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地方創生特集

人口減少、超高齢化社会という世界でも未だ直面したことのない社会へと日本は向かいつつあります。自立的で持続可能な社会を創生するために、岸田政権では地方創生を最重要課題として位置づけております。内外ニュースでは「地方創生チャンネル」において、週刊・月刊「世界と日本」の執筆者、東京・各地懇談会の講演、専門家のインタビュー記事等の情報を掲載して参ります。

2022年1月4日号 週刊「世界と日本」第2212号 より

「ともに創る ともに育む」

元気に輝くための北杜市のまちづくり

 

山梨県北杜市長 上村 英司 氏

《かみむら えいじ》

1970年山梨県生まれ。慶應義塾大学卒。1993年、サントリー株式会社入社。2000年、株式会社上村商店入社。2012年から4年間、北杜市議会議員を務め、2017年、株式会社富士ジネンテックファーム取締役に就任。2020年より北杜市長に就任し現在に至る。

 北杜市は、八ヶ岳、南アルプス、金峰山、瑞牆山、茅ヶ岳などの世界に誇る山々に抱かれ、山の麓から湧き出る素晴らしい名水に恵まれた「名水の郷」です。名水百選に認定された水質の異なる三水系の水が流れるのは、日本中でも北杜市だけです。

 

 この名水は田畑を潤し、飲料水としてはもちろんのこと、企業活動にも大いに活用されております。北杜市から産出されたミネラルウォーターは、ウイスキーや日本酒、お菓子など幅広い分野で活用されております。コロナ禍においては、森や清流の癒しを求めて多くの方が都会から訪れています。

 また、日照時間も長く、南西斜面が広大に広がり、ブドウや野菜の適地として、最近特に注目を浴びています。特にワインは世界品質のものが産出されており、続々と北杜市でワイン造りをしたいという方が参入してきています。

 里山が残っているということも北杜市の特徴です。戦前から里山は、薪を取り、落ち葉を集め、田んぼに撒いたり、炭を作り、キノコや山菜を採取したりと生活になくてはならない場所でした。戦後、住宅用木材にするために広葉樹から杉や檜といった針葉樹に植え替えられた場所もありますが、広葉樹が残る地域では蝶や虫などの珍しい生物の宝庫となっています。北杜市は国蝶である「オオムラサキ」が日本一舞う地域として知られていますが、オオムラサキの生息に必要なエノキなどの広葉樹の森、いわゆる「里山」が今なお残されていることが大きな要因です。

 北杜市は約76%が森林で占められておりますが、森林の管理は大変であり、アカマツの森は松くい虫の被害により枯れ、枯れた木が建物を壊すなどの被害も出ております。しかし、コロナ禍においては森林の価値が高まり、大自然の中でのキャンプや森を活用した癒しの体験などの観光、また、地産地消の木材の需要などが高まっており、以前とは様相が変化しています。

 また、森は豊かで清らかな水を育むために無くてはならないものです。このことを小中学生に知ってもらうため、環境教育に取り組むなど、森林や水を守り、育て活用できるように民間企業とも連携しながらこれからも取り組んでいきたいと考えています。

 北杜市は豊かな水による水関連や半導体関連、また農業などの産業が盛んな地域であります。水産業では酒類の企業が業績を伸ばしており、ウイスキー、焼酎、ワイン、ビール、日本酒とあらゆる酒類が揃っているのは北杜ならではだと思います。世界レベルの賞を受賞するような商品が北杜から生まれており、これも素晴らしい水の恩恵だと感じます。

 また、新しいイノベーションを起こす起業家も北杜市で生まれています。結晶を作る企業などが上場を果たし、今後の成長が楽しみな分野です。

 農業においては、北杜市は元来、お米の一大産地でありますが、食生活の変化によるお米離れにより、お米の価格が下落しており対策が急務となっています。市では、お米のブランド価値を上げる対策を行っています。まず、企業と連携し清里地区の牛から得られる糞を、科学的な知見に基づく優良な堆肥にする取り組みを行っています。その堆肥を使い、農家の方に安心安全で体に良いお米の栽培をしてもらっています。そして、そのお米を企業の特別な精米技術によって栄養価が高く、旨味が多い部分を残したおいしい金芽米を作り、ブランド米として売り出す取り組みを始めました。まずは保育園、小中学校の給食に導入し、子ども達に安心で栄養価の高いお米を提供しています。今後は栽培農家を増やし、北杜のブランド米として全国に名前が知れ渡り、販売価格は上がり、農家の収入に貢献できるように努力していきます。

 また、その取り組みと並行して、農家の方の栽培技術向上を図るため、お米のコンクールを開催いたしました。令和6年には米の食味国際コンクール開催を予定しており、北杜市から世界一のお米が生まれることを心から願っています。

