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2020年の世界経済は波乱が続きます。それでも日本は景気拡大持続へ。それぞれの専門分野で、深く丁寧に将来を見通します。

2020年1月6日号 週刊「世界と日本」第2164号 より

安倍政権 今年の展望
真贋が問われる正念場の年

 

評論家 ノンフィクション作家 塩田 潮 氏

《しおた・うしお》

1946年高知県生まれ。慶大法卒。雑誌編集者、月刊『文藝春秋』記者などを経て独立。『霞が関が震えた日』で講談社ノンフィクション賞受賞。『大いなる影法師』、『田中角栄失脚』、『安倍晋三の憲法戦争』、『日本国憲法をつくった男』、『密談の戦後史』、『東京は燃えたか』、『内閣総理大臣の沖縄問題』など著書多数。

 通算在職日数で史上1位に躍り出た安倍晋三首相は2020年、2度目の政権でついに8年目を迎える。

 衆参選挙6連勝という実績が長期政権の最大の要因だが、20年は首相が解散権を行使しなければ、本来は衆参選挙も統一地方選も自民党総裁選もない「無選挙の年」だ。自民党総裁3期目の任期満了を残り1年9カ月で迎える20年、何を目標に、どんな姿勢と方針で政権運営に臨むのか。

 安倍首相は1993年7月の衆院選で初当選した。国会議員歴は26年余だが、内外の歴史を振り返ると、国会入りの4年前の89年から現在までの30年間は、世界史に特筆される激変の時代だった。

 89年12月3日、米大統領とソ連共産党書記長の両首脳が会談し、「東西冷戦の終結」を表明した。日本では29日、日経平均株価が史上最高値の3万8915円を記録し、バブル経済が頂点に達した。

 世界政治は「ポスト冷戦」の新時代に突入した。他方、日本はバブル後の長期経済低迷で「失われた20年」となる。長期一党支配を誇った自民党は、この30年で計2回、野党転落を体験した。

 激動と混迷の30年のうち、安倍首相は実に4分の1以上、1人で政権を担ってきたが、「ポスト冷戦」の国際政治をリードする外交、「ポスト・バブル」の低迷経済の打破や、人口減社会での国力衰退阻止といった重要テーマで、長期政権保持者にふさわしい結果を出してきたといえるかどうか。

 20年は、大激動時代を担った政治指導者として、歴史的役割を果たしたかどうか、真贋が明らかになる正念場の年だ。

 長期政権を築いた過去の首相の多くは、歴史に名前を刻む政治的遺産(レガシー)を残している。最長政権だが、安倍首相の足跡を見ると、歴史的実績と呼べるほどの大きな仕事は見当たらない。

 アベノミクスによる株価上昇、失業率低下などの実績は否定しないが、7年超の「異次元の金融緩和」にもかかわらず、2%の物価上昇目標は未達成である。「地球儀を俯瞰する安倍外交」、集団的自衛権の行使容認なども手懸けたが、当面の外交対応の域を出ているとはいえず、「歴史的実績」には程遠い。

 内心、レガシーづくりに懸命のはずの安倍首相は、挑戦目標として宿願の憲法改正実現を今も意識しているのは疑いない。19年7月の参院選で、改憲勢力の参議院での議席数が改憲案発議要件割れとなったが、12月9日の臨時国会閉会後の記者会見でも、「必ずや私の手で成し遂げたい」と明言した。

 他方、改憲以外には安倍首相からレガシーに値する目標の提示はない。繰り返し「政権の使命は『新たな国づくり』」と口にしているが、具体的な将来像やデザインは明らかではない。「新たな国」も、9日の記者会見によれば、「新たな国づくりを進め、その先に改憲がある」という位置づけで、改憲によって「新しい日本」を、というシナリオを描いているのは間違いない。

 であれば、選択肢は以下の3つの道が考えられる。第1は3期目の総裁任期満了をゴールと見定め、任期内の改憲実現に全力投球する。第2は4期目での改憲も視野に入れ、自民党則の再改定と総裁4選を目指す。第3は国会と民意の動向から見て、在任中の改憲実現は困難、と自ら判断し、任期満了前の退陣を決意する。

 冒頭で、「無選挙の年」と述べたが、衆議院議員の任期満了は21年10月で、任期の半分以上が経過した20年はいつ解散が行われても不思議はない「総選挙ゾーン」の時期に当たっている。むしろ20年は「衆院選の年」という見方が圧倒的だ。

