特別企画
内外ニュースでは「特別企画チャンネル」において、週刊・月刊「世界と日本」の執筆者、東京・各地懇談会の講演、専門家のインタビュー記事等の情報を掲載して参ります。
2025年7月21日号 週刊「世界と日本」2297号 より
今こそ求められる
ノブレス・オブリージの精神
富士通フューチャースタディーズ・センター特別顧問
筑波大学 特命教授
谷口 智彦 氏

《たにぐち ともひこ》
1957年生まれ、東京大学法学部卒。富士通フューチャースタディーズ・センター特別顧問、筑波大学特命教授、安倍第二次政権で故首相の外交政策スピーチライター。近著は『安倍総理のスピーチ』(文春新書)。記事はエコノミスト、フォーリン・アフェアーズ、ニューヨークタイムズに掲載。BBCほか国際放送出演が多数。
「ノブレス」とはフランス語で位が高い、育ちが良い上流階級に属す者のことをいう。
「オブリージ」は英語の「オブライジ」と同じで、両者が合わさって「ノブレス・オブリージ」となると「恵まれた、上流に属す者は自ら進んで世のために尽くすべし」という意味の言葉になる。
この時点で筆者がそうであるように「じゃあ自分と関係ない」と思った人がいるかもしれない。ところが日本では話が違うということを、すぐ後にみる。
革命で王政・貴族を倒したはずのフランスに19世紀の前半、復古王政の時代が来る。
再び世にまかり出た貴族どもが自分らの地位を正当化するため言い出したのが、言葉のいわれなんだとか。
英国に渡ると、同じ言葉はフランス語発音のまま、つまり発音できるかどうかで教育の有無や階級の判別ができるフレーズとして、さかんに人気を得た。
時あたかも、大英帝国が隆盛を極めるビクトリア時代である。
宏大な土地をもつ貴族の家に生まれた次男坊、三男坊が寄宿学校仕込みの体力・知力そして厚かましさで、世界に押し出した頃だ。
「高貴なる者に相応の務めあり」としたこの言葉は、確固不動の階級制、それから、多少の施しをした程度ではびくともしない富の集積、偏在を前提としてこそ意味をもった。その「下部構造」が変われば、言葉は影響を被らざるを得ない。
Googleの機能(Ngram)を用い「ノブレス・オブリージ」の頻出度とその変遷を英語圏についてみると、果たせるかな、1900年頃が最も多い。出現度合いはその後一貫して減り続け、今日この01は、もはや絶滅危惧種に属す。
面白いことに日本を除いては、だ。
江戸から明治、次いで戦前から戦後と、百年せぬうち二度も階級差を潰す大変革を遂げた日本は、世にもまれな平民社会になった。
ビル・ゲイツ、イーロン・マスク級の大富豪がいない国である。
だからか、「いかにも上流でござい」の感を醸すこの用語を英国などでホントの上流に属す者はむしろ嫌うのに比べ、日本ではまだよく人の口に上る。
そしてひとを内省に向かわせる。汝、善をなすに憚ることなかりしか、というわけだ。
本紙読者なら、ご記憶にあるだろう。
1990年、経団連(当時)は「1%クラブ」を作って加盟企業に献金を呼びかけた。
営業利益の1%ぐらいは(名称の由来)世のため人のために供すべし。それは法人のなすノブレス・オブリージなのであると、当時まだ元気だった盛田昭夫氏が言っていた。
盛田氏らが創ったソニーは、当時米国で破竹の勢いだった分、風辺りが強かった。それをかわす一助にしようとの動機があった。
がなんといっても、その頃まで続いた株価と地価のバブルが多くの企業に濡れ手に泡の超過利得を与えていたから、経営者は鷹揚でいられた。口にするとなんだか自分が貴種に属したような、心理的愉悦も味わえたろう。
35年経って、日本と日本企業はもう御大尽ではなくなった。
日本はその経済規模でドイツに抜かれまたインドに追いつかれ、一人当たりGDPなどは滑落の一途。往年の光輝はいまやない。
企業会計原則はその間に大変革を遂げ、社長のポケットマネーは霧消した。太っ腹の社長などはいまの日本で求めるも無駄である。
でももとから大した富豪が存在せず、階級差は諸外国に比べあってもなきがごとき国が日本だった。その口にする「ノブレス・オブリージ」は、ゆえにもとより特殊日本流である。概念において「貧者の一灯」とさほどの懸隔はなかった。
懐こそかつてほど豊かでなくとも心に富貴を求め、保たんとする「ノブレス」には、カネではできない貢献のしようがある。新時代にも「オブリージ」はあり得るし、各界リーダーたちはその追求に励んでほしい。
心の豊かさを後の世に残そうとするなら、日本人が日本人であるゆえんはなんで、どうすればその精華を引き継げるか熟考し続けることがいの一番だ。
