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地方創生特集

人口減少、超高齢化社会という世界でも未だ直面したことのない社会へと日本は向かいつつあります。自立的で持続可能な社会を創生するために、第3次安倍政権では地方創生を最重要課題として位置づけております。内外ニュースでは「地方創生チャンネル」において、週刊・月刊「世界と日本」の執筆者、東京・各地懇談会の講演、専門家のインタビュー記事等の情報を掲載して参ります。

2017年6月19日号 週刊「世界と日本」第2103号 より

「本屋、はじめました」

人が行き交う、本屋という空間

 

書店「Title」店主 辻山 良雄 氏

撮影:齋藤陽道
撮影:齋藤陽道

《つじやま・よしお》 1972年神戸市生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、㈱リブロ入社。中核店舗の店長を経て池袋本店統括マネージャー。2015年同店閉店後退社。2016年荻窪に本屋とカフェとギャラリーの店「Title」をオープン。『朝日新聞』書評、カフェや美術館のブックセレクションも手掛ける。著書は『本屋、はじまめました』(苦楽堂)。

 

 Title(タイトル)は、東京都杉並区の荻窪駅から西に歩くこと10分と少し、青梅街道沿いにある新刊書店です。築70年の古民家を改装して作った店で、1階は本屋とカフェ、2階がギャラリーになっています。
 オープンしてちょうど1年経った2017年1月10日、出版社の苦楽堂より『本屋、はじめました』という本を上梓しました。前職の大型書店の話から、店をオープンするにあたっての細かな準備の話、店を開いてみて考えたことなど・・・。
 そうして刊行された本は、出版関係者のみならず、何かを自分で始めたい人や、自分の生き方を見つめ直したいと思っている人など、様々な人に手に取って頂いているようで、「本を読んで来ました」と店頭でお声かけされることも増えました。
 「一冊の本を書くということは、こんなにも多くの人との繋がりをつくるのだ・・・」ということを、本屋を経営している身でありながら、改めて思い知らされる日々です。
 「こんなに本が売れない時代に、よく個人で新刊書店を開きましたね」と店を開店する前も、開店してからも、事あるごとによく言われます。確かに本が売れなくなったということは、数字だけ見ればその通りで、伝えられている書籍の売上金額は毎年、前年の数字を割りつづけ、閉店する「町の本屋」の話も後を絶ちません。
 しかし店頭に立っていると、それでも売れている本は数多く、本を買う人は何冊もまとめて買っていかれます。つまり昔とは違い、本は嗜好品となり、誰もが本を買う時代ではなくなっているということでしょう(現にTitleの前の通りも人通りはありますが、ほとんどの方は素通りします)。
 それならば、本を買う人にきちんと情報を届け、そうした人に、どこからでも来てもらえるような店づくりをすればよいと思いました。
 Titleのホームページには「毎日のほん」というコーナーがあり、そこでは毎朝、本を1冊紹介しています。これは毎日行うことに意味があります。
 これだけ情報にあふれている現在では、「この人は何かしらそれにかけている」ということが伝わらないと、人の心は動かせません。ましてや店舗まで足を運んでいただくことはできません。
 Titleではこの「毎日のほん」以外にも、その日に入った本も数冊、SNSを通じて紹介していますが、絶え間なく本の紹介をすることで「この店はこうした本に力をいれているのだ」と、それを見る人にわかってもらえます。
 「昨日、紹介されたこの本はありますか」と店頭で聞かれることも多いのです。同じ紹介文はオンライン・ショップにも使用しているので、紹介した本は店に来た人だけでなく、住む地域を問わずにご購入いただいています。
 Titleのお客さまは、もちろん店の周りに住んでいる方が中心ですが、「Titleが出す情報」を媒介とするならば、あらゆる地域に住む方が、お客さまの対象になってきます(出張のついでに店に足を運んでくださる方もいれば、インターネットで本を買うリピーターの方もいます)。
 インターネットは本の敵だという意見もありますが、宣伝にお金をかけず、レジやオンライン・ショップのシステムも安価に利用できることを考えると、それをうまく使えば個人で店を開くというハードルを下げることができると思いました。
 他の大型店や、ネット書店でも売っているような本を、「どうせならこの店で買いたい」と思ってもらえる店になるためにはどうすればよいのでしょうか。
 それには当たり前ですが、「本」のことをよく知る必要があります。
 たとえば普段の食事はファストフードで済ます人も、大事な日には料理に精通した、丁寧な仕事をする店を選ぶと思います。本も同じで、「この店の人はこの本のことをわかって並べている」と思わせる店では、自然とお客さまの財布の紐も緩んできます。
 本の紹介はそれに適した言葉か、本がきれいに並べられているか、隣に置かれている本との違和感はないか、それを見つけた時に、落ち着いた環境であったかどうか・・・。当たり前のことばかり書きましたが、特に必要ではなかった1冊の本を、店に来た人が買おうと思うには様々な要因があり、本に付加価値を付けるのは、その店次第ということだと思います。
 Titleは東京の外れにある店ですが、お客さまには本に関する体験を深めて頂こうと、著者を呼んでのトークイベントも頻繁に行っており、2階のギャラリーでは作家の生原稿や原画を展示しています。
 店が本屋だけであれば、本を買えばそれで用事が済みますが、その本に関して誰かが熱く語るのを聞き、その本から広がる世界を「展示」という形で見ることは、また別の体験です。
 トークイベントのあとは、店のそこかしこで何となく小さな輪ができて、先ほどまで話されていたことについて、お客さま同士が感想を言い合ったりする姿をよく見かけます。その体験が忘れられず、イベントに何度も足を運ばれるお客さまも多く、そのお客さまが好みそうなイベントがあるときは、前もってこっそりとお教えすることもあります。
 Titleくらいの小さな店であれば、積極的にお客さまに話しかけなくても、自然な雰囲気で会話が進みます。そうした空間の中ではお客さまも消費者というよりは、一人の人格を持った個人として見えてくるので、店を続ければ続けるほど、本を通じて知り合った人が増えていくという感覚でしょうか。そこでは、著者も読者もあまり関係はなくなってきます。
 店は本を売ることでお金をいただき、それを生活するための「商売」として行っていますが、どうやらそれだけではないような気がしてきました。
 お金の授受だけではなく人間性の交換、そうしたことがどこかにないと個人の店はうまくいかないのではないかと思います。それは、個人の店は「安さ」「便利さ」だけで、お客さまとつながっているものではないからです。利便性でつながっているだけでは、もっと安くて便利なものができれば、すぐにそちらに流れていきます。
 それよりは店に来るお客さまのことを知り、その上で商品のことをよく知った、血の通った店であることが求められますし、店をやっていても楽しいでしょう。そうした人の行き交う本屋を目指して、これからも本を売り続けていこうと思います。

 


2017年4月3日号 週刊「世界と日本」第2098号 より

地方創生と地域活動

お酒でつながる福島と山口

田中 淳夫 氏

 この春、銀座でミツバチを飼って12年目を迎えます。ちょうど干支が1回りした訳で、こんなに長く続くとは考えもしませんでした。

 この間、マルシェやフォーラム、さらには「ビーガーデン」と称する屋上庭園に地域の苗を植えた事で、地方との縁が広がりました。特に震災前に農業生産法人として農地を借りた福島とは、原発事故後ますます強い絆で結びつきました。

 一昨年、ひょんなご縁で安倍昭恵夫人の養蜂を首相公邸でお手伝いをする事になりました。折角ミツバチを飼ったのであれば、花を植えませんか? という事で福島市の菜の花を植えていただきました。この事がきっかけで福島で酒米を作り、山口(長州)でお酒に醸し、銀座で売る企画が持ち上がりました。

 そして昨年の5月と10月、銀座の私たちとともに昭恵夫人、「長州友の会」の皆さんが田植え、稲刈りのため福島に駆けつけました。

 両日とも福島市長、JAふくしま未来組合長、土湯温泉女将さん会、地元の中学生たちなど100人以上が田んぼに入る一大イベントとなりました。

 こうして地元では5年間休んでいた田んぼを掘り起し、環境に優しい特別栽培米として苦労しながら育ててくれました。

 収穫後、全袋検査をして山口の永山酒造へ送り、年明けに、今度は銀座から山口へ仕込みに出向きました。意気に感じて応援してくれた永山社長は「困っている福島の農家を全国の蔵が応援すれば良いんだ!」と杜氏を口説き、純米吟醸3000本の仕込みが実現しました。

 精一杯働いた後のお酒が一番美味しい! のは万国共通、だから

「精一杯」と名付けたのです。

 こうして、以前から課題を抱えていた福島を、銀座を介して、遠くの山口が応援するコラボが実現しました。

 奇しくも長州、江戸、会津と歴史的“縁”のある3地域が、震災の様々な苦難を乗り越えて、友情の証として誕生したお酒を飲み干して、さらなる出会いを作りたいと思います。

((株)銀座ミツバチ社長)

 


真ん中的視点の思考力で

大久保 和孝 氏

 社会の価値観が大きく変化し、「正解のない問い」が溢れる一方、テクノロジーの進化によって、課題の解決方法は、より高度化、効率化した。そのため、深く考えずに、安易な正解を求めるようになった。

