特別企画
内外ニュースでは「特別企画チャンネル」において、週刊・月刊「世界と日本」の執筆者、東京・各地懇談会の講演、専門家のインタビュー記事等の情報を掲載して参ります。
2026年5月4日号 週刊「世界と日本」2314号 より
イラン攻撃と対中戦略
米・トランプ大統領の思惑を読み解く
上智大学 総合グローバル学部
総合グローバル学科 教授
前嶋 和弘 氏
《まえしま かずひろ》
1965年静岡県生まれ。上智大学総合グローバル学部教授。アメリカ学会前会長。グローバルガバナンス学会副会長。上智大学アメリカカナダ研究所所長。専門は現代アメリカ政治外交。上智大学外国語学部英語学科卒、ジョージタウン大学大学院政治学部修士課程修了(MA)、メリーランド大学大学院政治学部博士課程修了(Ph.D.)。近著に『現代アメリカ政治外交』(編著、法律文化社、2026年)など。
イランへの攻撃
アメリカとイスラエルが2月28日に開始したイランへの大規模な軍事作戦で、イランはホルムズ海峡を封鎖し、中東全体を巻き込む紛争に発展した。
そもそもアメリカはなぜイランにこれほど大規模な攻撃を行ったのか。トランプ大統領の思惑からすると、支持層が喜ぶ「世直し」に他ならない。1月のベネズエラ軍事侵攻も同じ動機であり、長年の間アメリカが敵とみなしてきた国を、ここぞとばかりに叩いていく形だ。
トランプ政権が掲げた「ドンロー主義」は、西半球の秩序をアメリカ主導で確保しようという外交理念である。初期のモンロー主義は、基本はヨーロッパとの相互不干渉であり、孤立主義とも解釈された。しかし、トランプ政権が目指しているのは、20世紀初めにセオドア・ルーズベルトの「モンロー主義の修正(コロナリー)」に端を発する。ルーズベルトは、カリブ海周辺で行った大きな武力で圧倒する「棍棒外交」だった。軍事力を背景にコロンビアからパナマを独立させ、パナマ運河を建設させてその利権を手に入れたように、他の国への経済制裁、軍事介入も辞さず、力づくで「自国関連の地域安定」を進め、自国の優位を築くものだ。
イスラエルは東半球だが、アメリカにとっては自分の州のような国だ。特にトランプ支持層のキリスト教福音派は圧倒的にイスラエル支持であり、宿敵のイラン攻撃に賛成している。つまり、支持層を喜ばせるための利益還元に他ならない。
世論調査をみると、アメリカ全体では半数以上がイランへの攻撃に反対だが、国民の3割とされる共和党支持層は7割から8割が好意的に評価している。イスラエル、そしてアメリカを守るため「イランの核兵器開発は未然に防ぐべき」というのがその根拠だ。ガソリン価格の高騰や紛争の長期化を懸念する声は共和党支持者の中にもあり、イランへの攻撃を公然と反対する保守派のインフルエンサーがいるなど、一部にほころびが見えるが。まだ、圧倒的に支持のほうが強い。
1979年の革命からずっとアメリカに敵対している国を完全につぶした大統領となれば、後世に名前が残るという狙いもトランプにあるだろう。ただ、イランは軍事力も諜報力もあるため、この原稿を書いている4月半ばまで、てこずっているのは本音だ。
「潮目が変わった」ようにみえる米中関係
一方でアメリカにとって外交・安全保障上の最大の課題であるとみられる中国については、大きな変化がある。それは米中の新たな関係づくりが進んでいることだ。
なぜか。中国はアメリカ経済に深く浸透しており、すでに相互依存関係にあるため、中国を関税でねじ伏せることができなかった。中国に貿易戦争を仕掛けても、結局、アメリカの出血もかなり多く、痛み分けとなる。
特に、第二次トランプ政権では2025年10月に開催された米中首脳会談がひとつの山場となり、「潮目が変わった」ようにもみえる。
米中を二大国家「G2」とトランプ大統領が表現するように、中国を叩き潰す包囲網を作るのではなく、中国とは適宜話し合い、競争しながら共存を図り、問題を解決していく大国関係になっていく方向性が明らかになりつつある。
