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    2018年1月15日 週刊「世界と日本」第2117号より

    新春インタビュー

    改憲は開かれた議論で国民投票へ

    衆議院議員 中谷 元 氏

    インタビュアー
    評論家 ノンフィクション作家 塩田 潮 氏

    中谷 元氏(左)と塩田 潮氏
    中谷 元氏(左)と塩田 潮氏

     新たな年を迎え、「新春インタビュー」第2弾として、「今年の課題」と題して、衆議院議員の中谷元氏に、2018年、日本と世界は、どのような問題に直面し、政治が果たす最大の課題は何か、さらに憲法改正への道筋、日米安保条約、天皇陛下のご退位、北朝鮮問題など、多方面にわたり、評論家の塩田潮氏がお聞きした。

    「この国をどうするか」の見地で

     塩田 新しい年を迎えました。昨年は約3年ぶりに総選挙が行われましたが、その結果をどのように受け止めていますか。
     中谷 与党が3分の2の議席を引き続き確保した点においては、いろいろな情報が流れたにもかかわらず、国民が的確に判断されたということではないでしょうか。
     今の政治で一番大事なのは景気です。日本が世界で、引き続き安定して経済発展をしていくためには、アベノミクスの下でデフレ脱却を目指す経済政策を続けていく必要があります。そのためには現在の政局、政権の安定を国民が選んだのではないかと思います。
     塩田 安倍晋三内閣がアベノミクスを掲げてスタートして、5年が経ちました。株価は民主党政権の最後の頃の日経平均株価8000円台が、今は2万3000円を超えています。数字の上では景気はよくなっているのですが、国民には「景気がいい」という実感が持てない状態が続いていますが。
     中谷 有効求人倍率は「1」を超えて、どこかには就職できる状況で、そういう意味では、国民の安心、安定につながってきているのではないでしょうか。
     ただ問題は、消費と企業の設備投資です。少子高齢化社会で購買力が落ちている点と、物が溢れているので必要なものがないということで、数値にはなかなか出てきません。しかし東京周辺ではビルの建設ラッシュが続いており、企業の持っている資金には余裕があり、金余りの状態ではないかと思います。
     塩田 安倍政権はこの5年間、いろいろな課題に挑戦してきましたが、15年9月に平和安全法制を仕上げた後の2年余りは、目立つ実績がないのでは、という見方もあります。
     中谷 私は平和安全法制のとき担当大臣でした。この法制により当面の日本の安全保障に対し、あらゆる事態に自衛隊がしっかりと切れ目のない対応ができると思います。
     それに加え、日米防衛協定のための新ガイドラインでは、世界の中の日米が平時から有事に至るまで、国際協力も含めて共同で対応でき、安心できる状態です。
     塩田 安倍政権が掲げる「地球儀を俯瞰する外交」の成否をどう見ていますか。
     中谷 昨秋トランプ大統領が来日し、「日米同盟は100%実施する」と言ったことや、北朝鮮に対しても強いメッセージを出しました。また、インド太平洋構想を日米で共同の今後の戦略として発表しました。
     さらに太平洋、インド洋は単独ではなく、つながった海として、日本とインド、オーストラリアとアメリカ、これらの国々で、この地域の平和と安全を図っていこうと。いろいろな国との信頼関係もできていると思います。
     塩田 ただトランプ大統領はいろいろな問題を抱え、力を十分に発揮できず、プーチン大統領は手強い。習近平は独自路線です。そのため安倍外交は、手詰まりで足踏み状態と映ります。
     中谷 世界的にグローバリズムからナショナリズムの時代になり、「自国の利益がまず第一」と考える傾向にあります。その中で日本も何が国益かを考えれば、やはり日米で安全保障も経済も協力をするのが、今の日本のおかれた立場としては最優先です。
     塩田 今年前半、安倍政権が直面する課題は何ですか。
     中谷 経済では、デフレから脱却して成長させるために、現在編成している予算、補正予算、これをできるだけ早く国会で成立させ、それに関連する法律も図っていきたいと。
     また、従来の懸案であった憲法改正については、今の安倍内閣と3分の2の安定多数の勢力、プラス今回の選挙で分裂はしましたが野党とも話し合いをし、自民党の案だけではなく、むしろ野党の提案を受け、お互いに合意を図りつつ、改正の発議の議決ができるようにした上で、国民投票にかけなければいけません。
     一番大切なのは熟議、そして開かれた議論です。国民の皆さんに理解と納得と共感が得られるまで、ていねいに、オープンに議論できるようにしていきたいと思います。
     塩田 自民党は、総選挙でも憲法改正を公約に掲げました。
     中谷 現在、改正の議論が行われているのは4項目です。1つは憲法における自衛隊の明記。2つ目は参院選挙区の合区解消。3つ目が教育、特に教育無償化。4つ目が緊急事態条項の創設です。
     塩田 安倍首相は筋金入りの改憲論者ですが、憲法上、改憲案の発議が認められているのは国会だけです。
     中谷 憲法を決めるのは国民から選ばれた国会議員による議論、特に政党間の話し合いは、国家における憲法審査会しかないのです。
     この憲法審査会の幹事会こそ、唯一の憲法の在り方を決める場です。そのためには各党のコンセンサスが得られるように、落ち着いた環境の中で、政局にとらわれずに、本当にこの国をどうするかという見地に立ち、「ご意見を述べてください」と言っています。そしていい案があれば、それを取り上げて、現実にまとめていくという点では、共産党以外は共通の土台ができていると思います。
     塩田 今年の通常国会から、発議案の原案を取りまとめる作業を始めるのですか。
     中谷 もう今しかないですね。しかし拙速に行ってはいけません。参議院における公職選挙法と、改憲の国民投票とは全く違うので、同時に開催すると大変混乱するからです。
     しかし、日本の皆さんが一番心配しているのは安全保障です。北朝鮮のミサイルが次々と進化をし、中国の軍事規模も拡大し、尖閣諸島に公船がやってきています。自衛隊が憲法に書かれていないことで、非常に多岐に議論が起こっています。ですから、自衛隊を憲法に明記すること自体が、安全保障の面でも非常に大きな効果があると思います。
     塩田 可決可能な発議案の取りまとめも簡単ではないと思いますが、仮に発議できたとしても、国民投票で過半数が取れなかった場合は、今後、改憲への挑戦は二度とできなくなるのではないかと思われます。
     中谷 そこは大事なところですね。憲法改正をする場合には、あくまでも純粋に、この憲法の改正は「こういう理由です」と説明をした上で、国民の理解をもらい、国民の状況や賛否を十分に踏まえた上で、実施しなければいけません。特に自衛隊に関する国民投票は、失敗が許されないのです。
     塩田 憲法9条の1項と2項は現行どおりで、3項か、「9条の2」を追加する案と、2項を改正する案の2案が浮上しています。どちらが有力ですか。
     中谷 これは成熟するのに、時間がかかります。いわゆる集団的自衛権においては、普通の国家はフルに使えます。ところが2年前の平和安全法制では、集団的自衛権は限定されたもので、あくまでも自国の存立にかかわるとか、国民の生命、自由、幸福追求の権利、これらが根底から覆されるような事態において、必要最小限に、他に手段がないといった限定をかけています。いわば自衛の措置なのです。ですから現行の憲法の中で守るということで、今の9条2項をなくすことは、国民投票で一気に理解を得るのは、なかなか厳しいと思います。
     塩田 次に天皇陛下の問題ですが、最終的に来年の4月30日退位、5月1日即位、改元に決まりました。日程決定に至る議論をどう受け止めていますか。
     中谷 天皇の存在は国の有り様にとって、非常に大切な問題です。ずっと続いてきた権威ある皇室の継承については、できるだけ穏やかに、静かに、厳粛に行ってもらいたいと思うので、あまり動揺を与えるようなことがないようにしてほしいと思います。
     塩田 天皇の生前退位は本来、憲法や皇室典範の改正によるべきだと思いますが、特例法で、一代限り、今回に限って認めるという形で決着しました。明治維新後、初めての生前退位です。
     中谷 天皇陛下と皇后陛下は、よくおつとめになっていると思います。今でもいろいろな場所に行って、直接国民と接する姿を見て、本当に立派だと思います。陛下も失敗をしてはいけないという、精神的に重圧感ももっておられるので、しかるべき時にそのお役をバトンタッチしたほうがいいと思われたのでしょう。そういう意味では、国民の合意のもとにできたことは、よかったと思います。

