衛」を採用すべきだ。この積極防衛は、「日本は先制攻撃しないが、相手から攻撃されたならば、自衛のために必要な防衛力で断固として反撃する」という防衛政策である。

 つまり、専守防衛の定義で使われている「防衛力の行使を自衛のための必要最小限にとどめ」とか「保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」などの過度に抑制的な表現を使うべきではない。

 単純に「自衛のために必要な防衛力で反撃する」という表現が妥当だ。この政策変更を主張する背景には、中国の急速な軍事力の増強や北朝鮮の核ミサイル開発の継続などの増大する脅威がある。これらの脅威に専守防衛では対処不能であり、積極防衛を採用すべきだ。

 ちなみに、日本の最大の脅威である中国人民解放軍の伝統的な戦略は「積極防御(アクティブ・ディフェンス)」である。

 

第4回 週刊「世界と日本」2162号 令和元年12月2日

「自由で開かれたインド太平洋」と「価値の対決」

元陸将

松村 五郎 氏

 10月末、中国本土で5G通信の提供が開始されるとの報道があった。今後中国企業による5Gインフラが、急速に世界中に広がっていくであろう。

 通信保全上の問題と併せて懸念されるのは、インフラと同時に、ビッグデータを国家が支配して国民を管理する中国型デジタル監視社会のモデルが世界の権威主義的国家に広まることである。

 7月に発表された中国の国防白書は、既存の米国を中心とした国際秩序を再構築し、中国こそが新しい「人類運命共同体」を築いていくのだと宣言している。そして具体的には、通信・サイバー分野はもちろんのこと、海洋、極地、宇宙など、あらゆる領域において、今後中国主導の秩序を打ち立てていくことを謳い上げているのである。

 それぞれの領域において、中国は国際社会が築き上げてきた国際法に基づく法の支配をないがしろにし、「力」を前面に押し出して自国に都合がよい秩序を築こうとしている。

 海洋においては、南シナ海に「九段線」と称する国際的根拠がない勢力圏を設定し、その中で中国が主権を行使することを一方的に主張して、他国が領有権を主張する島嶼や岩礁にまで、軍事基地を建設してきた。

 「自由で開かれたインド太平洋」構想は、このような「力」による秩序形成に反対し、法の支配に基づく国際秩序を確保して、航行の自由、紛争の平和的解決、自由な貿易などを推し進めていくイニシアチブである。

 すなわち、この構想を掲げる背景には、「力」や「権威」による秩序には断固として反対し、「自由」と「人権」が守られる開かれた秩序の形成に向けて、民主主義国が力を合わせて国際的な規範を打ち立てていくべきだという、「価値の対決」に向けた決意がある。

 この点を十分に意識した上で、この「自由で開かれたインド太平洋」という価値に関する理念を、少しでも多くのインド太平洋諸国と共有し、様々な領域、様々なレベルで具体的に推進していくことが、今まさに求められているのである。

 

第3回 週刊「世界と日本」2160号 令和元年11月4日

日米同盟の不公平?

元空将

尾上 定正 氏

 「誰かが日本を攻撃すれば、我々は直ちに赴いて第三次世界大戦を始めねばならない。だが我々が攻撃されても日本は我々を助ける必要がない。それはあまりにも不公平だろう」(2015.12.30、トランプ候補)。

 トランプ大統領は同様の発言を今年6月のG20の前後でも繰り返した。偽らざる本音であり、大統領支持派の米国民も賛同するだろう。

 同盟管理は庭仕事に例えられる。日照りもあれば大雨もあり、手を抜くとすぐに雑草がはびこる。同盟には双方の手入れが必要であり、長年「ひ弱な花」を育ててきた日米の専門家たちは、大事な庭を踏み荒らす大統領に激怒している。

 元々非対称な「人とモノの同盟」を、時代の変化に応じて思いやり予算や特措法で、

“Show the Flag”“Boots on the Ground”を実現し、そして限定的とはいえ集団的自衛権の行使を平和安全法制で可能にしたではないか。日米同盟の特殊性を理解しない大統領には、駐留軍経費の増額で納得してもらい、庭から出て行くのを待つしかない。

 果たしてそうか?