 結果だけを求め、自ら判断、決断することを避け、言い逃れのための手段だけを考える、思考停止の状態が社会に蔓延している。

 問題の本質を突く、根本原因を探ることなく、形式的で表面的な対応をしただけで、問題解決に取り組んだつもりになる。

 日本の戦後教育は、「期待される」正解を覚えることに注力してきた。与えられたものを器用にこなす人材が評価され、また人材教育の中心は知識の習得に偏り、自ら考える力を奪ってきたことは否定できない。

 しかし、唯一の解が見いだしにくい時代において、マニュアル通りの画一的な対応しかできない人材は環境変化から取り残されるだけでなく、社会の成長の阻害要因ともなりうる。

 「正解のない問い」に応えるためには、白でも黒でもない、真ん中の視点で物事を考えることのできる思考力を身につけることだ。

 真ん中的な思考力とは、中庸という意味ではなく、新しい発想を生み出す視点を指す。

 例えば、スターバックスは、職場でも家庭でもない場を求めることで急成長した。人口減少時代において、観光客や移住者を増やすだけでなく、少数であっても繰り返し訪れるリピーターをいかにつくるかといった、今までの画一的な思考から抜け出す習慣をつけることだ。

 真ん中的視点の思考力を身につけるためには、対話が最も重要な手段となる。どのようになりたいのか、関係者間で“あるべき姿”や共有のビジョンを明確にした上で意見をぶつけ合い、解決策を考え抜くことで、新しい発想が生まれる。

 また、意見をぶつけ合うためには、参加者の質問力がカギとなる。いい質問をするためには、想像力を鍛え、自分ごととして考え抜く力をつけることだ。

 真ん中的視点を念頭に、批判ではなく提案を、理想や評論ではなく具体策を、失敗を恐れずに行動することで、前向きな社会を作る。

 このような思考が、日本の教育に最も求められることではないだろうか。

(新日本有限責任監査法人・経営専務理事)

 


「あんのう芋」宣伝隊長

園田 東 氏

 私の故郷は、鹿児島県の種子島です。鉄砲伝来やロケット打ち上げ、「あんのう芋」などで有名な所です。早いもので、故郷を離れ、40数年が経ちましたが、数年前より関東種子島会において「あんのう芋宣伝隊長」の命を受け、島の発展に貢献する活動に取り組んでいます。

 あんのう芋は、独自の濃厚な甘みとしっとりとした食感が人気となり、やや高価ですが、好評を得ております。特に焼き芋にすると、スイーツのようになります。

 もともと、あんのう芋は、種子島の北東の海沿いに位置する、「安納」で栽培されており、その土壌の影響で美味しくなると言われています。作物は、最適なストレスを与えられると、栄養素をより多く取り込む性質があります。安納地区の土壌は、潮風により、塩分やその他のミネラルが適度に含まれており、それが、最適なストレスとなっています。

 また、あんのう芋は、他の薩摩芋と比較して水分量が多く含まれています。水分量が多いと、加熱により水分が蒸発し、糖度が濃縮され甘みが増します。

 しかし、近年、あんのう芋の特徴を損ねたものが市場へ供給されるようになってきています。その背景には、建築業者の新規参入や安納地区以外、種子島以外での栽培があります。

 重機での大量生産や他の地域で栽培をするようになり、市場への供給量が増え、種子島経済を一時は助けましたが、弊害として品質悪化を招き、人気の陰りが出始めています。益々、本来のあんのう芋のブランド確立の必要性が高まっています。

 このような状況を打破するため、高品質なあんのう芋の安定供給の仕組み作りに着手いたしましたが、高品質なあんのう芋は、安納地区でしか栽培できず、一部の生産者しか利益を得ることができません。それでは全体の利益にならず、とはいえ、現状の状態が続けば、あんのう芋の価値が下がってしまいます。このようなジレンマの中、打開案を模索しているのが現状です。

((株)アルファジャパン社長)


2017年3月6日号 週刊「世界と日本」第2096号 より

ONSENとグルメで日本を元気に

-「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」の勧め-

 

(株)ANA総合研究所 代表取締役副社長 小川 正人 氏

 2016年は訪日外国人の数が2400万人を超え、濃淡はあるものの、じわじわと地方へも訪問客の増加がみられている。言うまでもなく、高齢化による人口減少に見舞われ、後継者もままならない地方の産業が多い中で、観光は地方創生の切り札とされて久しい。

《おがわ・まさと》

1954年生まれ。78年慶応義塾大学経済学部卒業後、全日本空輸(株)入社。広報室長、秘書室長、執行役員営業本部副本部長、2011年上席執行役員名古屋支店長を経て、15年4月より現職。ANAグループの基盤である地方活性化に邁進している。(公社)日本観光振興協会国内観光促進委員会委員長。(一社)ONSEN・ガストロミーツーリズム推進機構専務理事。

 切り札は「観光」である、という掛け声の割に、外国人目線から見て東京、京都、大阪のいわゆる「黄金ルート」に比べ、地方には、いま一つコンテンツが不足しているのが現状だ。

 確かに、絶景ポイント、映画のロケ地、サルが入る温泉など、各地域の努力により、あるいは、SNS等が切っ掛けになって、魅力のある「点」は増えつつある。

 しかしながら、これらが「線」、あるいは「面」として繋がっていかないため、地方での長期滞在に結びつかず、東京に滞在しながら各地に日帰りで行く外国人も多いという。

 この現状を打破する切り札の一つが「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」である。

 近年、地域に根差した食の魅力に触れることを目的としたガストロノミーツーリズムは、欧米を中心に世界各国で多くの取り組みがなされている。国連も地域社会の持続可能な発展、雇用の促進に重要な役割を担うとしてガストロノミーツーリズムを推奨している。

 ガストロノミーツーリズムで先行する欧米では、「ファーム・トゥ・テーブル」という、生産者の顔が見える農場からの取れたての肉や野菜を食材とするレストランが人気を集めている。美味しい食材の宝庫である日本の地方にも、地域の新鮮な食材をその土地で楽しんでいただく「ファーム・トゥ・テーブル」は、ぴったりであろう。

 日本食を楽しみに訪日する外国人は数多い。観光庁「訪日外国人消費動向調査(2015年版)」によると、『訪日外国人が次回、日本でしたいこと』は、

(1位)日本食を食べること   59.3%

(2位)ショッピング      48.9%

(3位)自然・景勝地 観光    43.5%

(4位)温泉入浴        43.4%

(5位)繁華街の街歩き     30.9%

 という結果だった。

 この調査にあるように、温泉入浴も、「訪日で次に日本でしたいこと」の上位に入っている。

 取れたての日本の食材を、その地域で食べ、ONSENを体験することは、訪日外国人にとってキラーコンテンツと言える。

 こうした流れを加速させるべく、ANAグループで地域活性化を担うANA総研や、食の検索情報サイト大手の「ぐるなび」等が、温泉の振興に力を入れる環境省の協力と、日本のガストロノミーツーリズムを推進する日本観光振興協会の特別協力を得て「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」を立ち上げた。

 現在、温泉地は多くの課題を抱えている。日本は掘れば温泉が出ると言われるほどの温泉大国だが、かつては、大型バスで温泉客が乗り付け宴会で大騒ぎをする、いわゆる団体旅行が主流であった。

 この需要に応えるため施設は大型化し、食事も大量に供給できる、お仕着せのセットメニューが大半を占める。このため、そもそも個人客の長期滞在には不向きとなっている旅館も多い。

 今、こうした団体旅行の需要は、高齢化社会の進行とインターネット時代の到来によって、大きくその数を減らしており、どこの温泉地もかなりの危機感をもっている。

 もちろん、中には、早い段階で思い切って部屋数を減らし、富裕層や外国人に的を絞って成功している有名旅館や、黒川温泉のように街が一体となって、看板を撤去するなど独特の雰囲気を作り、温泉手形として相互にお風呂を開放しあう等、街ぐるみで際立った個性を持つことに成功している例もある。

 一方、前述の大規模旅館の多い温泉街では、箱物産業の常で、大きいほど維持費もかさみ、空室が出やすい。対策のため安い宿泊費のお客様を多くとってキャッシュフローを改善しようとすると、上質のお客様の離反を招くという悪循環を招いてしまう。

 廃業して廃墟となった旅館は、景観に深刻なダメージを与えている。こうした状況もあって、温泉地の観光客数は全体でみると逓減している。

 また、食の方も農協や漁協に一括で納めた方が、生産者にとっても都合がいいため、美味しいものは築地に集まる傾向にある。造り酒屋も、とりわけ有名どころは、造れば全部売れるため、新酒の時期等を除いて一般の消費者には門戸を閉ざしているところも多く、ましてや欧米人が訪問してテイスティングや、購入ができるようなところは、数少ない。

 欧米では、毎週のように「ガストロノミーウォーキング」と称して、300〜500人が40〜50ユーロ(約5000円)を支払って、ワイングラス片手に、各地の絶景の中を歩きながらフルコース料理を楽しんでいる。

 温泉地を拠点として、地域の絶景を見ながら取れたての食材を食べ、グラス片手に地域のお酒を飲みながらウォーキングする「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」は、日本にぴったりの風景であると確信している。

 自分の足で歩いてもらうので、二次交通や箱物がいらず、長期滞在が誘発される、まさに地域にお金が落ちる仕組みである。私たちの機構にも40以上の自治体から問い合わせが来ている。

