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    ダイバーシティ『女性躍進の現在と今後』

    政治ジャーナリスト

    細川 珠生

    《ほそかわ たまお》 1968年生まれ。聖心女子大学英文科卒。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。三井住友建設(株)社外取締役。熊本藩主・細川忠興と明智光秀の娘・玉夫妻の直系卑属。洗礼名・ガラシャ。1995年より「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本)に出演。2021年3月番組終了まで、放送通算1337回、延べ768人のゲストが出演。同年4月よりPodcast放送で世界に配信中。著書に『明智光秀10の謎』(本郷和人共著)、『私の先祖 明智光秀』(共に宝島社)ほか多数。

     日本全体で取り組んでいる「女性活躍」についての施策は、どの分野においても、ようやくその重要性への認識が浸透してきた。女性の経営幹部登用が進む企業に対する投資的価値の向上など、女性のキャリア形成や満足度向上のためのみならず、企業経営そのものへの影響も無視できないものになっている。一方、「女性活躍」はすでに「長年」取り組んでいる施策であり、それでもなお、世界との比較においては、著しい「ジェンダーギャップ」が存在することから、その解消により力を入れる必要性は更に高まっている。

     


    ジェンダーギャップ解消に向けて

     

    政治分野における原因

     

     スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が公表するジェンダーギャップ指数で、日本が156カ国中120位(2021年)であることは、既報の通りである。特に「経済」と「政治」の分野での値が、それぞれ117位と147位であり、著しく低い結果となっている。

     「政治」分野は、候補者の男女比の問題から、選挙を含めた政治活動の在り方、国会運営など、従来の在り方そのものが、女性の進出に大きな壁となっている。平日の夜や週末は、様々な会合や地元行事への参加(挨拶廻り)で忙殺されるが、家庭を抱える女性が夜や週末に活動するには、家族の理解や助けがあっても、自らの家庭を犠牲にする覚悟がやはり必要であるのが実態だ。国会運営でも、特に深夜国会など、「家庭持ち」にはあまりにハードルが高い。しかし、これらの選挙活動や国会運営は、一種の「慣習」で続いているとも言える。選挙活動も、多くの有権者との直接のふれあいは大事であるが、対面で顔を合わせる機会がすべてではなく、オンラインやSNSを通じた情報発信は今や当たり前の時代。それらをうまく活用すれば、場合によってはより多くの有権者に、考えや活動を周知し、支持を増やすことも可能だ。選挙区というエリアにこだわらない政治活動とそのアピールも、直接「票」にはならないかもしれないが、幅広い国民の意見を吸い上げることができ、それを政策立案に反映させるなどメリットもある。

     深夜国会や、審議中断による「禁足」などは、与野党の国会戦略として、会期末に集中する。深夜に行えば議員だけでなく、国家公務員である国会職員の負担も増えるなど、働き方改革の上でも問題である。これらも国会の審議時間を明確に規定するなどすれば回避できることでもある。

     「会期制」についても、これまでも度々問題点として指摘されてきた。通年国会であれば、会期末の野党攻防の一環で深夜勤務を強いられることもなくなるはずだ。

     ジェンダーギャップが最も深刻な「政治」分野でも、これまでと同じ在り方、やり方の中に、女性を組み込もうとすれば、いつまで経っても、女性政治家など増えない。

     しかし、女性がいることが前提条件のもと、機能と役割を再検討すれば、おのずと制度や慣習を改めることが出来るはずである。

     つまり、女性活躍における最大の障害は、「現状」に当てはめようとすることであり、発想の転換によって、この点を改めることができれば、実は「女性活躍」など一気に進む話ではないかと考える。

     要は、男性中心で作られてきた社会に、女性をあてはめるのではなく、元々男女が共存しているという前提の社会を作らないといけないということである。その目指すところは、男女の地位が平等と、男女共に認識出来ることである。

     

    男女の地位が平等ではない日本

     

     内閣府の「令和元年男女共同参画に関する世論調査」において、「男女の地位が平等になっているか」という問いに対し、「平等」と答えたのはわずか21・2%。「男性の方が優遇されている」(「どちらかと言えば男性の方が優遇されている」を含む)と答えたのは74・1%にも上る。「職場」での平等意識も30・7%と低く、「家庭」では45・5%であるが、まだ約半数は平等だと感じていない。その中でも特に「社会通念・慣習・しきたりなど」で「平等」と答えているのは22・6%しかいない。

     これを「平等」だと感じるには何が必要なのか。例えば、企業における女性役員の数は、2020年で6・7%である(「会社四季報」東洋経済新報社)。諸外国でもフランスの45・1%は突出しているものを、イタリア、スウェーデン、ドイツ、イギリス、カナダは30%台、アメリカも28・2%であり、先進国の中では、日本は著しく低い。とはいえ、諸外国でも3割を超える程度であることからも、全くの「平等」にすることは、なかなか難しい。それでも、少しでも「平等」に近づけるために、日本が目標とするのは、まずは女性役員数を25%とするのが現実的であろう。それでも今の4倍弱。数にしても1万人程度にしなくてはならない。

     別の角度から考えると、現状の役員数をベースとすると、適齢期の女性がそもそも社会に少ないという現実から、いつまで経っても25%などという壁は越えられない。しかし、「役員とは何か」ということから考えると、数を絞り込める可能性もある。そうなれば、目標値に必要な女性の数も少なくて済む。

     しかし、ここで抵抗勢力となるのは、言うまでも男性であり、そうでなくても女性が登用されることで、男性の登用は抑制され、その上、ポストの数が減ると、ますますポストを得られない男性が増えていくことから、「そもそも、役員って?」などという根本の議論など、したがらないのである。

     また、育休取得率についても「平等」感を高めるためには、男女とも100%を目指すべきであり、給与格差についても、あってはならないことである。

     男女の「平等」感を意識せずに施策を行い、それで企業の存続、社会の存続が図れるのであれば何の問題もない。

     しかし、投資判断に女性活躍情報を活用する機関投資家のうち、約9割は「企業の業績に影響がある」ことが、その理由と答えている(内閣府男女共同参画局「ジェンダー投資に関する調査研究」報告書2021年)。企業が存続しなければ、社会は成り立たず、そして国際競争にも参加できない。日本は、もう一段階上の危機感を持つことで、ジェンダーギャップ解消に務めていく必要がある。

    週刊「世界と日本」2022年1月17日 第2213号より

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