 世界の警察官役を降りると宣言したのはオバマ前大統領である。「ペルシャ湾のタンカーは、まず自国で守れ」とのトランプ氏の主張は正論である。米国といえども一国で国際秩序を支えることは無理だ。

 現状変更勢力の中国・ロシアともガチンコで競争しなければならない。そのような国際環境で、米国は価値観を共有する同盟国との利益と役割の配分を見直さざるを得ないのだ。旧知のMITサミュエルズ教授も「元には戻れない」と話す。それらを踏まえ、日本は自国の国益(平和と安全)を守るために何をすべきかを考えることが必要だ。

 日米同盟は、もはや「瓶のふた」でも「フリーライド(ただ乗り)」でもない。両国民の相互信頼と友好は揺るぎなく、米軍と自衛隊は様々な共同訓練を通じて高い相互運用能力を保持している。

 「トモダチ作戦」の絆は太い。カネではなく、自由で開かれたインド太平洋の基軸として、日米同盟の公平な役割分担を考えるべきである。

 

第2回 週刊「世界と日本」2159号 令和元年10月14日

ホルムズ海峡等における我が国の責務

元海将

山下 万喜(かずき) 氏

 日本の会社が運航するタンカーがホルムズ海峡で何者かに攻撃されて4か月が経とうとしている。その間、米国からの有志連合を中心とした対応の呼びかけに対し、歩調を合わせる国もあり、他方独自の対応を表明する国もある。

 

 我が国は米国と協調しながらも外交による対応を優先するとして未だ明確な方針は示していない。我が国から中東やアフリカに至る海上交通路の安全確保は、インド太平洋戦略にも関わる重要な課題である。しかし、法的制約もあり海上自衛隊による対応の難しさが指摘されており、防衛力をもって積極的に対応するという動きは今のところ見られない。

 

 安全保障の常識では、軍事は政治の一手段である。もちろん国の安全保障に関する事案に直ちに軍事力をもって対応することが最善の方法でない事は言うまでもない。ただし、軍事的手段を外交や経済的手段と切り離すことがあってはならない。海軍力は平時から有事に至る幅広い分野で活用すべき国力の一部である。

 

 先般の国連総会での米国や欧州主要国とイランとの距離感を見ても中東情勢は予断を許さない。仮に、ホルムズ海峡等において国益を守る必要のある事態が生起するようであれば、海上自衛隊の派遣を躊躇すべきではない。その際、派遣は国際公共財としての海上交通路の安全確保という国家の意思を伝えるものでなければならない。そのためには、関係国と連携しながらも、米国の意向とは一線を画す我が国独自の活動とするのが得策であろう。

 

 また、活動海域はホルムズ海峡に限る必要もない。船舶の護衛ができなくても情報の収集や配布など活動の幅を広げることもできる。その際、海賊対処行動のように、海上警備行動を端緒とし、後に特別措置法をもってする方法であっても、法的課題を云々し派遣のタイミングを逃すより国益に適ったものとなろう。

 

 もちろん派遣される部隊には危険をはらむ複雑な判断や対応を強いる可能性もあるが、海洋国家である我が国は海上自衛隊を積極的に活用し、海上交通路の安全確保に責任を果たすべきである。

 

第1回 週刊「世界と日本」2156号 令和元年9月2日

「防衛コラム」の連載開始にあたって

元海将/内外ニュース国防研究会編集主幹

金田 秀昭 氏

 昨今、国内外における安全保障・防衛環境は急激な変化を見せ、我が国への直接的影響事象のみを捉えても、北朝鮮の核・ミサイル廃棄、米露間のINF条約破棄、ホルムズ海峡での船舶攻撃、印度太平洋構想の提唱、日米安保の双務性論議、低調な憲法改正や関連政策見直し論議、中台衝突の日本への波及等、迅速かつ適切な対応を必要としています。

 

 そこで週刊『世界と日本』では新たに「防衛コラム」を設け、月1回のペースで、山積する防衛の課題に日本は如何に対応すべきか、その処方箋を明示することとしました。

 

 内外ニュース社編集部では、折々の我が国防衛上の喫緊の課題への対応策を「タイムリー」かつ「ストレート」に提示して欲しいとの全国会員からの要望もあり、検討を重ねて参りました。「防衛コラム」は、一般の会員や読者に馴染む内容とすることは当然として、防衛問題の専門の方々にも、一定の評価を頂ける内容にしたいと考えています。

 

 このため、現在、言論界で活躍中の元自衛隊高官や気鋭の評論家等に執筆をお願いすることにしました。執筆陣としては、尾上定正(元空将)、松村五郎(元陸将)、矢野一樹(元海将)、山下万喜(元海将)、渡部悦和(元陸将)、神保 謙(慶大教授)など、そうそうたる陣容を揃えました。及ばずながら小生も加わります。

 

 当面のテーマとしては、ホルムズ海峡等での海上交通路警護活動への参加(山下)、米大統領の日米安保条約双務性見直し提起(尾上)、印度太平洋戦略の早期策定と具体的な活動の必要性(松村)、周辺軍事動向に真に有効に対処するため必要な基本防衛政策の見直し(渡部)、国内外の防衛環境の変化への根本的な対応(神保)、中台衝突に備えた日台防衛協力(矢野)を予定していますが、新たに喫緊の防衛課題が現出した場合は、再設定いたします。

 

 今後とも、会員や読者の皆様方からのご鞭撻を賜りますよう、お願いします。(敬称略)

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