 最近では、地域にこだわりを持つ料理人の方や、観光客を意識した造り酒屋さんも徐々に増えてきて、地域や観光への意識も高まってきている。

 我々の取り組みが、切っ掛けとなって、地域が活性化し、地方に眠る日本の宝(=温泉、景色、食、酒)が、世界にアピールされることを切に願っている。


2017年2月6日号 週刊「世界と日本」第2094号 より

新春インタビュー
ANAのDNAはチャレンジ精神

 

ANAホールディングス(株) 代表取締役社長 片野坂 真哉 氏
インタビュアー 政治ジャーナリスト 細川 珠生 氏

 昨年3月、国際線定期就航30周年を迎えたANA。2017年、新たな年を迎えた「新春インタビュー」第3弾として、日本が誇るリーディングエアラインであり、経済界のトップランナーである、ANAホールディングス(株)代表取締役社長の片野坂真哉氏に、「明日の経営に向かって」と題し、国際線進出の経緯と課題、そして、新しいことに挑戦し続ける成長力の秘訣を、政治ジャーナリストの細川珠生氏がお聞きした。

片野坂真哉社長(右)と細川珠生氏
片野坂真哉社長(右)と細川珠生氏

世界のリーディングエアラインを目指し

 

 細川 国際線定期就航30周年を迎えられ、この間に19カ国、41都市を結ばれたわけですが、これまでを振り返られていかがですか。

 片野坂 私が入社した時(1979年)は国内線だけの会社でした。入社6年目の時に東京本社に転勤になりましたが、その配属先が「何としてでも国際線定期便に進出したい」という悲願に取り組む部署でした。

 それまで国内線ではシェア50%でトップでしたが、国際線はチャーター便だけだったので、1986年に初めて成田からグアムに定期便が飛んだ時の感激は、今でも忘れられません。

 細川 国際線の定期便を就航させることは、エアラインとしての念願でもあるわけですね。

 片野坂 おっしゃる通りです。最初の国際路線は、成田からグアムとロサンゼルス、ワシントンDCでした。

 ワシントンDCはアメリカの首都ですが、どうして先発の会社は飛んでいなかったのだろうかと思いながらも、継続して飛び続けたことで、今では政府関係者や金融機関のトップの方も含め、非常に多くの方にご利用いただける路線に成長しました。

 細川 いつでも順風満帆とはいかなかったそうですが、継続させるにはかなりのご苦労が多かったのではないでしょうか。

 片野坂 2004年頃まで、国際線はずっと赤字でした。やはり後発のハンディがあり、例えばロンドンに飛ぶのに、ヒースロー空港はすでにいっぱいなので、最初はガトウイック空港でした。

 また、シドニーに飛んだ時は、最初は週1便からのスタートだったので、1泊2日か7泊8日のツアーしかできませんでした。

 赤字続きの国際線について、社内には撤退論もありましたが、国際線をやめようという社長は、一人もいませんでした。国内は少子化が進み、競合他社や他交通機関との競争が激しい一方で、アジアを中心に世界の経済成長は著しく、日本企業もグローバル化が進むなど、経営が苦しくても、国際線を続けてきてよかったと思います。

 細川 先発の会社が利用している空港に入れないということは、発想を転換しますと、新しい地域を開発できることにもなりますね。

 片野坂 その通りです。中国がいい例で、先発が北京と上海を押さえていたので、北京に入るには大連経由になったり、その他、広州や青島、直近では武漢など、結果的には中国の11都市に乗り入れるようになりました。

 私は、お客様の多いところだけを飛ぶのではなく、お客様の選択肢を増やすことでお役に立てるよう、新規路線を飛ぶべきだと思っています。

 細川 新規路線の開拓など、御社ではグローバル化を進めてますが、人材育成におけるグローバル化では、どういう視点から取り組みを始められたのですか。

 片野坂 1999年に、スターアライアンスに加盟しましたが、これがグローバル化に非常に大きく貢献しました。ルフトハンザやユナイテッドなど世界的な航空会社が、どのように飛行機の運航ダイヤを作っているのか、また、マイレージが大事であるかなど、いろいろなことを教えてもらいました。

 細川 世界の航空会社と提携をするのは、逆にお客様の奪い合いになってしまう懸念はなかったのですか。

 片野坂 ユナイテッドとルフトハンザとは、ジョイントベンチャーで一緒にセールスができるなど、国という壁がとれました。お客様の側から言えば、コードシェア(共同運航便)ということで、ANAでもユナイテッドでも、ニーズに合った便を選択できるなど利便性が向上します。

 細川 スターアライアンスへの加盟により、人材育成の面で影響を受けたり、学ばれたことでは、どんなことがありますか。

 片野坂 まず学んだことは、誰に対しても自分の意見をしっかり伝えるということです。それから、例えばルフトハンザの人と一緒に生活をするので、スタッフ同士がお互い仲良くなりますね。そして、加盟会社に人材を送り込んだ結果、今では英語で外国人と対等に会議に参加したり、話し合える人が増えました。

 また、中国やミャンマーにも飛んでいます。社員も外国に駐在することで、現地の人との文化の違いを肌で感じ、体験して日本に戻ります。単に英語が話せるだけではなく、相手の国の習慣や文化を理解する人が増えていくことが大事ではないかと思います。

 細川 世界では今、日本のサービスが注目されています。世界の人を相手にすることで、これまでの日本のやり方を変えたり、改善されたことはありますか。

 片野坂 私たちのサービスコンセプトの中に、「インスピレーション・オブ・ジャパン」があります。これはスパークリング(楽しい経験)、ケアリング(寄り添う心)、ジャパンクオリティー(日本らしさ)を現しています。

 現在、訪日外国人が非常に増えています。機内等では和食を勧めてしまいがちですが、苦手な人もいるので、客室乗務員や空港のラウンジスタッフたちも、外国の人に対する心の壁を取り除くよう努める必要がありますね。


細川珠生氏
細川珠生氏

平成7年に『娘のいいぶん〜がんこ親父にうまく育てられる法』で、日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本)に出演中。千葉工業大学理事。聖心女子大学卒。

新たな需要を作り出したLCC
日本文化を発信する場の航空会社

 

 細川 羽田空港の離発着枠がいっぱいで、東京都内の上空を飛ぶようになるなど、羽田の拡張が注目される一方で、非常に経営が厳しい地方空港もたくさんあります。そういう点で、例えば国際線と国内線の地方をセットにするなど、日本の地方の活性化に貢献できるような方法もあるように思いますが・・・。

 片野坂 日本の航空会社が地方から海外に路線をつくることは、なかなか難しいようです。実はANAも昔は福岡から、大連やバンコクにも飛んでいましたが、コスト的に合わずに止めてしまいました。

 また、ANAの国際線は需要の多い成田や羽田、関空、中部などからしか飛んでいませんが、現在、グループ会社には2つのLCC(格安航空会社)があり、バニラが成田、ピーチが関空ベースです。

 加えて、ピーチは沖縄から台湾に飛んだり、千歳からまた路線を広げますし、バニラは台湾からホーチミンに飛ばしたり、函館にも就航するなど、地方の活性化にも役立っていると思います。

 細川 安い航空運賃の会社を持つことは、お客様が取られるのではないかと思うのですが、そういうことはないのですか。

 片野坂 結果的にそれはほとんどありません。LCCは今まで飛行機に乗ったことがなくても、「値段が安いなら乗ってみよう」とご利用になられる方も多いです。LCCのお客様は女性や外国人、若年齢層の方が多いので、ANAのようなビジネスマンが多い機内とは雰囲気が違いますね。

 LCCは新たなお客様、需要を作り出していると言っていいでしょう。その証拠に、ピーチは2年目で、バニラも3年目で黒字化を達成しました。この2つのLCCも大切にしていきたいと思います。

 細川 もう少し大きな視点で航空会社の仕事を考えますと、日本の文化を発信し、日本のことを海外の方に理解してもらうことは、外交上とても大切と思います。

 飛行機は単なる移動の手段ではなく、日本の文化を伝える場でもあるので、航空会社の果たしている役割は、とても大きいなと思っています。

 片野坂 そうおっしゃっていただけると、我々もとても励みになります。今、中国からのお客様が増えていますが、これまで中国では日本のマイナス面の情報が多く流されていたと思います。しかし中国の方が実際に日本に来てみると、食べ物はおいしいし、清潔で、日本人はとても親切だということを体験し、こうした情報をツイッターで本国の友人に送っています。こうした旅行者などを通して、両国の相互理解が大きく進むのではないかと期待しています。

 細川 子どもたちが将来、航空会社に入りたいと思った時、いろいろな分野の仕事があり、夢もあると、航空会社に私はとても期待をしておりますが・・・。

 片野坂 ANAグループには関連会社が約70社以上あり、旅行会社や整備系の会社、空港、コールセンター、機内食を作るANAケータリングサービスという会社もあります。

 総合職も客室乗務員やパイロット、整備士も来ていただきたいと思っていますが、例えば料理の好きな人は、機内食の会社でパンや和食を作ることもできるので、世界に興味のある人は、ぜひANAグループの会社を受けていただきたいと思います。

 また現在、北京の清華大学と私たちの会社は交流があり、清華大学の学生さんが羽田空港で数カ月研修をしています。将来の中国を担う若い学生たちが、一生懸命に日本のことを勉強してくれているのはうれしいことです。

 細川 ANAグループとしてはこういう資質、あるいは、考えをもっている人に来てほしい、ということはありますか。

 片野坂 航空会社は一見、華やかで楽しそうに見えるようですが、サービス業ですから、いろいろなお客様と接点を持ちます。お客様から直接お叱りを受けたり、機内で迷惑行為が起こることもあります。そのため、お客様をおもてなしする仕事であるということを、学生時代にアルバイトなどで体験している人が向いているかもしれません。