 次期衆院選は、安倍首相が上記の3つの道のどれを選択するかによって大きく変わる。

 第1の道を選べば、首相は解散・総選挙を改憲実現の最大の武器として使う戦術を考えるに違いない。

 20年の通常国会か臨時国会で改憲案の発議を行い、20年後半か21年初めの国民投票を想定した上で、衆参で発議要件を確保するために、野党改憲派の抱き込みに解散権を活用する。あるいは改憲案の成立を図るために、国民投票と次期衆院選の同日選を仕掛ける。

 安倍首相が第2の道を考慮するなら、4選には次期衆院選圧勝が必須条件となるので、野党の選挙共闘態勢が固まる前の早期抜き打ち解散を目指すのではないか。最速で20年1~2月の総選挙も考えられる。

 第3の道だと、次期衆院選の前に首相退陣となる確率が高い。20年8月の東京五輪閉幕直後か、佐藤栄作元首相の7年8カ月の連続在任記録を塗り替える8月24日以後の辞意表明を予想する向きもある。そうなれば、次期衆院選は後継首相の判断次第となりそうだ。

 安倍首相はしばしば「悪夢の民主党政権」と口にする。民主党政権を倒して首相に返り咲いたときの自身の政治的役割について、政権交代実現用の「緊急首相」だった、という自覚があるようだ。その後、ずっと政権を担い続けているが、辛口に評すると、「緊急首相がそのまま7年」という印象が消えない。

 「1強」という磐石の政治的基盤と、「首相官邸主導体制」という強力な武器を長期間、手にしながら、それを「新たな国づくり」に活用する積極的姿勢が見えないため、本気度を疑う国民は多い。

 極言すれば、最長政権は、野党の弱体化による「政権交代可能な政党政治」の消滅と、与党内の代替可能な後継候補の欠如という政治状況がもたらした幸運が大きく影響している。ほかに有力な選択肢がない国民の消極的支持が最長政権を生み出した面がある。

 競争原理が機能しない名ばかりの政党政治は、長く「1強多弱」に甘んじる罪深い野党と、活力消滅の自民党の両方に原因がある。権力の空白に乗じて長期政権を築いた安倍首相も、改憲不能が明確になり、挑戦目標の不在を国民に見抜かれると、一気に失速する危険性もある。

 「桜を見る会」の疑惑追及をかわして逃げ延びたとしても、そろそろ散り際では、と国民が見限れば、花の命は長くはない。勝負時は意外に早く、山場は20年1~2月にも訪れる可能性がある。

 


2019年12月2日号 週刊「世界と日本」第2162号 より

人口減少下での日本経済は?

 

元国税庁長官 ベトナム簿記普及推進協議会理事長 大武 健一郎 氏

 

 未来が不透明な時代にあって、確実に予測できるのは統計による人口予測だ。

 「令和」の時代は、人口予測から見ると有史以来初めて人口減少の時代に入る。その時の日本経済は、どうなるのだろうか。

 その問題に入る前に、戦後の日本の人口動態と日本経済を振り返ってみよう。

 太平洋戦争後のベビーブームと言われた出生数が毎年250万人にも達した時代が終わった昭和25(1950)年の日本の人口は8300万人であった。昭和から平成になった1989年には1億2300万人となり、この39年間だけで4000万人も増えた。毎年100万人も増加したのだ。

 この間の1人当たり国民所得は64倍に急増した。そもそも国内総生産(GDP)は「人口×1人当たりGDP」で決まるのだから、この間の日本は人口も1人当たりGDPも急増した「奇跡の高度成長」の時代であった。

 しかし、昭和50(1975)年には女性が一生に産む子供の数(特殊出生率)が子供を産んだ両親と同数の子供が生まれる目途の2を戦後初めて下回り、1.98となった。そして出生率は傾向的に下がり続けた。その結果、令和の時代が始まった2019年は1億2600万人となり、平成が始まった年に比べて300万人増加した程度で、平成の時代は人口はほぼ横バイの時代だった。ただし、年齢構成は若い人が減り、高齢者が増加するという高齢化が顕著に進行した。

 昭和から今日まで日本人の平均寿命は男女とも60歳台から80歳台へ約20年も伸びた。したがって、平成の時代は大きく減少した出生数を補う形で高齢者数が急増したのだ。働き盛りの人口が減ったため、平成の時代の1人当たり国民所得は1.2倍になっただけで、停滞と言える時代であった。

