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一味清風

 中国海警局の武器使用規定を明文化した「海警法」が施行され、早速中国による尖閣諸島周辺の領海侵入が繰り返されている

▼海警法は海警局による武器使用の法的根拠となる上、中国が独自に設定した「管轄海域」で外国の軍艦・公船を排除する規定が盛り込まれている。軍の直接影響力も強まり、管轄海域の適用範囲もあいまいだ。尖閣沖でも挑発を強化し、日本の実効支配を徐々に崩す狙いがありそうだ

▼米中の覇権争いの激化で、中国側が国内法を盾に主張の強化を狙う。先ず既得権益を作り、さらに一歩進めるのが習近平外交の特徴で、習の国内支配体制強化に連なる

▼菅首相がバイデン米大統領から「尖閣への日米安保適用」の確認を取りつけたのは時宜にかなう。日米豪印の連携緊密化も図る一方、日本の受け身の平和主義や米への過度の依存を脱する好機だ。領海警備担当の海保と海自との連携強化も、粛々と進める必要がある。

(宮本 倫好)週刊「世界と日本」第2192号

 

 ワクチン接種の議論が盛んである。何時から誰に、誰が、どのような体制で接種するのかなど、その膨大な作業に各自治体ではその対応に大わらわだと聞く。この際お役所流にやればすぐ公平に、平等にという考え方が出てくる。全国の全市町村に平等に行き渡らせ、1人の希望者も漏らすことなくといった建前の世界である

▼しかし、そんなことを言っている場合なのか。今われわれはコロナ戦争を闘っているのだ。戦争でしてはいけない事は兵力の分散であり、逐次投入である。一方、大事な事は敵の中枢に対する集中的かつ大規模な攻撃である。この観点に立てばまずは感染の震源地である大都市にワクチン爆弾を集中的に投下していくべきであろう。中枢が無力化されれば周辺は自然に武装解除されるのである

▼「兵は拙速」(『孫子』)を尊ぶという。徒らに時間を空費して、コロナ戦争の犠牲者をこれ以上出してはなるまい。

(舩橋 晴雄)週刊「世界と日本」第2191号

 

 政府対応のまずさもあり、コロナ禍は大騒動になった。後はワクチンだけが頼みだが、難問続出の様相だ

▼政府は開発成功の米英各社と大量の供給契約済みだが、接種は早くて今春以降。とうに本格接種が始まった各国に比べ、政府の無策ぶりがじれったい。一方で外交道具化するロシア産や中国産は信用し難い

▼ノーベル化学賞、医学賞などを近年20人近く輩出した国なのに、国産ワクチンの実用化は今年末という。外国報道でとうに問題提起されたが、国内メディアの反応もにぶく、最近やっと関連記事を散見する程度。それも政府や業界の弁護論が主だ

▼科学立国をうたっても、研究費は各国に比べ桁違いに少ない。研究者の質は劣化し、論文数も劣る。政府の支援策が不十分だったのだ

▼輸入後も物流に問題がないか、自治体や民間に丸投げにならないか、不安は尽きない。政、財界、メディアが問題の本質を見極め、早急に厳しい対応を。

(宮本 倫好)週刊「世界と日本」第2190号

 

 まもなくこの4年間世界を騒がせてきた男が檜舞台から下りる。この際あえてトランプ大統領の「功」について考えてみたい

▼第1は、民主主義とは何かを身を以て示したことである。不法移民排斥のための壁の建設、国民の雇用を守るための厳しい対中政策など、選挙公約の実現に彼は邁進した。選挙が終わったら都合の悪いことに知らんぷりを決め込むような卑劣な男ではなかった

▼第2は、一部の国際機関の偽善や欺瞞、政治的偏向を炙り出したことである。またそのトップ人事選挙などにおける中露の露骨な利益誘導工作を批判した。その批判すべてが真実とは思われないが、わが国もそろそろ国際機関信仰を改めるべきであろう

▼第3は、アメリカが既に世界秩序を主導する国ではなくなったことを明らかにしたことである。対米依存に安住しきっていたわが国には、茨の道が待っている。今年は覚悟の年になりそうだ。

(舩橋 晴雄)週刊「世界と日本」第2189号

 

 米バイデン新政権の発足に西側諸国の期待感が強い。トランプ大統領の米第一主義が余りに露骨で、各国ともうんざりだった

▼これを政権交代に持ち込んだのはさすが米国だが、国内の亀裂も大きく、復元力が試されるのはむしろこれからだ

▼外交では米中対立が最大の課題だろう。多国間主義に復帰し、国際協調を推進する方向性は確かだが、もう米国が世界のリーダーや警察官に復帰する能力も意思もなかろう

▼こちらも新発足の菅政権は、どう対応するか。まず日米同盟の足固めには両国とも異議はないはずだ。米の戦略国際問題研究所が発表した「アーミテージ・ナイ報告」が米、英、加、豪、ニュージーランドの機密情報共有組織に日本を入れる提案は、身内扱いへの格上げだけに大歓迎だ

▼菅首相が掲げた温室効果ガス規制案も同盟関係の裾野を広げる。不可欠の仲間となり、義務も果たしつつ、日本独自の立ち位置も明確にしたい。

(宮本 倫好)週刊「世界と日本」第2188号

 

 コロナで様々な景色が変った。中でもオンライン会議が常態化したことも挙げられるであろう。もちろん以前から電話会議、テレビ会議はあったが、それは限定的なもので海外に参加者がいるとか、急を要する件で全員が集まれない場合などに限られていた。それが今や当り前の光景となり、ズームとかチームズを活用して誰もが簡単にアクセスできるようになった

▼それで何が変ったかを一言でいえば、場の雰囲気がなくなったということであろう。PCの画面には全員の顔が見えているが、場の空気までは読み取れない。下手な忖度がなくなって良くなったとも思うが、議論が通り一遍になって深まらないという悩みも聞く

▼オンライン会議に限らず、リモートワークなどなど、コロナがわれわれに強いる新しい生活様式は、われわれに組織の意思決定や運営のあり方、さらには何のために仕事をし、生きているのかを問うている。

(舩橋 晴雄)週刊「世界と日本」第2187号

 

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