 それから外国からのお客様が増えていますので、私は言葉を流暢に話すことも大事だと思いますが、結局片言でもいいので「ニーハオ」などと呼びかける、こういうマインドを持った人に来てほしいですね。

 また私は2005年から4年ほど人事部長をしていたことがあり、採用面接をしていました。その時の選考基準は、明るくて元気で積極的な人です。それを「あんしん、あったか、あかるく元気」というキャッチフレーズにして、社員にも呼び掛けています。さらにこのフレーズが長く愛されているので、今ではANAの「社員行動指針」の中でも使っています。

 細川 「あんしん、あったか、あかるく元気」というフレーズなら、どんな職場にも合いますし、その精神があると仕事も楽しくなりそうですね。

 片野坂 加えてこれから必要なのは、やはりイノベーション、AI(人工知能)ですね。新しいことに、どんどん挑戦してほしいなと思います。

 細川 今の新しい技術革新もうまく取り入れて、よりよいものができればいいですね。ただし、AIなどがどんどん普及してくると、サービスの質も変わってくるのではないかと思われますが。

 片野坂 実は私、サービ担当の時に、機内サービスで一つ失敗をしました。機内のお料理をタッチパネルで選べるという方法を導入したのですが、タッチパネルの反応等の問題で、お食事の提供までに4時間くらいかかってしまうことがあり、すぐに取りやめました。

 アラカルトメニューでいつでも何でも食べられるという、夢のような狙いだったのですが(笑)。

 この時に出てきた声として、お客様は客室乗務員と「何がお好きですか」などと、会話を楽しみながら料理を選んでいることがわかりました。やはり私たちはお客様との会話の中で、サービスを高めていくことが大切です。

 細川 御社で培った「おもてなし力」は、これからますます増える訪日外国人や観光客、特にオリンピック・パラリンピックの時には非常に貴重なパワーになりますね。

 片野坂 非常に大切なことで、今、そこに向けても準備をしています。例えば空港でも文字を大きく、ユニバーサルデザインにしています。車イスの方がスムーズに動けるにはどうしたらいいかなど、調査のため、開催国に視察に行っています。

 細川 日本が今、経済活性化するためには地方と、それから地方を含んだ日本全体、そこに外国の方に来ていただく。また、日本人ももっと海外に出て、いろいろなことを学び、刺激を受け、それを人生や仕事に生かすためには、航空会社はなくてはならない存在だと思います。そのためにまずは安全第一で、これからもますます新しいことに挑戦し続けて、発展していってほしいと思います。

 片野坂 ANAでは、グループ会社の新入社員を集め、羽田の格納庫の中で、飛行機の側で入社式を行っています。私は毎年、といってもまだ2回ですが、そこでの第一声として、「安全、これが一番だ。ここで胸に刻んでくれ」と言うことにしています。航空会社は安全が第一です。一番大切です。

 

 細川 本当にそうですね。今日はたいへん興味深いお話をありがとうございました。


週刊「世界と日本」2017年1月16日 第2093号より

<山本 幸三 地方創生大臣への提言>

 

小さな集落が輝くような視点で

農業生産法人 (株)銀座ミツバチ 代表取締役社長 田中 淳夫 氏

 銀座の屋上でミツバチを飼って、11年目が経ちました。桜の咲く頃、私達の養蜂シーズンが始まります。また、都会の消費者と地方の生産者を結ぼうと、マルシェやフォーラムを開催して9年になります。

 さらに、もう1つの活動である、ミツバチの蜜源づくりのための「銀座ビーガーデン」と称する屋上菜園が多数誕生し、今では1000平方メートルを超え、そこには沢山の地域から頂いた苗が植えられています。銀座という場所がら、保育園児等の子供たちから、夜のクラブのママや新橋の芸者さんに至るまで、農作業のお手伝いをしてもらっております。

 反対に、私たち「銀ぱち仲間」も定期的に秋田、新潟、福島、長野、広島、島根など様々な地域を訪ねるようになり、そこから地域の多様な課題も見えてきました。今では毎週のように、行き止まりの限界集落と言われるような場所を訪ねて、資源はもとより、魅力的な人たちに出会っております。

 1つの例が、秋田県由利本荘市の三ツ方森集落の猪股さんご夫妻です。ここは江戸時代から今まで変わらず、5軒の集落でした。最初に訪ねた4年前は9人でしたが、今は6人になってしまいました。

 毎春広大な山焼きをして、時には家まで焼いてしまっても、止めるという選択肢はなく、今でも下流域の集落の皆さんのお手伝いを受け、賑やかに続けています。

 秋にこの山のわらびの根を掘り、でんぷん質のわらび粉を取ります。しかし、1キログラムの根っこから500グラム、1トン掘っても50キログラムしか取れません。根を砕き、洗いながら水にさらすこと10回以上かけて粉を取り出します。

 こんな苦労が実ってか、数年前には京都の老舗とつながりをもち、全て売れるようになりました。最初は馬鹿にしていた息子さんも、家族を連れて町から定期的に帰ってきて手伝いをするようになったそうで、猪股さんはそれが良かったと笑います。

 思うに、地域には、何もないのではなく、猪股さんのように、辞めずに掘り続けてきたからこそ見えて来るものがあります。行き止まりの限界集落であって、高齢化が極限まで進んでいても、実はそこに暮らす人々が生き生きと活躍することで、人が集い、はじめて新しい何かが生まれます。

 提言したいことは、1つ。こうした地域の産物を理解して購入してくれる消費者へ、しっかりと行政が助成をして、つなげることを考えて欲しいのです。現在の制度は、生産する側には補助金が当てられますが、それが直接消費者とつながることがありません。

 以前、東北のある地域で白いソバ畑の中を進みながら、「新蕎麦の季節にまた来たい」と話したら、これは補助金をもらって漉き込むだけさ・・・と聞き、思わず固まりました。収穫しても理に合わないのかもしれませんが、地域の皆さんは、これでは元気が出ません。

 たとえば、この新蕎麦を食べる側に補助金が出たら、いかがでしょうか?

 そのためには6次産業化を進めなければなりませんが、蕎麦がどんどん売れると、作る人たちは前を向き始めると思います。例えば、この集落の美味しい蕎麦定食1000円を食べると500円のキャッシュバック、ついでに山菜とリンゴ付き!となれば、うわさを聞きつけてこうした集落にも消費者が足を運ぶようになるでしょう。

 その地域に人々が訪ねることでお金が落ちて交流が広まり、さらに進めば短期の山村留学やガストロノミーツーリズム(食文化観光)等にも発展するだろうし、都会の人々も田舎に親戚ができたような形でつながることで、双方の人々の暮らしは豊かになります。

 以前、秋田内陸縦貫鉄道に乗車した時、集落の皆さんが手品、ハモニカ、民謡を披露してくれました。お陰さまで単に移動する手段の赤字ローカル線も、美しい車窓と目の前の地元の皆さんのおもてなしで、とても充実した時間を過ごすことができました。

 地域に残る、こうした温もりや資源も、守る時代から利用する時代へと変わってきました。さらに、インバウンドをグローバルに、直接招致することができる時代となりました。

 つまり、消費することが地域の経済を潤し、さらには、都会の人々の生活も潤いのあるものに転換できれば両得ということです。

 一歩進んで、これだけITが発展した中で、地域の素材を消費すると、その地域のポイントが貯まり、地域の野菜や果物、お酒、田植え、稲刈り、山菜取りや祭りにも招待など、個々につながる仕組みが作られると、消費することが地域を支えることになります。

 もっと進めて、この地域で取り組んでいる風力発電や小水力発電、バイオマス発電のエネルギーまで、消費することでポイントがもらえれば、生活の一部が集落とつながる仕組みができます。

 祖父母や両親の故郷だけでなく、気に入った地域とつながることによる縁も、あるかもしれません。もちろん、こうした仕組みづくりや、都会と地方の集落をつなぐコーディネーターにも助成が必要でしょう。

 GDPとしては、巨大な生産物が動くわけではないので、成果は見えにくいのですが、末端の小さな集落に少しでも身銭が入る方法が確立できれば、地域の自立を生む方法もつくれるかもしれません。

 何よりも大事なのは、地域の人々の満足度が確実に上がるということです。小さくても地域の夢が叶うようになれば、他の地域も刺激を受けます。

 ここ数年の年末、ふるさと納税が話題に上りますが、単に返礼品ありきでなく、そこに顔の見える関係づくりが構築できれば、地域の風景も変わっていくのではないでしょうか。

 イタリアのスローフード大会に、日本人養蜂家として招かれたことがありました。30年前のイタリアの農村は貧しかったと聞きましたが、スローフード運動の広がりで、都会から人々が訪ねて来るようになりました。

 それに呼応して、農村は農機具を片付けて、家にペンキを塗り、庭に花を植えて、農家レストランなどを運営するようになり、農産物以外の収入を生み、若者が戻ったり移住したりと、どんどん風景が変わっていったと聞きました。

 一方、日本の田舎もまだ壊れていません。都市化が進んだアジアの地域からきた人々は、日本の農村風景は美しいと感じるはずです。私たちも、もうだめだと思わずに、まだ間に合うと考えれば、今からやるべきことは山ほどあります。

