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    2018年1月1日 週刊「世界と日本」第2116号より

    新春インタビュー

    日本は幸せに負けた国である

    ジャーナリスト
    (公財)国家基本問題研究所理事長
    櫻井 よしこ 氏

    インタビュアー
    政治ジャーナリスト 千葉工業大学理事 細川 珠生 氏

    櫻井よしこ氏(右)と細川珠生氏
    櫻井よしこ氏(右)と細川珠生氏

     新たな年を迎えるにあたり、「新春インタビュー」第1弾として、「2018年、 日本を考える」と題し、ジャーナリストの櫻井よしこ氏に、中国や北朝鮮など、日本をとりまく国際問題、政治が果たすべき役割、さらに喫緊の問題である高齢化社会の在り方など多岐にわたり、政治ジャーナリストの細川珠生氏がお聞きした。

    今、西側陣営“価値観”の旗立てよ

     細川 「2018年が、どういう年になるか」と考えた時、一つには、国際社会における日本をどうしていくか。その中でも特に、北朝鮮の問題とテロに対して、どう向き合うかがあると思います。
     一方で、日本にとってアメリカは大事な国であり、中国や韓国、ロシア、東南アジアの国々との関係も重要になってきますが、日本が今置かれている立場と、これから日本が果たすべき役割についてお伺いします。
     櫻井 世界は今、100年に1回という大変革を遂げており、それは日本にとって大変な危機です。と同時に、日本人がそれをどのように自覚するか、対応するかによっては、とても大きなチャンスにもなりうると思います。
     目の前の一番大きな問題は北朝鮮であり、また、世界が2つの勢力の間で揺れているという意味では、中国が大変な問題国ですね。
     中国は私たちとは全く価値観が異なる「異形の国」ですが、その中国がかつてないほどの力をつけて、これからも膨張していく。それに対抗し、抑止してきたアメリカが、いま大戦略を失い、漂流し始めています。
     そういう状況の中、日本は、アメリカを補完する形で西側陣営の価値観の旗を立てる時で、それが求められている歴史的役割であると思います。その役割を日本の政治家、ひいては日本国民がどれだけ意識しているかが今、問われているのではないでしょうか。
     細川 日本はあまりにも幸せで、明日の生活に困る状況ではないことが、一つあるかもしれませんね。このままでいくと、何十年か先に非常に困ることが、いや今も実は困っているかもしれないですが、それに気づかないのかも。
     櫻井 日本は国内的には幸せな生活を保障していますが、こんな国は他にないです。たとえば、医療一つとってみても、日本ほど、ほどほどに安くて、みんなが恩恵を受けられる「皆保険制度」は他の国にはないのです。
     また、国際社会では、日本は国の防衛を他国に頼る国です。お金はODAにもどんどん出すなどお金の力を使うことはできますが、武力の世界になった時に、日本国民の命を守ることはできないです。平和安全法制はできましたが、北朝鮮が有事になった時に、この法制では北朝鮮に上陸することもできません。
     日本国は、国内においては極めて優しい政府で、国民を守っているかもしれませんが、対外的に「日本は国家ではない」という状況が、戦後70年間、今の憲法でやってきた現実です。
     細川 悪い意味で、今の憲法の精神がよく浸透してしまいましたね。その結果、なぜいけないのかという疑問にも結びつかない。それを考えると、憲法を70年間放置してきた政府の責任は大きいです。
     櫻井 国の基本は経済と安全保障、軍事です。軍事は全然できないが経済ならできるという発想は、間違っているのではないかと、70年が過ぎて痛切に感じています。ですから、日本が本当にどういう国になったのかを、憲法の1項目ずつ、きちんと検証してみないと危ない。
     細川 もう一つ、日本が大きく変わったのは、人口構造です。少子化で75歳以上よりも15歳以下のほうが少ない状況になりました。その上、これまでの年功序列や終身雇用といった働き方、日本的な社会システムもなくなってきました。
     それなのに教育はいまだに、これまでの社会システムを前提として、言われた通りにできる、余計なことは考えなくてもルールを守れる人間をつくろうとしています。そういう人たちでは、社会を変革していく人材としては、非常に能力が乏しいと思います。
     櫻井 私は常々、「日本は幸せと豊かさに負けてしまった国」と言っています。戦後日本は本当に豊かで幸せな国になりましたが、それを維持していくには、それなりに変化し、努力していかなければならないのに、変化への努力がないのは非常に残念です。このことを、もっと私たちが社会に警告していく必要があります。
     細川 国際情勢の変化に日本人が目覚めるには、まず、世の中はいつも変わっていて、国内情勢も変化していることを、自覚することですね。
     櫻井 2017年10月18日から1週間、中国共産党大会が開催されましたね。やはり日本人としては、あの場で「習近平さんがどういうスピーチをしたか」を知るべきだと思います。
     私はあのスピーチを隅から隅まで理解しようと、何回も読みましたが、それは恐ろしいと思いました。どの文節からも中国が世界一の民族になり、21世紀の中華大帝国を築いて、日本も含めた諸民族を従えさせる意気込み、計画に満ちていました。
     習近平さんは自分が国を強くし、2035年までには経済でアメリカを抜き、建国100年の50年には軍事的にも、他に並び立つものがいない強い国となり、中華民族の価値観や考え方が世界諸国に浸透していることを望むと言っていました。
     こういう価値観を掲げている習近平さんが、今、毛沢東と並ぶ偉大な指導者になろうとし、力をもっていることを、日本人は実感しないといけないと思います。
     細川 国内の政治基盤を考えると、2018年は、まず安倍総理が総裁として3選を果たせるかが、大きな節目になるのではないかと思います。安倍総裁の3選なくしては憲法改正もないし、国際社会における日本の役割も果たすことができないのではないかと思いますが、どのようにご覧になっていますか。
     櫻井 安倍さんとしては、経済をもっと浮上させ、国民が本当に豊かになったと実感できるところまでもっていかなければ、と思います。ただ、冷静に考えてみると、民主党政権時代と比べ、経済はものすごくよくなり、就職率も上がり、失業率は下がっています。GDPは民主党政権時代と比べて50兆円も増えていますが、まだ足りないと言っているメディアは、私はおかしいと思います。
     しかも安倍さんは総理大臣でありながら、企業に対し「給与を3%上げてくれ。ボーナスをもっと出してくれ」と言いました。今までそんなことを総理大臣が言ったことはありませんでした。
     本当は労働組合が経営者につきつけるようなことを、安倍さんは経済再生諮問会議など、いろいろなところで言っているわけです。こんな努力をしている総理大臣はいません。だから私は、安倍さんは3選されると思います。
     細川 総裁選は2018年ですが、翌年の19年には参議院選、天皇陛下の御退位、新天皇の御即位、さらに消費税もあります。その翌年20年にはオリンピックがあり、その20年までに憲法改正を施行するとなると、19年中には改正しなければならないですね。
     櫻井 こうした政治課題を考えると、2019年は本当に大変な年になると思います。それをやり抜くことは、並大抵の人にはできないと思いますが、安倍さんはそれをやらなくてはならず、難しい課題をいくつも背負わされています。