 北杜市には誇れる偉大な先人が二人います。

 一人は清里の開拓の父と言われた「ポールラッシュ博士」です。清里のような標高が高い地域は、米作りには適さない地域ですが、博士は農業や酪農を中心とした高原の農村モデルを作り、北杜市を日本中の手本となるような田園都市へと導いてくれました。ポールラッシュ博士の教えは、「DO  YOUR  BEST  and   IT  MUST  BE   FIRST  CLASS 〜ベストを尽くせ、そして一流であれ〜」です。私たちは博士の教えを忘れることなく、一流を追及してまいりたいと考えています。

 もう一人は「浅川巧」氏です。浅川巧は、戦争中の朝鮮に渡り、差別することなく朝鮮人の心に寄り添い友情を育んだ方です。韓国の方々は、今でも浅川巧が育んでくれた友情を忘れることなく、偉大な日本人として尊敬しています。北杜市は、浅川巧の縁で抱川市と姉妹都市を結んでいます。私達は浅川巧の精神を引き継ぎ、韓国と日本が固い友情で結ばれるように取り組んでいきたいと思います。

 北杜市は移住人気が高く、特に文化芸術に秀でた方が多く移住しています。モダンアートの「中村キースヘリング美術館」やシルクロードと関わりの深い作品が多く展示されている「平山郁夫シルクロード美術館」、ルオーをメインとする吉井画廊が集めたコレクションを展示する「清春芸術村」など優れた美術館が多くあります。市内のホールでは、クラシックコンサートや歌舞伎、能などの伝統芸能が民間主体で盛んに行われています。市では基金を作り、芸術文化活動を後方から支援しております。アートは地域を元気にできる起爆剤だと考えています。あらゆる世代の方が芸術に親しみ、世界から北杜の芸術を目指して訪れるような場所にしていきたいと思います。

 また、北杜の山々に魅せられて登山家、クライミングのプロの方が移り住んできています。世界レベルのアウトドアマンが集う聖地であり、山や川などの様々なフィールドを楽しめる場所として、山やアウトドアの魅力を世界中に発信していきます。

 私は、大変欲張りなので世界に誇る芸術、アウトドア、ワイン、食など、北杜の魅力をこれからもどんどん発信し、多くの方に何度も訪れていただく場所にしていきたいと考えています。

 皆様も北杜に是非ともお越しいただけたら幸いです!

 

 山梨県北杜市公式サイトhttps://www.city.hokuto.yamanashi.jp/

 


2021年2月15日号 週刊「世界と日本」第2191号 より

15年迎えた銀座ミツバチ

IT介し拡がる地域連携

 

NPO銀座ミツバチプロジェクト理事長 田中 淳夫 氏

《たなか・あつお》

1957年東京生まれ。79年日本大学法学部卒業、(株)紙パルプ会館に入社。2011年専務取締役。2006年「銀座ミツバチプロジェクト」を立ち上げ、10年に農業生産法人(株)銀座ミツバチを設立、代表取締役に就任。著書に『銀座ミツバチ物語』『銀座ミツバチ物語part2』(時事通信出版)など多数。

 

コロナ禍だから見えてきた地域の力

 2020年は銀座の屋上でミツバチを飼い始めて15年目の春、コロナウイルスの広がりで緊急事態を伝えるメッセージが出て、シーズン前に企画していたすべての活動がストップ。つい数カ月前にはオリンピック前の高揚感と共にインバウンドはじめ多くの人が行きかう銀座通りから人が消えた。地下鉄銀座線のホームに降りたとき自分一人だったのは驚きの風景だった。百貨店、ホテル、レストランからバーに至るまで、ほぼ全ての店が扉を閉めた。見事に社会の要請に応えるのが銀座の街である。

 

全国のミツバチ仲間とネットワークが誕生

 こうして下界では経験したことがない世界が広がるが、樹木には花が咲き屋上ではミツバチ達がたくさんの花粉や花蜜を運ぶいつもの風景が広がっていた。人間以外の生き物たちは普通に命の営みを続けている。不要不急が叫ばれる中、私達は密にならないように限られたスタッフのみで養蜂作業を続けていた。

 そんな中、たまたま名古屋長者町ハニカムプロジェクトの友人がこの春も作業をしている様子を知って嬉しくて久しぶりに電話した。次々に電話するとこの環境下でも全国の仲間たちが屋上で作業していることが分かった。そこで様々な悩みや課題をオンラインで語り合おうと5月から毎月定期にWEB会議を呼びかけた。今まで私の携帯でつながっていたそれぞれのプロジェクトが、画面を通して20を超える団体が次々と網の目状につながった。こうして全国ミツバチプロジェクト会議がスタートした。

 会議を受けて同志社大学ミツバチプロジェクトの服部篤子先生は、大学院生達を使って全国のプロジェクト調査を開始。誰がどんな思いでどんな仲間たちと始めたかをまとめてくれた。