 だからと言って巨大な施設を作るということではなく、小さな小さな集落の皆さんが輝くような視点で政策を捉えていただけますよう、小さな願いごとを、大袈裟ですが“提言”と言う名を借りてお願いする次第です。


週刊「世界と日本」2016年1月18日 第2069号より

<石破 茂 地方創生担当大臣への提言>

真の地方分権型社会の実現を 

愛媛県知事 中村 時広 氏

 石破地方創生担当大臣におかれましては、日々、全国を駆け回られ、地方の活性化のために懸命に取り組んでいただいており、深く敬意と感謝の意を表します。

 さて、地方は、これまでも少子高齢化にともなう人口減少と向き合いながら、さまざまな課題に対処し、地域を元気にするために知恵をしぼってきました。

 私も松山市長として11年、愛媛県知事として5年、地域の活力向上に全力を注いできたところであり、地方創生は我が国の未来を開く極めて重要な取り組みと考えております。

 愛媛県におきましては、県庁内に営業本部を立ち上げ、ものづくり企業の営業活動や農林水産物等のブランド化と販路拡大をサポートしてきたほか、えひめ結婚支援センターでの結婚支援やサイクリングを切り口とした観光振興など、人口減少を意識しつつ、地域活性化に向けた本県独自の施策を積極的に展開し、実績を挙げてきました。

 こうした経験を踏まえ、地方の現場で行政にたずさわる者として、今回、石破大臣に三つの提言をさせていただきたいと思います。

 一つ目は、地方における人口の減少や経済の低迷は待ったなしという状況を鑑みて、国政の場面で地方創生を最重要課題として取り上げていただき、スピーディーに各種施策を展開されてきた石破大臣の手腕は高く評価しておりますが、地方の目指す究極は、地方に権限と財源を大胆に移譲した、真の地方分権型社会を実現することであります。

 日本が戦後の荒廃から立ち上がる時代においては、限られた財源の中で社会基盤を全国あまねく整備するため、中央集権体制が最も合理的でした。

 しかしながら、一定の基盤整備が進んだ今日、地方がそれぞれの特色を生かした個性ある政策を推進することが重要であるのに、中央集権体制のままでは、さまざまな規制が障害となったり、せっかくの財源も使途に制約があったりして、地方の創意工夫が十分に生かされていないのが現状であります。

 地方分権の推進が言われて久しいのですが、これまで権限移譲は部分的なものにとどまり、肝心な権限は依然として国が持ち続けており、財源移譲も進んでいません。

 かつて小泉内閣において、地方分権の推進をうたい実施された三位一体改革では、3兆円の税源移譲があったものの、地方交付税が5兆円余り削減されるなど、ふたを開けてみると、地方が自由に使える財源が大幅に削減された苦い経験があります。

 本県では、毎年、地方の政策展開の足かせとなっている国の規制や制度に対し、県内市町とともに現場感覚からの提言を行っており、昨年12月にも23項目の「えひめ発の地方創生実現に向けた提言」を発表したところですが、このような提言の必要がなくなることを期待しています。

 二つ目は、地方創生の枠組みにおける地方に対する実効性のある支援であります。

 各地方自治体では、人口ビジョンや総合戦略を策定し、地方創生の実現に向けた取り組みを加速させている中、国においては、迅速に地方の支援を行うため、省庁間の難しい調整を重ね、必要な地方創生交付金を創設されたことは、地方の実情を把握された上での対応と大変ありがたく思っています。

 これらの交付金では、地方の先駆的事業に対して支援するスキームが一部取り入れられるなど、従来の補助金のようなメニュー選択型の一律支援から一歩進み、地方がアイデアを競い合う形となっております。

 さらに、単年度で完了しない事業にも活用できるなど、その用途が一層地方の創意工夫に資するものとなるようお力添えをいただけると、ますます地方のやる気が引き出せると思います。

 今後、地方創生は実行段階を迎えますが、かつて経験したことのない急激な人口減少を克服するためには、現場目線で前例にとらわれない斬新なアイデアによる効果的な取り組みを推し進め、人口流出の抑制や出生率の向上につなげていくことが何よりも重要であり、総合戦略に掲げた数値目標やKPI(重要業績評価指標)の達成に向けて、成果を積み上げていかなければなりません。

 国費を支出する以上、一定の要件があることはやむを得ないとしても、「知恵は現場にあり」とのスタンスで、可能な限り自由度の高い制度設計と運用をしていただき、地方の思い切った施策の力強い後押しをお願いしたいと思います。

 三つ目は、東京一極集中の是正を図るための、国による積極的な取り組みの推進であります。地方創生を目指す中で、国と地方の施策が呼応することで非常に大きな効果が期待できるものがあり、とりわけ、東京一極集中の是正はその面が強いと考えております。

 東京から地方への人の流れをつくり、地方で活躍してもらうためには、国家戦略として、企業の本社機能の地方移転や日本版CCRC(編集註=高齢者居住コミュニティ)等の推進が不可欠であり、国においては、企業や高齢者はもとより、受け入れる地方の立場に立って、こうした施策を展開していただきたいと思っています。

 また、政府関係機関の地方移転については、昨年、政府主催の全国都道府県知事会議で、安倍総理大臣や石破大臣から前向きな発言をいただいたところであります。各省庁からさまざまな意見があるとは思いますが、石破大臣を中心に議論を進められ、厚い壁を破っていただき、一つでも多くの提案が実を結ぶことを御期待申し上げます。

 政府が掲げる一億総活躍社会の実現に向けては、地方創生こそがメインエンジンであり、地方は全力でこの課題に立ち向かう所存ですので、国におかれましても、石破大臣の卓越した手腕と強力なリーダーシップのもと、確固たる信念をもって、地方とともに取り組んでいただきますようお願い申し上げます。


2015年10月5日号 週刊「世界と日本」第2062号 より

初秋インタビュー
地方創生と女性の活躍

 

昭和女子大学 理事長・学長  坂東 眞理子 氏
インタビュアー 内外ニュース取締役 企画担当  紺田 康夫

 これまで編集部として、多様性の中にも「国の道筋を明確にしていく」という方針のもと、特に、「地方創生」と「ダイバーシティ=女性躍進の現在と今後」について、さまざまなテーマを取り上げてきた。そこで今回は、内閣府男女共同参画局の初代局長として女性の活躍を支え、さらにトリプルミリオンセラー『女性の品格』の著者としても名高い、昭和女子大学学長で理事長の坂東眞理子さんに「地方創生と女性の活用」について伺った。

坂東眞理子氏(右)と紺田康夫
坂東眞理子氏(右)と紺田康夫

《ばんどう・まりこ》

昭和21年富山県生まれ。44年東京大学卒業。同年総理府入府。60年内閣総理大臣官房参事官、平成6年総理府男女共同参画室長、7年埼玉県副知事、10年在オーストラリア連邦ブリスベーン総領事、13年内閣府男女共同参画局長。15年昭和女子大学理事、16年同大学女性文化研究所所長、同大学大学院生活機構研究科教授、17年副学長、19年学長、26年理事長に就任。主な著書に、『女性の品格』、『日本人の美質』、『女性の知性の磨き方』など多数。

地方が日本の将来を変える

 紺田 坂東さんは著書の中で、日本人の美質、国民性について多く語られていますが、今の日本の現状、特に地方の課題をどのように捉えていますか。

 坂東 中世に「都市の空気は人を自由にする」という言葉がありましたが、これは、中世では農民たちが農地に縛られていたのが、都市に行くと自由になるという意味です。

 日本も高度経済成長時代は、若い男性たちも地縁に縛られているよりは、都市のほうが自分の能力が発揮できると、「星雲の志」を抱いて都市に出てきていました。

 実際、1960〜70年代は、高度経済成長の果実を、公共投資を通して都市から地方に循環させることで、あるいは工場の地方誘致などで、都市と地方の格差をつくらず、国土の均衡ある発展が保たれていました。

 しかしバブル崩壊後は、分配すべき都市の富が少なくなってきた中で、公共投資もやせ細り、工場はグローバル化の競争の中で海外に出ていってしまい、都市から地方への富の分配がうまくいかなくなりました。

 では、地方はどうすればいいのでしょうか。

 私は、今や地方は、都市、あるいは中央から富を分配されるのを待っているのではなく、自分たちで工夫して何かを生み出したり、「あそこはいいな」と思われるような、その土地ならではの魅力をアピールし、都市や他の国から資本やお客を引き付ける覚悟が必要だと思います。

 しかし残念ながら、いまだに高度経済成長時代の残り香を追い求め、どうしたら中央からお金をとってこられるかと考えている人のほうが多いのではないでしょうか。

 また、今の地方の課題は、その土地に生まれ育った人、特に長男や跡継ぎなどの男性を引き留め何とかその地域を盛り立て、再生しようとしていることです。

 しかし、地方に一番足らないのは「ダイバーシティ」であり、女性やよそ者、周辺にいる若者をいかに巻き込むかにかかっているのです。そういう点で、地方創生とダイバーシティは、共通するところがとても多いのです。

 紺田 確かに日本にいると日本の良さがなかなかわからないように、その土地に生まれ育った人にとっては、その土地の良さに気付かないことも多いのでしょうね。

 坂東 そうですね、東日本大震災「3・11」の時に、被災者たちが救援物資をきちんと並んで、しかも「ありがとう」と言って受け取る様子や、コンビニやスーパーから物を奪うのではなく、落ちて床に散乱している商品を棚に戻している様子が世界中に報道され、「日本人の国民性はなんて素晴らしい」と、世界の人たちから高く評価されました。

