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経済コラム

東証が3つの新市場区分に移行
市場は活性化するか

 

経済評論家 岡田 晃

 

 東京証券取引所の3新市場での取引が4月4日にスタートする。従来の1部、2部、マザーズ、およびジャスダックを、新たにプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編した。東京株式市場の魅力度を高め投資資金を呼び込むことが目的で、これほどの本格的な市場再編は1961年以来61年ぶりだ。

 だがそのわりに、投資家の反応はクール、厳しく言えば冷淡だ。「市場の呼称を変えただけ」「看板の架け替え」などの声が聞かれる。

 そうした批判も無理からぬところだ。たとえば新市場の「プライム」。従来の東証1部は上場企業数が2200社と増えすぎて“玉石混交”とも言われていた。このため、上場基準を厳しくしてプライム市場を設置したのだが、フタを開けてみれば、1部上場企業の84%がプライム上場に移行。従来とあまり変わらなくなってしまった。

 東京市場は「地盤沈下」が叫ばれて久しい。バブル期には4割を占めていた株式時価総額の世界シェアは、今ではわずか5%台。ニューヨーク市場はもちろん欧州や上海などの後塵を拝しているのが現状だ。こうした東京市場の停滞が日本経済全体の低迷と重なっている。

 そもそも株式市場は、多くの人の資金が集まり企業の成長と経済発展のエンジンとなるべき場所なのである。投資資金がもっと集まるには、さらなる改革が必要だ。今回の市場再編は不十分だが、これを機に市場改革と活性化の議論が進むことに期待したい。

 その観点から言えば、グロース市場の発展が一つのカギとなるだろう。米国ではGAFAをはじめ新興企業が次々に成長し経済をけん引しているが、そのGAFAはいずれもナスダック上場だ。ナスダックはニューヨーク証券取引所と肩を並べる存在となっている。日本でも経済活性化のためにはもっと新興企業の成長を支援する仕組みと改革が必要だ。グロース市場がその受け皿として成長できるかに注目している。

 

 

週刊「世界と日本」第2218号

 

 

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