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    Coffee Break<週刊「世界と日本」2245号より>

    衆参補選、統一地方選結果をどう見るか

     

     

     

     

     

     

     

    政治評論家

    伊藤 達美 

     《いとう たつみ》 1952年生まれ。 政治評論家(政治評論 メディア批評)。講談社などの取材記者を経て、独立。政界取材30余年。中曾根内閣時代、総理官邸が靖国神社に対し、東條英機元総理ら“A級戦犯”とされた英霊の合祀を取り下げるよう圧力をかけた問題を描いた「東條家の言い分」は靖国神社公式参拝論争に一石を投じた。「国対政治の功罪」など著作多数。国会民放クラブ。自由民主「メディア短評」、夕刊フジ「ニュース裏表」(木曜日)に寄稿。

     各党が総力を挙げて臨んだ衆参5補選と統一地方選が終わった。

     まず、自民党は衆参5補選で4勝1敗と大きく勝ち越したが、同党に勝利の高揚感はない。特に和歌山1区は総力を結集したにもかかわらず、維新候補に敗れた。これは他の勝利を帳消しにするほどの痛恨事だったのではないか。また、当初、「楽勝ムード」だった山口2区も6千票程度しか差がつかなかった。

     さらに、自民党は地方議員選でも振るわなかった。県議選では改選議席の過半数を確保したものの、政令市や一般市の市会議員選挙で議席を減らした。

     筆者は今回の一連の選挙で、自民党には「逆風」が吹いていたと推測している。内閣支持率の回復や堅調な政党支持率の陰に隠れて見えにくかったが、結果から見ると、そう考えるのが最も自然だ。

     長引く不況やデフレ、さらに少子化の進展に伴う人口減少など、わが国を覆う閉塞感に対する苛立ちと、それを打破できない政治への不満が自民党に集中した形だ。

     また、政権復帰から10年が経ち、自民党政治に対する「飽き」も多分に含まれているのでないか。自民党が勝利を喜べないのも当然だろう。

     公明党にも勢いがなかった。全体としては議席を増やしたものの、無党派層に食い込むなどの支持の広がりは見られなかったといっていいのではないか。

     野党第一党の立民もさえなかった。地方議員選では微増したものの、衆参補選、知事選では一勝もできずに終わった。参院予算審議で、小西洋之参院議員による高市早苗経済安全保障担当大臣への追及が失敗に終わったのに加え、同議員の、いわゆる「サル発言」など、良い材料が何もない中での選挙だった。

     政治への不満が高まれば、本来、野党第一党が吸収してしかるべきだが、今回の立民は、それどころではなかったというのが実態だろう。

     共産党は立民以上に厳しい結果となった。同党によれば、区議選、一般市議選、町村議選合わせて91議席減だったという。同党も組織弱体化が課題だったが、委員長公選など求めた古参党員を「規律違反」として除名したことも少なからず影響したのではないか。

     これに対し、議席を大きく伸ばしたのは維新だ。大阪府知事選、大阪市長選でダブル当選を果たしたほか、保守分裂となった奈良県知事選でも勝利し、大阪府以外で、初の「維新」知事を誕生させた。

     地方議員選挙でも目標としていた600議席を大きく超えて774議席を獲得したという。その勢いは全国的に広がり、それが衆院和歌山県1区補選での議席につながったといえる。

     また、国民も地方議員の議席数がこれまでの1・4倍に増えたと発表した。玉木雄一郎代表はこの結果に自信を深めているおり、立民が秋波を送る野党候補の一本化にも否定的だ。

     あまり注目されていないが、昨年の参院選比例代表で1議席を獲得した参政党も今回県議4人、政令市議3人を合わせ、地方議員100人を当選させた。これも「大躍進」といえる。

     今後、政局はどのように展開していくのか。

     衆参5補選が自民党の4勝1敗となったことで、岸田首相は解散のフリーハンドを握ったと言っていいだろう。これが1勝4敗や2勝3敗だったら、解散を言い出せる雰囲気にはならなかったのではないか。

     実際の解散時期は、常識的に考えて①今通常国会会期末の6月②9月の臨時国会の冒頭③臨時国会で処理すべき法案などを成立させた後の10月から11月—の3つに絞られてきたのではないか。どれを選ぶかは岸田首相次第だ。

     しかし、仮に、岸田首相が解散に踏み切ったとしても、勝利するとは限らないことは、今回の一連の選挙結果ではっきりした。ただ、国民の不満や不安を一気に解消できる方策は簡単には見つからない。結局、これまで岸田首相がやってきたこと、あるいはやろうとしていることを地道に訴えていくしか方法はないだろう。自民党にとっては厳しい選挙が予想される。

     一方、鼻息が荒いのは維新だ。「原則全選挙区で候補者を擁立(ようりつ)する」との方針を掲げ、「次の衆院選で立憲民主党から野党第一党の座を奪取(だっしゅ)する」との目標を公言してはばからない。今回の結果を受けて、ますます自信を深めている。

     もっとも、政治への不満の受け皿として議席を伸ばしたものの、そうした期待に応えるための政策はあいまいだ。「身を切る改革」にしても、仮に衆参の全議員の歳費をゼロにしたところで捻出できる額は知れている。だとすればどうするのか。維新は、より具体的な政策を示す必要がある。

     筆者は、真の政権交代を実現するためには、野党の政策も与党と同じ精度で検証される必要があると考えている。これまでは、与党の政策は重箱の隅をつつくようなチェックが行われるのに対して、野党の政策は矛盾があっても大目に見られてきた。これでは国民は本当のところを選ぶことができない。

     かつての民主党政権が多くの国民の期待を集めながら失敗に終わったのは、同党の政策検証がおろそかだったからだ。その責任の一端はメディアの「野党甘やかし」の姿勢にもあるのではないか。

     いずれにしても、次期総選挙の焦点は維新にあると言って過言ではない。今後の維新の動向が注目される。

     ところで、今回の選挙の最中、またしてもテロ事件が発生した。犯人は黙秘しているが、昨年の安倍晋三元首相への事件と手口が類似していることから、「模倣犯」と考えてほぼ間違いないのではないか。

     一部に「政治が悪いのでテロが発生するのも無理はない」、「テロが起きるのは政治家の責任。政治家が反省すべき」などといった論調がある。

     しかし、「理由があればテロも認められる」と言っているに等しく、極めて危険な考え方だ。いかなる理由があるにせよ、政治活動、言論活動を暴力で封殺することは絶対に許されない。テロを容認するような言い方は慎むべきだ。

     昭和の初期、政治家へのテロ事件が頻発し、民主主義の衰退を招いた。令和の世は決して同じ轍を踏んではならない。

     テロによって政治が良くなることはあり得ない。そのことを強調して強調しすぎることはない。

     

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