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    Coffee Break<週刊「世界と日本」2228号より>

    ウィズコロナ時代の新しい日常の過ごし方

    特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長

    岡田 邦夫

    《おかだ くにお》

    1982年大阪市立大学大学院修了後、大阪ガス株式会社産業医。2006年NPO法人健康経営研究会設立、理事長就任。大阪市立大学医学部臨床教授ほか、厚生労働省、文部科学省等の委員会委員を歴任。現在、経済産業省 健康・医療新産業協議会健康投資WG委員、健康長寿産業連合会理事、大阪商工会議所メンタルヘルスマネジメント検定委員会副委員長。

     

     

     2019年末から新たな感染症が発生し、2020年1月6日、厚生労働省健康局結核感染症課から「中華人民共和国湖北省武漢市における非定型肺炎の集団発生に係る注意喚起について」とする事務連絡が発せられた。その後、WHOは、1月末にアウトブレイクとし緊急事態宣言を発した。日本政府も、「緊急事態宣言」を発し、その結果、経済活動が大きく制限されることとなった。と同時に、私たちの生活もまた、感染症拡大防止対策を進めるために、非日常的になったのである。しかし、感染者数は増大し、重症化率、死亡率も高くなり、経済を犠牲にして、健康・生命を優先する社会が構築されたのである。

     

    日常から非日常へ

     新型コロナウイルス感染症の拡大により、手洗い、うがいは当然のこととなり、至る所に消毒用のアルコールが設置され、手が荒れるほど頻回に使用することになった。その効果は、例年に比してインフルエンザ患者数の激減につながり、普段からこのような対応をしていれば、インフレンザがかなり予防できたのでは、と多くの人は感じたのではないだろうか。また、3密対策として、感染源としての「人」の存在がクローズアップされ、ウイルスに対する恐怖心よりは、「人」に対する恐怖心が大きくなり、人間関係にもひびが入り、コミュニケーションは、携帯、メールなどのITに頼らざるを得なくなった。しかし、ITリテラシーが未だ十分でなく、使いこなせない人達にとっては、例えばWEB会議一つとっても大きなストレスとなり、心身の不調をもたらすことになりえた。さらに新しい働き方としての一つとしての在宅勤務は、孤独感を招き、生活リズムが乱れ、「コロナ太り」、「コロナうつ」などの健康問題がもたらした。マスクについても、耳の痛み、息苦しさなどの症状が出現し、またマスクをしないことで、航空機の中で逮捕者も出るような社会問題が発生したのである。今までの生活からの急激な変化に適応できず、仕事ができなくなったシステムエンジニア、在宅での仕事で肩や腰に問題を抱えるようになった従業員、つまり社会的不適応状態に陥る人が増え続けた。しかし、その中でも、マイペースを崩さずに、運動をしたり、WEBで飲み会をしたりして、心身の健康を保持する人もまた存在したのは事実である。

     社会の変化の予測をすることが難しくなった現代社会においても、個人、企業、また社会における「人」の存在価値は変わらない、とともにその基盤となる健康を常に維持することが社会活動を維持する上で必要であることは言うまでもない。基礎疾患を持っている人達は、感染しやすく、重症化しやすい、とすれば、今後は、より一層の健康づくりの実践が重要であろう。感染症は、フェースtoフェースのコミュニケーションを途絶するが、社会は、コミュニケーションに満ちた環境を求めている。その橋渡しがITとなれば、日々DXに長く付き合っていかなければならない。ITとの距離があまりにも近づきすぎると、テクノストレスによって心が病む。社会が大きく変わっても、「我が道を行く」心構えが必要だろうか。

     

    わが国の日常生活

     振り返ってみれば、地域・産業保健では、喫煙や肥満、高血圧や2型糖尿病などに対して多くの試みがなされていた。すでに、これらに対して行動変容を起こしている人たちは、免疫力を備え、感染しにくい、感染しても重症化しない、重症化しても死亡率が低い、となると、我が国の今までの産業保健対策は大きなアウトカムを得たことになるが、現実はそうではなかった。

     毎日朝食を取り、活動的な日々を送り、夕食も深夜にならず、睡眠時間も翌朝眠気がない程度に取れる、これらの生活の繰り返しが、健康を築くことになり、結果として免疫力を維持させることになる。そして、感染防御のための種々の対応をきちんとすることで、今後の新たな感染症に対する防波堤になる可能性は大きい。しかし、今後は、さらに感染力の強い病原体の出現のリスクは否定できず、薬剤耐性菌を生み出さない環境づくりも同時に進めていかなければならない。多くの疫学研究結果や臨床医学における研究成果は、私たちの健康を維持するための多くの知見を生み出しているが、一部は実践できていないだけなのかもしれない。また、実践できない社会環境が私たちの健康のレベルを押し下げているかもしれない。

     

    ウィズコロナ時代の後には

     健康診断結果の変化を見れば、自ずと私たちの将来を予測することができるようになった。健康診断結果が好ましくない方向に進んでいるのであれば、感染症が蔓延したときの防御能力がすでに低下し、感染し、発症し、そして重症化に至るのである。そう、予測できるのである。生活習慣病は、食生活、運動習慣、睡眠、飲酒、喫煙などの生活そのものに由来するものである。そして、働き方もまた、生活そのものに直接的に影響を及ぼす。今、働き方を大きく変革しなければ、労働環境病が増え、人一人の生活習慣の改善には自分の努力だけでは限界がある以上、見えざる病原体には成す術もない。生活習慣病対策は過去の遺物となり、新たな時代を迎えることになるように思う。

     社会の健康を維持することが、ウィズコロナ時代の感染症拡大を阻止する大きな防波堤になるように感じる。期待するのは、今後強毒性の病原体が出現しないよう、地球環境を守ること、すなわち、私たちの生活様式を地球と共生できるものにしなければいけない。

     そして、今後波状的に襲ってくる社会の大きな変化が起こるたびに、一人ひとりの持つ健康という力が、私たちの生命を守り、社会を守るのかもしれない。それは、社会の健康という基盤が盤石であることが前提である。デュルケームはその著書「自殺論」において、社会が混乱した時に発生する病弊をふせぐには、社会集団を十分強固にすることの重要性について言及している。いい家庭、いい職場、いい社会を作ろうとする人たちの営みは、社会の発展をもたらし、社会の混乱を未然に防止する力を生み出す可能性に期待したい。

     少子高齢化が急速に進む我が国において、私たちの生活様式が生活習慣病を予防し、免疫力を強化して、見えざる病原体と共生しなければならない。 

     

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