    60歳過ぎたら、社会や国に恩返しを

    年金受給者より、タックスペイヤーに

     細川 櫻井さんは今、お母様を介護されていて、介護や高齢者問題などを実感されていると思いますが、このあたりはどのようにお考えですか。
     櫻井 介護はとても大変な問題だと思います。私は一生懸命に働いて、母を守りたいと思ってやっていますが、でも一人で、きちんとお世話しようと思ったら、限界にも直面します。
     我が国は、長生きする社会を選んだわけです。国民皆保険で、どの人にも「いくつになっても手術してあげますよ。望めば何でもしてあげますよ」と。だとしたら、みんな幸せに死ねますよと、死に方にも目配りするくらいでありたい。
     ところが今は、お年寄りをみきれなくて、高齢者施設に預けざるを得ない状況があります。しかも施設によってはお年寄りが虐待を受けて、問題になっています。一方で、介護する人たちも、とても重労働です。
     介護問題の解決策の一つとしては、消費税を上げて、介護現場に投入し、介護をする人を増やし、施設もよくすることに税金をあてることが考えられます。でも、多くの人が消費税を上げることには反対です。医療費の負担を上げるだけでも、「年寄りを殺す気か」と言われてしまいます。そこで政治家がひるんで、改善できないことは、とても不健全なことです。
     細川 やはり政治家が、もう少し責任を果たすべきではないでしょうか。何しろ日本の社会保障制度は、たくさんの保険料を払ってもらわないと成り立たない制度で、しかも払う世代が減っているわけで、社会保障制度をきちんと今の人口構造に合ったものに作り替えないといけないですね。
     櫻井 私は60歳を過ぎたら、これまで生かしていただいた社会や国に対し、しっかり恩返ししていかなければいけないと思います。
     先日、高校の同窓生の集まりがありましたが、何人かが今は定年退職をして、「年金だけでは暮らせない」というのです。そこで私は「社会に生かしてもらって、一流企業の幹部になり、いいお給料ももらっていた人たちが、年金で暮らすとはどういう発想よ。私たちは全員、死ぬ直前まで働きましょうよ」と言ったのです(笑)。
     ボランティアでもいいし、身体が動かなくなるまで働いて、年金をもらうのではなく、タックスペイヤーであり続けるべきです。それに働くことで自分の健康も保てるし、社会全体が助かります。本当にどこも雇ってくれなくなったら、「何でもいいから、地域のお役に立ちましょう」と言うことです。
     また、年金がなくても生活できる人は、年金を返上したいですね。地方自治体もこの人は年金を返上してくれましたと顕彰し、また、必要になればいつでも年金を支給しますよと、国全体で公の負担を軽くすべきです。こんな財政赤字の国で、「老後が不安だからもっと年金ください」と言っているだけで、働かないのはおかしいです。
     もう働きたくないという人は、働かなくてもいいのです。しかし、元気な人は働いて、年金をもらうよりはタックスペイヤーであり続ける。こうした考えをすごく大切な価値観として、この国に定着させていくのがよいと思います。
     日本人は長寿社会を選んだが故に、今、このような思いもかけない問題に遭遇しているのです。それをどのように賢く、幸せに乗り切っていくか、そのロールモデルになれればすばらしい。世界中の先進国が少子高齢化社会に進んでいるので、私たちはこのモデルを他の先進国に示していけるわけです。
     そして人間をできる限り充足させ、幸せにしますという国になることと、憲法を改正して、いざという時には国民の命を守りますという考えを、日本人は身に付けなければならないと思います。
     細川 本当にそう思います。今日はありがとうございました。

    細川珠生氏
    平成7年に『娘のいいぶん~がんこ親父にうまく育てられる法』で、日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本)に出演中。千葉工業大学理事。聖心女子大学卒。

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