米中首脳会談の直前に行われた昨年10月の日米首脳会談では、高市首相とトランプ大統領の緊密な関係を世界的にアピールした。トランプ大統領にとっては、「日本側を味方につけている」という米中首脳会談に向けて、中国側への牽制の意味もあった。
そのかいもあってか、2025年10月の米中首脳会談両国は、アメリカが対中関税を下げる一方で、中国はレアアース輸出再開、アメリカ産大豆の速やかな輸入再開、合成麻薬フェンタニル原料の管理強化などで合意した。これはトランプにとっては満額回答だったといえる。
米中首脳会談直後となった高市首相の存立危機事態の国会答弁について、トランプ大統領は、FOXニュースのインタビューで「アメリカと中国は良い関係だ。同盟国とは本当の友人ではない」と語った。直前の日米首脳会談での高市首相とトランプ大統領の緊密な関係からするとありえないような中国擁護だったが、むしろ、日本は米中首脳会談に向けての「カード」と考えれば合点がいく。残念ながら、トランプ大統領にとっては、日本はこれまでの中国包囲網の核となるパートナーとしての立ち位置での要素が弱くなり、「カード」に成り下がっているといえる。
日本はどうすべきか
私たちは、「日本はカードでしかない」というこの現実を認識しなければならないだろう。ただ、とはいえ、昨年の日米首脳会談がそうだったように、今後もトランプ大統領は中国との交渉の前などに日本との良好な関係を最大限にアピールしたいはずだ。日本としてはこの行動パターンを利用すべきであろう。
昨年末の国家安全保障政策にあるように、トランプ政権は日本に対して防衛力を整備し、中国の現状変更の動きを抑えることを願っている。
一方で、日本の防衛力強化には大きな課題もある。
すでにトランプ政権は同盟各国の軍事負担をアメリカよりも高いGDPの5%を目指すように訴え続けてきた。その背景にあるのは、トランプ大統領が「同盟国をアメリカが無理をして助けている金食い虫」と思い込んでいる節がある点だ。NATO加盟諸国や日本、韓国の軍事拠出が足りないと常にトランプは主張している。そこでは自由や法の秩序を破ることに対する原理原則や国際秩序ではなく、損得の勘定がポイントとなる。ウクライナに対するアメリカの支援も「欧州が担当すべき」という発想になる。
日本にとってアメリカは、唯一の同盟国だが、日本の場合、現在防衛費はGDPの2%を目指して進んでいるが、防衛費の増額は立法手続きが必要だ。
そうなると、日本にとっては柔軟な外交を進める必要性がある。中国に対してもより柔軟で粘り強く、関係改善を進めていく必要は急務だ。
米中関係の狭間の日本の立場はなかなか難しい。唯一の同盟国であるアメリカに信頼を寄せられないながらも、それでもアメリカからはしごを外されないように努力しつつ、他の国との外交も強化していくといった、したたかな外交姿勢をより顕在化させないといけないだろう。
2026年5月4日号 週刊「世界と日本」2314号 より
ホルムズ海峡危機と
激震する国際エネルギー情勢
日本エネルギー経済研究所
専務理事・首席研究員
小山 堅 氏
《こやま けん》
1986年早稲田大学大学院修士修了後、日本エネルギー経済研究所入所、2001年英ダンディ大学にて博士号取得。政府のエネルギー関連審議会委員、国連のアドバイザーなども歴任。13年から東京大公共政策大学院客員教授。17年から東京工業大学科学技術創成研究院特任教授を兼務。23年The OPEC Award for Research受賞。近著に『暮らしと物価の地政学』(ナツメ社)など多数。
2026年2月28日、米国とイスラエルが対イラン軍事攻撃を開始した。この攻撃によって、イランでは、最高指導者(当時)のハメネイ師を始めとする政府要人が多数殺害され、軍事・核開発関連重要施設が破壊されるなど甚大な被害が発生した。イラン側は、この攻撃を、体制転覆を図る狙いがあるものと受け取り、「捨て身の反撃」に乗り出した。