 では、令和の時代はどうなるだろうか。

 先の平成天皇が退位された85歳と同じ年に今上天皇がなられる令和27(2045)年には、日本の人口は1億600万人と予測されているので、この間に2000万人も減少することになる。そのため、人口減少分だけでも日本のGDPは減少する。

 しかも政府が予測している2045年には働き盛りの20歳から64歳の人口が5300万人になるので、総人口が1億600万人の内、働き盛りの人口は総人口の半分になり、1人の働き盛りの方が1人の扶養される方々を支える状況になる。

 したがって、1人当たりGDPは余程の生産性向上がない限り増加することは難しいと思われる。令和の時代は何よりも日本人の生産性を向上させることが必要となる。

 そのため、まず人材教育に取り組むことが重要だ。政府予算は現在、人口動態にあわせて高齢者向け社会保障にばかり配分されているが、これからは若い人々の人材育成に配分を移していかねばならない。そして人口知能(AI)等を積極的に活用していくことも求められる。

 しかし、AIは人間の頭脳の約1万倍もの電力を必要とする。例えば、羽生永世王将の頭脳は20ワットだが、将棋のAIは20万ワットの電力を必要とする。AI化を進めるには多量の電力を必要とするのだが、日本は地震大国であるため、原発の活用には制約があるし、原油も輸入するしかないので、日本は自然エネルギーの積極的活用しかないのだが、それにも今の技術力では制約がある。したがって、AI化の促進も決して容易なことではない。

 そこで、海外のプロフェッショナル人材を活用することが重要になってくる。しかし、今回の入国管理法の改正に見られるように、日本人の成り手が少ない「3K」と言われるような職場にだけ外国人労働者の就労ビザを認めるという状況だ。本来は今こそラグビーワールドカップの選手のように、あらゆる職種で高度プロフェッショナル人材を受け入れることこそ必要だと思われる。

 しかし、今は各国とも高度プロフェッショナル人材の取り合いをしている状況下で、むしろ日本人の高度プロフェッショナル人材が海外流失していくことが懸念される。

 人事院では上級公務員になる方々に初任者研修を毎年実施し、その際その方々に「大学の同期生で、優秀な方々はどこに採用されたか」というアンケートを行っている。これに対し、本年初めて「外資系コンサルタント会社に採用された」という回答がトップになった。すでに優秀な日本人の海外流失が始まっているともいえる状況になっているようだ。

 しかも、日本人の人口減は政府予測よりもっと早く進んでいくことも考えられる。人間の脳は発達しすぎ、脳が大きくなると母体を傷つける恐れがあるため、未熟児の状態で生まれる。したがって、「七歳までは神の内」と言われるように7歳までは未熟児の状態で死亡する恐れも大きい。結果、家族の介護が必要になる。

 人間は社会的動物であり、京都大学の山極総長の言われるように社会的な保育が求められる。

 しかし、今や日本では小家族化が進み、子供は夫婦2人で育てねばならない。昔のように5人も子供を産み育てることは難しい。しかも、前述のように人間の寿命が延びて出産期は動物としての出産適齢期よりずっと遅くなるため、母体の卵子の数が少なくなる等出産できない夫婦も増え、ますます出生率は減少して政府予測の水準にさえ届かない事態もありうる。最近の20年間の特殊出生率は1.5さえ上回ったことはない。

 したがって、日本は政策を大きく転換して、高度プロフェッショナル人材の海外流出をくい止め、海外の高度プロフェッショナル人材を日本に呼び込み、日本の経済成長に貢献してもらえるように処遇改善に努める必要がある。会社経営に当たっては、売上高に占める利益率の向上や保有資産当たりの利益率の向上に努めて、高度プロフェッショナル人材を採用できるように労働分配を増加させる必要がある。

 もし、優秀な人材を日本で採用できなくなると日本企業も優秀な人材を得られる国へと移転していくことになる。すでに韓国等ではそうした事態が起こっているように思う。

 令和の時代は「ヒト、モノ、カネ」の内、最も重要なものは「ヒト」である。「ヒト」を育て重視する政策に日本が転換できれば、1人当たりGDPが上昇し、人口減少下でも日本経済に明るさが見えてくると思われる。

 

 


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