    政治家として都市と地方の格差是正を

     塩田 朝鮮半島情勢が緊迫し、日本の安全保障も危機に直面しています。現状をどう捉えていますか。
     中谷 非常に危機的な状況で、さらに緊張が一つ進んだと思います。あれだけ国連で決議をして警告をしたにもかかわらず、先だって大陸間弾道弾といわれる、1万キロを超えるような能力の新型弾道ミサイルが発射されました。北朝鮮はアメリカから何を言われようが、この技術開発をしゃにむに進めていく意欲の表れだと思っています。これは警告とか、制裁とか、圧力の段階ではなく、一つのレベルをもう通り越してしまいました。
     一方アメリカは、常々、全てのオプションを考えており、軍事的な制裁もその中に入っています。従ってどうなるのか、全く予断が許せない状況です。日本はこういう中、米国が軍事行動を起こしたり、北朝鮮の内部が崩壊したり、暴発したり、それらを念頭にどうするのか。今、真剣に考えておかないといけない。
     塩田 日米同盟体制の有効性が気になります。現実に攻撃を受けたときの防衛力と、攻撃させないようにするための抑止力の両方で有効に機能しているとお考えですか。
     中谷 日本は憲法の専守防衛という中で、日本は楯、米国は矛と槍、そういう機能で相手国に対し打撃力と抑止力をもって国を守っているので、しっかり役割分担しながら機能していると思います。
     塩田 最後に、中谷さんが政治家として、今後、どうしてもこれだけは実現したいと思っている政治目標は何ですか。
     中谷 やはり国の安定です。今の自由、民主主義、基本的人権、これらをしっかり守っていける国です。日本ほど言いたいことを言い、なりたいものになれる国、弱者に対して思いやりがある優しい国はないと思います。
     もう一つは、都市と地方の格差是正です。日本の文化は地方に発するところが大きい。それぞれの山の神、海の神、そういうものが廃れていくと、日本は終わってしまう。やはり昔から続く伝統文化や地域、これが維持できるようにしなければならないのです。
     塩田 ありがとうございました。

    《なかたに・げん》 1957年高知県生まれ。80年防衛大学校卒業後、陸上自衛隊入隊。90年衆議院議員当選、96年自由民主党国防部会長、97年郵政政務次官、2000年自治総括政務次官、01年防衛庁長官、03年自由民主党副幹事長、05年衆院総務委員長、11年自由民主党政務調査会長代理。14年防衛・安全保障法制担当大臣、15年防衛大臣、16年憲法改正本部長代理、衆議院憲法審査会筆頭幹事、17年自由民主党安全保障調査会長。著書に『なぜ自民党の支持率は上がらないのか~政変願望』など。

    《しおた・うしお》 1946年高知県生まれ。慶大法卒。雑誌編集者、月刊『文藝春秋』記者などを経て独立。『霞が関が震えた日』で講談社ノンフィクション賞受賞。

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