イランによる「捨て身の反撃」は従来のイラン問題を巡る「常識」を覆すことになった。第1には、中東のエネルギー輸出の大動脈であるホルムズ海峡が実質的に封鎖されたことである。これまで、中東情勢が緊張するたびにホルムズ海峡封鎖が取沙汰されてきたが、イラン側が海峡封鎖を行えば、米国の強力な軍事介入を招き、体制転覆につながる恐れがあるため、「脅し」としては使えても実際に海峡封鎖が行われることは考えにくい、というのが「常識」であった。また、第2は、イランが反撃の一環として、湾岸産油国の主要なエネルギーインフラなどを攻撃し、重大な被害が発生したことである。これまで、イランは、湾岸産油国に対しては自らの孤立を避けるため攻撃・反撃を実施するにせよ抑制的なものに限定するだろう、というのが「常識」であった。この2つの「常識」は今回の中東戦争によって覆ったのである。
今回の戦争開始以来、本稿執筆段階(4月20日現在)まで、ホルムズ海峡の実質的封鎖が続き、世界の石油及び液化天然ガス(LNG)の供給量の2割に相当する中東からの輸出に支障が生じ続けている。この巨大な数量を完全に代替することは不可能であり、巨大な供給途絶発生によって、国際エネルギー市場は一気に不安定化した。
指標原油、米国産標準油種(WTI)の先物価格は戦争開始前の67ドルから一気に急騰、瞬間風速ではここまでの最高値として120ドルに迫る高騰を示した。ホルムズ海峡封鎖を巡る米国・イランの発言などで原油価格は乱高下しているが、基本的に高止まりを続けている。ホルムズ海峡迂回パイプラインや消費国における備蓄の存在が一定の代替効果を発揮している原油に比べて、石油製品やLNGは供給途絶の影響がより深刻で、石油製品価格やLNGスポット価格は原油以上の高騰を示している。
価格高騰以上に重要なのは、ホルムズ海峡の実質的封鎖が長期化すれば、供給不足が深刻化し、必要なエネルギーが手に入らなくなるという「物理的不足」が発生することである。暮らしや経済を支えるエネルギーに「物理的不足」が発生すれば極めて甚大な負の影響が生じる。今般の「ホルムズ海峡危機」は世界のエネルギー安全保障を脅かす重大問題となっているのである。
エネルギー価格高騰や供給不足問題の先行きは極めて不透明である。最大のポイントは、ホルムズ海峡の実質的封鎖の帰趨だが、今後の展開に予断は許されない。4月11日に実施され物別れに終わった米国とイランによる戦争終結に向けた協議が再開される可能性が浮上しているが楽観視はできない。核開発問題やホルムズ海峡の管理などに関する米国とイランの立場の隔たりは大きく、仮に何らかの「妥協」が成立するにせよ、その持続性には懸念が付きまとう脆弱なものとなりうる。強硬姿勢を貫くイスラエルは、米国とイランの合意を必ずしも望むものでないとの見方もあり、その動きも要注目である。事態の展開によっては、再び軍事的な緊張が一気に高まり、攻撃の応酬が繰り広げられる可能性もゼロではない。協議が実施・継続され「小康状態」が続くにせよ、ホルムズ海峡の実質的封鎖状況が残り続ける可能性もある。国際社会にとっては、戦争終結とホルムズ海峡の開放が速やかに実施されることが最も望ましいが、それを予期するのは決して簡単ではないだろう。
また、重要なのは、仮に戦争が終結しホルムズ海峡の通行が正常化するにせよ、今後も海峡封鎖発生リスクが付きまとうことである。イランにとって、ホルムズ海峡通行への影響力行使が極めて重要な地政学上の「切り札」となることが明確になった。今回のホルムズ海峡危機を契機に世界は大きく変化したともいえる。