 ただし、こうした行動は、私たち日本人が評価されようと思ってやっているのではなく、日ごろから身に付いている「当たり前」のことであり、それが世界の人には驚きであり、評価されたのです。

 これを地方創生と結びつけると、地方それぞれに魅力があるのに、そこで暮らしている人にとっては「当たり前」だと思ってしまい、自分では自信を持てず、評価していないのです。

 例えば、よく言われることは、日本の津々浦々、どこに行っても、夕食にマグロのお刺身が出されますが、それを「おもてなし」というのはおかしいですね。その土地の食材を使った郷土料理を出してこそおもてなしであり、よそ者を引き付けるのです。

 従って、その土地の何がよそ者を引き付けるストロングポイントかを見つける「目利き」が地方には求められています。

 紺田 地方創生のカギは、「よそ者」にあるということでしょうか。

 坂東 そうですね。別の視点を持った人が大事です。もう1つは女性の活用です。

 1986年に男女雇用機会均等法が施行されて30年になりますが、この法律は女性たちの人生を大きく変えたと思います。さらに91年には育児休業法ができ、最近では子供がいても働くのは当たり前だという考えが、少しずつ定着してきました。

 ところが1人の女性が生涯に産む子供の平均数の合計特殊出生率は「1・42」と、あいかわらず低いままです。先進国で出生率が「2」を上回っているのはアメリカとフランスだけですね。

 少子化の最大の理由は、男性の生涯非婚率が増えていることです。その理由として、若者たちの正規雇用が少ないために、不安定な所得のために結婚できないと言う人もいます。これは国が政策として、解決しなければならない課題です。

 もう1つは、それこそ地方の男性に奮起を促したいのですが、コミュニケーション能力を上げて、「結婚力」、「婚姻力」を持ってもらいたいですね。

 しかし本当は、結婚しやすいのは都市よりも地方なのです。適齢期の男性がいれば、親戚縁者が世話をやきますし、たとえ男性の収入が少なくても家はあるし、3世代同居のほうが女性も子供を産んでも働きやすいのです。従って私は、将来の日本を変えるのは都市ではなく、「地方」だと思っています。


インタビュアー
インタビュアー

かわいい子には旅をさせ、魅力ある地元に戻す努力を

 紺田 つまり、女性にとって働きやすく、しかも子育てと仕事を両立しやすい環境である地方の力を創生することが、日本を元気にしていくのですね。

 坂東 実際に女性の継続就業率が高いのは北陸3県で、出産後に仕事を辞める割合が高いのは埼玉県、千葉県、神奈川県などの東京周辺の県と、奈良県や滋賀県などの大阪周辺の県です。

 私自身もそうでしたが、地方から東京に出てきて結婚した女性たちが子育てをしようとすると、周りに知っている人やサポートしてくれる人がいないので、子育ても孤独で大変です。

 しかも、子供を保育園に預けて働きたくても、保育園に空きがないので、女性は子育てのために、出産後に仕事を辞めざるを得ません。一方、地方ではすでに少子化で保育園は定員に満たず、子供を預けやすい状況です。

 ただし地方の問題は、母親や嫁として働く子育てサポート体制は充実していても、個人として女性が能力を発揮するチャンスが少ないことです。それは地方のほうが、まだまだ女性の能力、適性に対する偏見が強く、女性たちは自分が満足できる仕事に就くことができないからです。さらに働いていても能力を評価されないので、不満が残ります。

 そういう現状を見ている地方の若い女性たちは、いくら出産後も働ける環境や子育てのサポート体制が整っていても、やはり都市に出ていってしまいます。そのため結婚適齢期の若い女性がいないから、ますます男性の未婚率が高くなるという悪循環に陥っているのです。

 紺田 地元に残った長男や男性たちが結婚できないと、ますます少子高齢化が進み、地方創生どころではなくなってきませんか。

 坂東 東京大学大学院客員教授の増田寛也先生は、昨年のレポートで「20〜39歳の女性を地元に引き止めなければならない。そういう人たちが地元から出ていくと、そこは消滅してしまう」という問題提起をされていますが、まさにその通りだと思います。

 これまで地方の人たちは、あまり女性のことは考えないで、長男をいかにガッチリと家に抱え込み、地元に定着させることばかり考えてきました。

 しかし私は、これからの地方創生には、地方にバイタリティある若者たちを確保する必要があると考えています。

 そのためには、そこで生まれ育った息子たちを、「家に残れば車を買ってあげるから」などと言って、家に縛り付けて囲い込むのではなく、「かわいい子には旅をさせろ」ではないですが、かわいい子ほど外に出して苦労させ、「やっぱり地元のほうがいい」とわかって戻ってくれるほうが、親許にがんじがらめにしているよりはずっといいと思います。

 紺田 それこそ、男性ならお嫁さんと一緒に戻ってくれれば、その「よそ者」であるお嫁さん、つまり女性を活用することもできますね。

 坂東 先ほどもお話ししましたが、地方の魅力、良さをわかってくれるのは、そこに生まれ育った人ではなく、むしろ「よそ者」なのです。特に現在は、女性のよそ者のほうが、その土地の強みをアピールする力を持ち、発揮している例が多いですね。

 例えば、地域おこし協力隊として島根県隠岐の島に移住して地域の活性化にかかわったり、東日本大震災の被災地の復興で力を発揮しているのも、よそ者の女性たちです。

 このように地方は、今まで能力を発揮する機会のなかった女性を大事にすることで、男性には見えなかった、気づかなかった新しいビジネスチャンスが生まれてくるでしょう。

 さらに、地方の女子も、一度は地元を離れ、外の世界を見てから地元の良さを知ってもらい、ボーイフレンドを連れて帰ってくることを、みんなで応援するよう柔軟な考えを、ぜひ地方の人たちに持ってもらいたい。

 そのようにして、バイタリティある若者をどんどん取り込んで、そういう人たちと一緒に地方創生に向けて頑張ってもらいたいと思います。

 紺田 どうもありがとうございました。


2015年8月17日号 週刊「世界と日本」第2059号 より

「まち・ひと・しごと創生」は・・・
国と地方が認識を共有し、総力で

地域の“本気”取り組みに期待

 

経済産業省大臣官房審議官地域経済産業政策担当  若井 英二 氏

はじめに

 わが国は、世界に先駆けて人口減少・超高齢社会を迎えている。

 地方における人口減少は地域経済の縮小につながり、それが更なる人口減少を招くという、悪循環が生じるおそれが高まっている。また、そうした状況を放置すれば、地方からの人口流入によって活力を維持してきた東京圏においても、いずれ競争力が低下していくことは明らかであり、地方創生はわが国全体として早急に対処すべき問題である。

 「まち・ひと・しごと創生」とは、地方がこうした悪循環から脱却し、地方と東京圏とが同時に活力を保つ道を探る取り組みである。

 こうした状況を踏まえ、国としては、昨年9月のまち・ひと・しごと創生本部の設立以降、最大限のスピード感をもって、政策の方向性をとりまとめてきた。


まち・ひと・しごと

創生法の概要

 昨年成立した「まち・ひと・しごと創生法」は、その第1条において、「人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正」することを、大きな目的として掲げている。

 その実現のためには、(1)生活を営む基盤である地域社会の形成、(2)地域社会を担う多様な人材、(3)地域における就業機会の確保の3つを一体的に推進すること、すなわち「まち・ひと・しごと」の創生が重要であるとしている。

 「まち・ひと・しごと」の創生は、総合的・計画的に取り組まねばならない課題なので、国が2020年までを見通した政策パッケージである「まち・ひと・しごと総合戦略」を閣議決定することを定めている。

 ただ、地方創生の取り組みの主役は、あくまでも地方、特に基礎自治体である。このため、まち・ひと・しごと創生法においては、全ての地方公共団体に「地方版総合戦略」の策定に取り組んで頂きたいという考えから、都道府県のみならず、市町村に対しても努力義務規定を置いたところだ。


まち・ひと・しごと

創生長期ビジョンの概要

 まち・ひと・しごと創生法の規定を踏まえ、国は、昨年末、長期ビジョン及び総合戦略を閣議決定した。

 長期ビジョンにおいては、人口減少時代が到来しているという基本的な認識を国民が共有することの重要性を述べている。

 このため、国としては、国民の結婚・出産・子育てに関する希望が叶えられれば、出生率が1.8程度まで向上するとの見通しを示したうえで、若い世代の希望の実現に全力を挙げることとした。あわせて、2030年〜40年頃に出生率が人口置換水準である2.07まで向上すれば、60年には1億人程度の人口を確保することが可能であるとの見通しも明らかにした。


まち・ひと・しごと

創生総合戦略の概要

 総合戦略においては、人口減少と地域経済縮小の悪循環というリスクを克服する観点から、東京一極集中を是正する、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、地域の特性に即して地域課題を解決するという基本的な視点のもと、「まち・ひと・しごと」の創生と好循環の確立により、活力ある日本社会の維持を目指している。

 このため、次の目標に対応する施策を提示している。

 (1)2020年までの5年間で、地方での若者雇用30万人分創出などにより、「地方における安定的な雇用を創出する」

 (2)現状、東京圏に10万人の転入超過があるのに対して、これを20年までに均衡させるための地方移住や企業の地方立地の促進などにより、「地方への新しいひとの流れをつくる」