 梅田ミツバチでは、Tシャツを購入することで全国ミツバチプロジェクトへ支援金が入る仕組みを作ってくれて、更に12月のお歳暮シーズンに大阪梅田の阪急本店で全国ミツバチプロジェクト仲間たちの蜂蜜販売イベントも共催できた。

 ある時は、熊本ハニープロジェクト代表がボランティアを多数集めて豪雨災害の被災地に入るので会議に参加できないと連絡してきた。そこで全国の仲間たちに募金を呼びかけると直ぐに寄付が集まり高圧洗浄機などの資材を購入して活用していただくこともできた。こうして、今まで点で活動していた仲間たちが、つながることで日本全国を俯瞰して面で考えることができるようになった成果は大きい。地域の課題に向き合って自ら動くプレーヤー達のネットワークは、今後様々な形で動き出すと楽しみにしている。

 

再生可能エネルギーの扉が開く

 このオンライン会議の活用は、地域の仲間たちと再エネという別の扉も開いてくれた。

 東日本大震災から奇しくも10年。震災以前から福島と縁を作ってきたが、原発事故で理不尽な困難を受けてきた様子を見て、福島から再エネで次の社会を作るべきと考えた。そこで2018年に福島市荒井の農地を購入して高さ3.5メートルの高さに間をあけてパネルを設置し、その下で農産物を作るソーラーシェアリング事業を開始。翌2019年には会津美里町の高齢者施設屋根を借りて発電所を作った。屋根を借りた家賃は、ソーラー下で作る農産物等で支払う。100人の入居者と職員100人で食べていただく仕組みで電気と農産物をつなげている。

 この実績から会津電力、飯館電力、徳島地域エネルギー、宝塚すみれ発電等ご当地電力と再エネを販売するみんな電力がNPO会員となった。その1つ徳島地域エネルギーではソーラーシェアリングの下で農薬を使わないコメ作りから養蜂も始めて、再エネ収入の一部で村中に花の苗を配りミツバチと再エネの村として売り出そうと動く。ミツバチ、農薬を使わない農業、そして再エネはとても相性が良かった。

 宝塚すみれ発電所では、ソーラーシェアリング下で作った芋で私たちの芋焼酎「銀座芋人」の仲間になって「宝塚芋人」もできる予定で、今春からは養蜂と共に荒れた里山の間伐材をバイオマスボイラー活用して豊かな森へ再生する事業も走り出す。兵庫県、宝塚市、神戸生協、地元の大学など参加する地域循環共生圏構想にミツバチはぴったりだ。

 最後は、岩手県ジオファーム八幡平。馬術でオリンピックを目指していた30代の船橋慶延氏は10年前に縁のない岩手山の麓で馬牧場を開いた。人に育てられ言葉を理解し30歳まで生きるのにも関わらず、走れなくなると3、4歳で殺処分されて食肉になる現実を見てきた船橋氏は、こうした状況を変えたいと馬のセカンドライフを実現するために馬を連れて家族と移住する。隣の温泉から熱を引いて馬ふんから堆肥を作り、更に植菌してマッシュルームを栽培する事業を開始した。

 当初は全く出荷できずに資金も底をついていつ辞めるかハラハラしていたが、技術が向上して昨年は年間8000万円まで売り上げを伸ばすことができたそうだ。

 この秋から冬にかけて生産が需要に追い付かない状態で、この春4棟あるマッシュルーム棟を更に2棟増設し、また馬ふん堆肥を増やすため、引退馬のみならず競走馬も餌代付きで預かるようになると25頭まで増えてくる。この馬のための厩舎も増設するという計画を聞き、銀座ミツバチではこの屋根にソーラーパネルを設置してマッシュルーム棟に電気を送る自家消費型の事業を提案し進めている。

 東北は冬に仕事が少ないが、ここでは若いママたち20人が働いていて選別、箱詰めに忙しい。今後の需要を見越して障がい者雇用も進めようと話し合っている。馬とミツバチのコラボは多くの人の興味をそそる。彼は2~3年後、近所の耕作されていない広大な場所でも同じ様に牧場、堆肥場、マッシュルーム棟を作り、将来売上10億円を目指すと夢を語る。

 仮に売り上げが10億円を超えると馬420頭の馬厩肥が必要で、東北中の牧場から馬ふんを集めて一大サプライチェーンを作ると壮大な構想を練っている。

 コロナ禍は、突然人々の行動を制限して心を閉ざしてしまったように思う。しかしITの力を得て今までにない連携ができることを証明してくれた。

 会えないからこそ見えてきたネットワークと地域の宝。地球温暖化のみならず早く手を尽くせばよみがえっていく地域社会の風景も見えてきた。

 厳しい状況の今だからこそ、新年に復活する日本の風景を夢見て行動したい。 


コンパクトネットワーク.pdf
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<資料PDF>

地方創生情報お役立ちリンク集

首相官邸 まち・ひと・しごと創生本部 http://www.kantei.go.jp/jp/headline/chihou_sousei/

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