価格高騰と供給不足懸念に直面して、世界はエネルギー安定供給確保への必死の取組みを始めている。国際エネルギー機関は、危機発生早々に加盟国全体で過去最大となる4億バレルの石油備蓄共同放出を決定した。また、中東依存度が高く、石油備蓄整備が進んでいないため、供給途絶に脆弱なアジアの途上国では、緊急的な石油の節減対策に乗り出し、石油製品輸出を抑制し、国内供給優先策を強化、非中東の代替供給源調達に必死で対応を始めている。フィリピンでは「国家エネルギー非常事態宣言」も発出された。
2025年時点で、原油輸入の中東依存度が94%に達している日本も厳しい状況に直面している。政府は、世界に先駆けて石油備蓄放出を決定、民間備蓄及び国家備蓄の双方で、計45日分の備蓄放出を実施し、20日分程度の国家備蓄追加放出も実施予定である。ガソリン価格高騰を抑え、小売価格を170円前後に抑えるための補助金制度も再開した。中東産のナフサ輸入への依存が高く、需給逼迫が厳しいナフサ対策として代替供給源確保などを強化している。日本の製油所は基本的に中東原油を処理する設計であるため、自然な選択となる中東原油の代替を探すことは容易でないが、官民を挙げ、原油および石油製品・LNGの全てにおいて、北米を中心にアジア太平洋、中央アジア、中南米など代替供給源確保に取り組んでいる。今後は、経済活動への影響を考慮し、過度の社会不安の発生を回避しつつ、必要に応じて日本でも石油などの節減対策実施に向けた検討・準備が進められて行く可能性がある。未曽有の大規模な供給途絶に直面し、従来の「常識」が覆った国際エネルギー情勢の中で、日本は総合・包括的なエネルギー安全保障戦略強化が求められて行くことなる。
2026年5月18日号 週刊「世界と日本」2315号 より
戦争主導権の奪還と不確実性の瀬戸際
米・イラン戦争の構図と「静かな封鎖」がもたらした逆転
国際政治アナリスト
菅原 出 氏
《すがわら いずる》
1969年東京生まれ。92年、中央大学法学部政治学科卒。93年よりオランダ留学。97年 アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士号取得。在蘭日系企業勤務、東京財団リサーチフェロー、英国系危機管理会社役員等を経て、現在は国際政治アナリスト、NPO法人海外安全・危機管理の会(OSCMA)代表理事。
イラン「地域エスカレーション戦略」と戦略的主導権の確立
2026年2月末の米・イスラエル連合軍によるイラン攻撃以降、戦争は当初の想定と全く異なる構図で展開してきた。米・イスラエル軍はイランの弾道ミサイル・ドローン能力破壊を目指す大規模空爆を実施したが、イランは2025年6月の「12日間戦争」後に戦略を転換しており、抑制的報復から「戦争を地域全体にエスカレートさせ、湾岸アラブ諸国を標的に世界経済を人質にとる」戦略へ軸足を移していた。
開戦と同時にイランは防御の脆弱な湾岸アラブ諸国に火力を集中。さらに「モザイク防衛」を採用し、分散配置された部隊が自律判断できる体制を整備していたため、即座に報復を展開した。狙いは長期消耗戦──激しい攻撃に耐え続け、湾岸諸国や世界経済への打撃を持続させることで、アラブ諸国・米国民が経済的痛みに耐えられなくなる時を待つ戦略であった。
この戦略は予想以上の成果を上げた。湾岸の石油・ガス施設の一部が破壊され、ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで原油価格は急騰、株式市場の動揺は米経済にも波及した。米・イスラエル軍はイランの主要軍事施設を次々と破壊したが、湾岸諸国やホルムズ海峡通航船舶を攻撃する「能力」自体を奪うことはできなかった。一日数発のドローン発射だけで世界経済に打撃となる構造の中で、攻撃能力の完全破壊は非現実的であった。
自信を深めたイランはさらにホルムズ海峡通行税導入を発表、海峡封鎖能力を恒久的金銭収入に変える制度設計に着手。イランに「安全保障費」を支払う船舶には通過を認める「保護料徴収体制」の構築である。