 (3)若い世代の経済的安定や、働き方の改革、結婚・妊娠・出産・子育てについての切れ目のない支援などにより、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」

 (4)中山間地域等、地方都市、大都市圏における各々の地域の特性に応じた地域づくりなどにより、「時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」

 こうした基本目標を達成するために、19年度までの5カ年にわたる政府の施策をとりまとめ、それぞれの施策毎に重要業績評価指標(KPI)を設定し、その評価・検証(PDCA)のサイクルをきちんと回すこととしている。


地方版総合戦略の

策定と国の支援

 いつの時代も日本を変えてきたのは地方である。地方創生においても、地方が自ら考え、責任をもって戦略を推進する観点から、今後、地方公共団体が、地域の特性を踏まえた「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」を策定することとしている。

 こうした地方の取り組みに対して、国は、「地域経済分析システム」を開発・提供することによる「情報支援」、小規模市町村へ国家公務員を派遣する地方創生人材支援制度や地方公共団体の相談窓口となる地方創生コンシェルジュの選任による「人的支援」、地方創生の取り組みを支援する新しい交付金や地方財政措置などの「財政的支援」により、地方公共団体を支援することとしている。


おわりに

 人口減少・超高齢化というピンチをチャンスに変える。地方創生は、日本の創生である。国と地方が、国民とともに基本認識を共有しながら総力をあげて取り組むことにより、新しい国づくりを進め、この国を次の世代へと引き継いでいくことが、今の世代に課せられた責務である。地域の皆さんの「本気」の取り組みを心から期待する。

(なお、本文中の意見にわたる記述は筆者個人の意見であり、国としての見解ではないことを申し添える。)


2015年7月20日号 週刊「世界と日本」第2057号 より

人口減少社会 地方と東京の総力戦で挑め

 

東京大学公共政策大学院客員教授  増田 寛也 氏

 本年6月に発表された2014年の合計特殊出生率(以下、出生率)は1.42で9年ぶりに減少、出生数も100万3532人と過去最低、死亡者数は127万3020人と過去最高を記録した。いよいよ我が国が本格的に人口減少社会に入ったことになる。

《ますだ・ひろや》

1951年東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、建設省入省。95年より3期12年にわたって岩手県知事を務める。2007年、総務大臣就任(〜08年)。09年より野村総合研究所顧問、東京大学公共政策大学院客員教授。11年より日本創成会議座長。著書は、『地方消滅』(中公新書、15年新書大賞)など多数。

 私は昨年来、人口減少問題について警鐘を鳴らし続けてきた。政府も担当大臣を置いて大規模な対策に乗り出し、今年は、全国の自治体が長期の人口ビジョンと、総合戦略を策定することになっている。以下、今後対策を進めていくにあたっての、重要な視点をいくつか述べてみたい。

 日本の人口減少の要因は2つある。1つは20〜39歳の若年女性の減少であり、晩婚化、晩産化、少子化による低出生率である。すでに団塊ジュニア世代は40代に到達しており、それより下の世代では女性数は急速に減少するため、それが今後の出生数の減少に直結するであろう。

 もう1つの要因は、高度成長期以降の地方から大都市圏、特に東京圏への人口移動である。累積約1147万人(1954年〜2009年)の転入者のほとんどは若年層であったことが、地方から人口減少が始まり、しかもそのスピードが非常に速かった原因である。

 一方、若年層が凝集した大都市圏は、住宅・通勤環境が悪く、保育所整備の遅れなどもあり、超低出生率となっている(東京都の2014年の出生率は1.15で全国最低)。

 地方から東京圏への若者の人口移動が、日本全体の人口減少に拍車をかけたと言える。

 さらには、2020年の東京五輪を終える頃から、地方から移動してきた人たちが75歳以上の後期高齢者に到達し始める。

 25年には、埼玉県が現在の54%増、千葉県が51%増など、周辺地域も後期高齢者が激増し、一都三県の合計で175万人の増加という、これまで経験したことのない規模とスピードの高齢化に、東京圏は直面することになる。

 対策として、まずは結婚・出産・子育てのさらなる環境の整備が求められるだろう。

 子を持てない理由の大きな1つに、若者の所得が低いことが挙げられる。若者の所得を向上させるために、特に地方において安定的な仕事・雇用を創出することが、従来の結婚・出産・子育て対策に加えて重要なことである。

 しかし、仕事をつくる、雇用をつくるとなると、すぐに域外からの大規模な事業の誘致や、イベント性のあるものに取り組みがちである。本当の意味で仕事や雇用を考えるのであれば、まず自らの地域の産業の実態はどうか、現状をどう改善するのか、生産性をどう上げていくのかに目を向けるべきである。

 地方の経済構造の大半は、地域の生活を支えるサービス産業(バス・タクシーなどの交通、物流、小売、宿泊、医療・介護・保育等)で占められているが、これらの産業の生産性は、製造業や諸外国のサービス産業に比べて低い。

 これは、逆手に取ればこれからの伸びしろが大きいということである。また、現在多くの地方は深刻な人手不足に陥っているが、雇用不安のない今だからこそ、地域経済の抜本的な改革を進める好機とも言えるだろう。

 その上で、地域の資源を活かした、新産業の開発などを検討すべきある。水準としては、夫婦合わせて600万円程度の収入を目指したい。

 東京圏の高齢化問題で、最も危惧されるのは人材不足である。

 私どもの計算では、2025年には医療・介護人材として、東京圏で少なくとも80〜90万人の増員が必要である。本来、介護は地方自治体が各々対応する問題であり、東京圏の問題も一都三県それぞれが対策を行うべきだが、問題はそう単純ではない。

 現在でも介護職の有効求人倍率は、全国平均2.31倍に対し、東京都は4.06倍と最も高い。仮に、東京都が増加する高齢者にあわせて、介護供給能力を増強しようとすれば、必要な人材を都内だけで確保することは難しく、地方から集めることになるだろう。

 そうなれば、若者の地方から東京への流出は加速し、地方消滅が一気に進むことになる。この問題を国家レベルで考える必要があるのはこのためだ。介護職の処遇と職場環境の改善を図るとともに、ロボットの活用など、もっと医療介護サービスにおける人材依存度を引き下げる取り組みが必要だ。

 また、訪問介護を効率よく提供できるよう、空き家なども活用して徒歩圏内に高齢者の集住化を進める取り組みも考えられる。特に、都心部では、高度成長期に建てられた団地を中心に高齢化が進み、4人に1人が1人住まいとなることが予測されている。

 医療福祉拠点としての大規模団地の再生も急務である。外国人の介護人材の受け入れや、元気なうちから地方に移住することに関心を持つ人々への情報提供も重要であろう。

 今後数十年間、人口減少は避けられない。政府の試算でも、2030年に出生率1.8、2040年に2.07を実現できたとしても、人口減少が止まるのは今から75年後の2090年頃である。

 人口減少という環境の中で、少子化対策や高齢化対策を講じていくためには、住民の合意形成に果敢に取り組む、自治体首長のリーダーシップが何より重要である。

 この厳しい現実をむしろ改革へのチャンスと捉えて、各地域が人口急減を少しでも緩和し、縮小社会への賢い対応を考え始めることを期待したい。


2015年7月6日号 週刊「世界と日本」第2056号 より

地域から革命を 「まち」から始まる地方創生

公共インフラの経営改革を

 

新日本有限責任監査法人パートナー  黒石 匡昭 氏

 地方創生は、いうまでもなく現下の国家的テーマである。石破大臣が先頭に立ち、地方に「自ら考え、自ら責任を持つこと」を要求している。「自ら将来に対して責任を持ち、攻めの一手を考えよ」と、“自立”を促している。素晴らしいことだと思う。しかし実態はどうであろうか。

《くろいし・まさあき》

昭和46年生まれ。大阪市出身。大阪大学経済学部卒。平成11年公認会計士登録。監査法人系コンサル部門にて、民間企業向け・公的部門向け各種アドバイザリー業務に幅広く従事。国や地方公共団体等の各種委員を多数歴任し、各種政策・制度設計にも関与。著書は『地域力の再生』『改正PFI法解説』『(日経グローカル)自治体改革最前線』など多数。

 戦後何十年にもわたって、国におんぶに抱っこ状態だった地方公共団体のほとんどは、地方政府というには忍びないほど、現場での政策立案能力は劣化してきてしまっている。地方創生交付金の大部分が「プレミアム商品券」としてばら撒かれてしまっているのがその証左である。“先駆的”なアイデアがなかなか出てきていないことについて、担当大臣もおかんむりの様子である。

 政府が内閣官房に設置した「まち・ひと・しごと創生本部」。非常に意義深い名称である。魅力的な「しごと」がないと、「ひと」が定着しない。魅力的な「ひと」がいないと、そもそも「しごと」も起こってこない。まさに、にわとりが先かたまごが先かの議論ではあるが、いずれにせよ、刻々と「まち」は崩壊し始めている。

 道路・橋梁・水道などの「ハードインフラ」。教育・医療介護福祉といった「ソフトインフラ」。ともに、確実に物理的疲労、制度疲労により朽ちはじめている。

 「攻め」の一手を考えるのもいいが、「守り」の施策から目を背けていていいのだろうか、というのが筆者の主張である。

 「ひと」や「しごと」が集うための前提としての「まち」が滅びていたら、話にならないではないか。「ひと」や「しごと」が輝くためには、「まち」が生活や産業の“基盤”として、しっかりしておかねばならない、という問題意識に集中したい。