こうして、米国が軍事力でイランを攻撃しても、イランが湾岸諸国やペルシャ湾の船舶を攻撃すれば世界経済悪化が米国に跳ね返る──戦略的主導権はイラン側に移った。
相互脅迫と破滅的エスカレーションの危機
軍事目標をほぼ攻撃し尽くした米国は、さらなる圧力手段として発電所・石油施設など民生インフラ攻撃を主張し始めた。これに対しイランも湾岸アラブ諸国の民生インフラを徹底破壊すると脅迫、緊張は高まった。発電所、海水淡水化施設、橋梁、石油精製プラント─双方が民生インフラ破壊を言明する状況は、中東全域の崩壊を意味しかねない水準まで危機を押し上げた。
これを受け、パキスタン仲介による交渉が実現。4月11~12日、ヴァンス副大統領率いる米代表団とガリバフ国会議長率いるイラン代表団がイスラマバードで21時間協議した。米国はウラン濃縮永久禁止要求を「20年停止」に緩和するなど譲歩を示したが、イランは「一桁年数の停止」を主張して譲らず、協議は決裂した。
「静かな封鎖」という戦略的イノベーション
ここで米国が導入した新たな一手が、イラン港湾への海上封鎖だった。4月13日、米中央軍はペルシャ湾・オマーン湾を含むイラン沿岸出入船舶への封鎖措置を発表。完全機能すればイランは1日約4億3500万米ドルの損失を被り、陸上石油貯蔵能力13日分を超えると油田操業停止に追い込まれる計算である。
注目すべきは、この「戦争行為」にもかかわらず市場が全く反応しなかった点である。封鎖開始以来、米中央軍はイラン関係船を反転・帰港させ、突破を試みる船舶を拿捕しているが、市場は反応することなく、原油価格上昇も抑制された。
ミサイル攻撃のような大規模破壊を伴わず、停戦維持・交渉継続中である限り、海上封鎖の静かな圧力は極めて有効だ。これにより米国は戦争開始以降初めてイランへの戦略的主導権を取り返した。イランの「世界経済人質戦略」に対し、米国は「イラン経済人質戦略」で応じる対称性を構築したのだ。
イラン強硬派主導権握り再協議の目途立たず
しかし事態は単純には進まなかった。4月21日に予定されていた二回目の協議は土壇場でキャンセル。トランプ大統領はパキスタン指導部の要請で停戦を無期限延長する一方、海上封鎖は継続すると発表。
舞台裏ではイラン内部の権力闘争が深刻化し、ガリバフ・アラグチら文民指導部は協議継続を支持する一方、革命防衛隊ヴァヒディ司令官ら強硬派は封鎖継続下での譲歩を拒否。結局強硬派主導でイランの交渉戦略が固まり、まず米国による海上封鎖を解除させることに協議内容を集中させ、核問題は後回しにする方針が決められた。協議アジェンダの変更に米国は反発し再協議の目途はたっていない。
不確実性の瀬戸際─エスカレーションのリスク
4月23日には3隻目の空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」(乗員約6000名)と護衛艦群がイラン近海に到着。「ボクサー」水陸両用即応群と第11海兵遠征部隊(約4200名)も中東移動中で5月上旬には、米軍戦力が大幅に拡大する。
時間的制約は双方に重くのしかかる。イランの石油貯蔵は4月末に限界を迎え、4月末から5月上旬に米軍中東増派完成、5月中旬の米中首脳会談前にイラン問題を片づけたいトランプ大統領の政治的思惑─複数の時計が4月末から5月上旬に収斂する。
トランプは封鎖継続を主張し、イランとの我慢比べに入るが、忍耐を失ってイラン攻撃を再開すれば、イランは強硬派を中心に全面報復、イエメン・フーシ派経由の紅海封鎖や湾岸エネルギーインフラへの大規模攻撃という選択肢を発動しかねない。一方、イラン強硬派が米奇襲を警戒し先制的エスカレーションに踏み切るリスクも排除できない。
「静かな封鎖」で戦争の構図は大きく変わった。だが、トランプかイラン強硬派のいずれかが譲歩しない限り、さらなるエスカレーションのリスクは依然高い。4月末から5月上旬までの期間が、中東と世界経済の運命を左右する正念場となりそうである。