 その「まち」の代表格である、公共インフラに着目していただきたい。これまで、つくることばかりに熱心だった、公共インフラ(ハードインフラ)の世界において、静かに、小さな革命が起こっているのをご存じであろうか。

 その革命の筆頭は、空港分野である。わが国は、公共事業として空港建設がなされてしまったこともあり、全国に100以上の空港がある。これらの多くが、施設のポテンシャルに比して有効に利用されているとは言えず、閑古鳥が鳴いている。

 そんな中にあって、関空・伊丹、仙台空港が“コンセッション”という新しい枠組みを利用して、実質民営化が図られようとしている。

 これまでは、こういった公共インフラの管理者は、国もしくは地方公共団体という官だけに制限されていた。これを法制度的にブレイクして、民もこれに関与できるようになった。静かながら大きな規制改革なのである。

 まさに現在、運営権者としての民間事業者が公募され、審査中である。来年には、新しい運営権者による新しい経営が始まる。

 この運営権者となる民間事業者とは、今後数十年にわたっての当該インフラ運営に責任を持つことが要求され、更新投資を含め経営全般に取り組んでいこうとする者である。そこには、民間的な発想によるビジネス感覚がいかんなく発揮されるだろう。

 本気で旅客・物流を増やすため、本気でLCCを含めたエアラインを誘致するだろうし、また魅力的な商業施設等やビジネス目線での動線が考慮されたターミナルビルに改修されるだろう。周辺地の再開発もフルに企画されるであろう。文字通り、「インフラビジネス」が開放され、開花するのである。

 空港だけではない。困窮する地方鉄道などの分野でも同様である。

 今年の4月、『京都丹後鉄道』がリニューアルオープンを果たした。旧「北タンゴ鉄道」は、わが国最大最悪の赤字第三セクター鉄道で、どの鉄道事業者にも相手にされなかった問題路線であった。そこを、従前の発想を飛び越えて新たな上下分離スキームを設計し、民間の長距離バス事業者をオペレーターとして新たに迎え入れたのである。

 民間的ビジネス発想が、いかんなく発揮された。新たなコンセプトで魅力的に集客広報され、北タンゴを訪れたことのない客が列をなし始めている。まさに民の力による地方再生である。これをきっかけとして、新たな人の対流が発生し、にぎわいが創出される。地方創生そのものといっていい実例である。

 空港、鉄道、有料道路、港湾といった交通の起点となる公共インフラの経営改革は、新しい「ひと」のにぎわいを興す。もっともっと、有効活用できるチャンスがあるのである。

 一方で、水道・下水道インフラが末期的状況にあるのをご存じであろうか。

 水道・下水道の事業者は、地方自治体(約1500事業体)である。バラバラで経営していることもあり、非効率が生じているのはいうまでもないが、現実にも、更新投資ができずに管が破裂する事件が頻発している。

 なんとか維持しようとしたとしても、総括原価主義ゆえに、料金値上げが必至である。消費税増税であれだけ騒ぎになっているのに、わが国はまだまだインフラコストを上げていくつもりなのである。

 ソフトインフラの代表格である医療分野も同様である。

 医療分野は経営主体がバラバラ(国立病院、自治体病院、大学病院、社会福祉法人、民間病院等)で、どこの病院でも医療機器・医療設備のプライド競争が繰り広げられる。

 本来なら地域医療を最適化するためには、機能別に各病院が役割分担して定められた機能を果たすことに専念し、重複投資や機器設備の有効活用が図られるべきである。ところが、バラバラの主体の多くはそれぞれ協力し合うこともなく、医療資源を無駄遣いし続け、医療保険財政は破たんの危機である。一方で、地方の医療過疎で苦しんでいる現実もあるのに。

 いま、水道をはじめ、医療をはじめ、「まち」が壊れ始めている。「まち」の崩壊を食い止めないと、地方創生はありえない。あらゆる産業、生活の基盤となるもの、インフラの崩壊をどう食い止めるか、どう有効活用するかが、いま、問われている。


2015年4月20日号 週刊「世界と日本」第2051号 より

人口減少、超高齢化の克服に・・・

コンパクト+ネットワーク

 

国土交通省総合政策局政策課長  青木 由行 氏

 我が国は、人口減少、超高齢化という大きな課題に直面しており、質の高いサービスを住民に提供し、新たな価値を創造し続けるには、中長期的な国土のあり方を見据えた構造的なアプローチを必要としている。

 国土交通省は、平成26年7月に「国土のグランドデザイン2050」を公表し、「コンパクト+ネットワーク」というコンセプトを提示した。

 今後、地域が生き抜いていくためには、各種機能をコンパクトに拠点に集約し、ネットワークでつなぐことが重要である。また、人・モノ・情報の交流は、それぞれの地域が多様であるほど活発化するため、各地域が「多様性」を再構築することが重要で、いわば「対流促進型国土」をめざすべきと考えている。

 こうした考え方は、昨年末に策定された国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも盛り込まれ、現在、各地域の特性に応じて具体化する段階に入っている。

 第1に、一定の集積がある都市における「コンパクトシティ」の形成である。

 我が国では、これまでは都市への人口の流入と市街地の拡大を前提として、まちづくりが行われてきたが、今後は、人口減少を前提としなければならない。

 地方都市においては、大幅な人口の減少が見込まれており、拡大した市街地のままでは、一定の人口密度に支えられた生活サービス施設が成立しなくなる。地域産業の生産性の低下も懸念される。

 また近年、地方部において公共交通機関の利用者の減少に歯止めがかからず、今後、公共交通ネットワークの縮小やサービス水準の低下が懸念される状況である。

 コンパクトなまちづくりと連携して医療、福祉、商業等の都市機能の集積へ地域公共交通によるアクセスを確保することが重要だ。これには、民間事業者に依存した従来の枠組みでは限界がある。

 このような課題認識に立って、医療、福祉、商業等の生活サービス機能や居住を集約した、コンパクトなまちづくりを目指す「都市再生特別措置法の一部を改正する法律案」と、地方公共団体が先頭に立って、関係者合意のもとに持続可能な地域公共交通ネットワークを作り上げるための「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律」が昨年制定され、それぞれ昨年の8月1日、11月20日に施行された。

 現在、多数の市町村が改正法に基づく計画づくりの検討を開始しているが、現場でコンパクトシティ形成を進めるには、中心市街地の活性化、医療・福祉、公的不動産の再編、住宅、農林業、金融など多方面の施策と連携していく必要がある。

 そこで、関係省庁による「コンパクトシティ形成支援チーム」を去る3月19日に設置し、市町村を強力に支援することとした。

 第2に、過疎地域等における「小さな拠点」の形成である。

 過疎地域等では、人口減少に伴いコミュニティ活動が衰退し、生活サービス機能の提供に支障が出る集落が今後増えていく。これには、生活支援機能、交通・物流の拠点機能、雇用創出機能等を「小さな拠点」にコンパクトに集約し、デマンド交通等の交通ネットワークで周辺集落を支えることが有効である。

 国土交通省では、これまで「小さな拠点」の先進事例の調査・紹介や拠点形成ノウハウの蓄積・周知などの取り組みを行ってきた。また、地元農水産品の直売、商品開発・加工・販売まで行う6次産業化の拠点機能や、行政、医療など暮らしに必要な機能を持つ「道の駅」を支援している。

 加えて、今国会に「小さな拠点」の形成を推進する施策を盛り込んだ「地域再生法の一部を改正する法律案」が提出され、国全体で「小さな拠点」の形成・運営を本格的に支援していくこととしている。

 その際には、各々の集落を存続したい、そこに住み続けたいという住民の意思を尊重すべきであり、「小さな拠点」は集落からの移住を誘導・促進するものではない。また、集落に現に居住している人のみならず、近隣に居住している親族などが、将来を含めて集落を支える意思と力を持っていることにも留意すべきであろう。

 「小さな拠点」では、必要となる拠点施設は廃校や旧役場等を改修して有効活用することが主であり、必要となる交通ネットワークも、既存の道路ネットワークを活用した公共交通ネットワークの再構築が主となる。

 第3に、一定の圏域人口を維持する「連携中枢都市圏」の形成である。

 今後、人口が減少する中で、特に地方部においては、圏域内の複数の市町村が連携し、住民サービスの水準を一定の圏域人口で支える必要がある。例えば、救命救急センターや大学は、圏域人口を30万人確保できないと立地が難しいとの指摘がある。

 このため、圏域内市町村は、それぞれがコンパクト化して効率性を高めつつ、行政、民間事業者、関係団体等を含めた多様な連携を、交通ネットワークを活用して実現し、一定の圏域人口を確保することが必要である。

 これから具体的な制度設計を行っていくが、重要なのは、市町村間、あるいは集落と都市部の間は一方が他方に依存するのではなく、お互いに支えあっているということである。集落の生活は都市部のサービスに支えられているが、都市部のサービスは、集落を含む広域的な需要によって成立している。

 また、集落にいずれ帰ることを前提に、地方の都市部に踏みとどまって仕事をしている人も、集落が維持されなくなると大都市圏に流出してしまうであろう。これを防ぐためにも連携して一定の圏域人口を維持する制度が必要と考えている。


<資料PDF>

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地方創生情報お役立ちリンク集

首相官邸 まち・ひと・しごと創生本部 http://www.kantei.go.jp/jp/headline/chihou_sousei/

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