対話型人口知能の急速な進化によって、英文(に限らず外国語一切)の読み書きは、あっけないまで簡単になった。明治開国以来日本民族を悩ませ続けた語学の壁は雲散した。
だからこそ日本語の美を我々自身で学び直し、子孫に伝えるよう努めるときは今。日本語あっての日本人だ。
筆者は馬齢を重ね、このごろようやく気づいたことがある。
君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで。
天皇のお家はその連続においてまた治者の自覚を持ち続けた家系の継続において世界に比類ないもので、右の歌詞は、多少の比喩的誇張を含むものの事実の正確な描写であり、神話的捏造ではなかったという一事だ。
だったらそれを当世当代の我々が絶やしてはならじと、厳かな認識にいざなわれる。
かつまたこれが日本に不易を与えた一本の竜骨だったかと感じ入る。いかにしてこのことを次世代に教えるべきかに想が移る。
まずはたった32という音節数でも、歌唱に要する時間(45秒~1分)でも世界各国国歌と比較し最も短い「君が代」を、みなが歌えるようにしたい。
向後数年から四半世紀の間に中国はわが尖閣諸島を取ろうとし、台湾をわがものとすべく実力を及ぼすこと必定だ。備えにこれで十分という限度はない。
防衛費はいまやGDPとの比率ウンヌンと外形的議論をしてよい時期ではなく、所要の額をすべて惜しみなく費やして、それでも追いつかないくらいであるとの認識が必要だ。
ノブレスのオブリージとはこれを必要であると認めること、その合意づくりに、自らを捧げることとなろう。
盛田昭夫がいま生きていれば、日本国あってのソニーであって国家の安保は一私企業の損得を超えるのだと、そう衒いなく言ったのではあるまいか。
ノブレス・オブリージに果たせる役目はある。否、いまこそ重要であるとそう訴えて、稿を閉じたい。
2025年7月21日号 週刊「世界と日本」2297号 より

《みのはら としひろ》
1971年生まれ。神戸大学大学院法学研究科教授、インド太平洋問題研究所(RIIPA)理事長。専門は、日米関係・国際政治・安全保障。カリフォルニア大学デイヴィス校を卒業後、1998年に神戸大学大学院法学研究科修了、博士号(政治学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、神戸大学法学部助教授を経て、2007年より現職。著作としては、『大統領から読むアメリカ史』(第三文明社、2023年)など。清水博賞、日本研究奨励賞を受賞。
2期目のトランプ政権が、8年前の1期?のトランプ政権とは様相が全く異なることは論を俟たない。就任から今日までの現政権の行動力はまるで別次元であり、このように短期間で米国を変容させたのは―その功罪はともかく―大恐慌真っ只中に就任したフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領以来、実に92年振りである。就任から僅か100日間で国家非常事態法を8回も発令した大統領は、アメリカ史においてトランプ氏一人だ。この背景には、今では政治的エスタブリッシュメントとしての存在を完全に確立したトランプ大統領が、下野していた時代を含む過去8年間に多くを学習したことなど、様々な理由がある。これを踏まえ、本稿では、?統領の周囲を固める政策集団の陣容について検証する。なぜなら、トランプ大統領を動かし、政策形成に大きく関与しているのが、これら集団の存在であるからだ。加えて、この政策集団同士の影響力の強弱によってトランプ政権の政策は揺らぎ、一貫性を欠く要因にもなっている。
1期目の政権では、大統領を献身的に支える集団は存在せず、各々の側近がイシューごとに離散集合を繰り返して政策に関与していた。当然、大統領への影響力をめぐって頻繁に対立を繰り返し、足の引っ張り合いが日常茶飯事であった。そのため、機微な情報のリークが頻繁に生じ、結果的にトランプ大統領が公約として掲げた政策の多くは日の目を見なかった。さらに、当時は、トランプ氏の周辺には米国の将来を憂い、かつ大統領ではなく合衆国憲法への忠誠を重んじた多くの有能な側近がいた。彼らがブレーキ役を務めて巧みに大統領の衝動的な行動を牽制したことで、トランプ氏が目指した政策の多くはついに実現に至らなかったのである。
しかし、2期目のトランプ大統領の状況は全く異なる。彼の周辺には、大別すると利益が対立しあう三つの集団が存在する。一つ目のグループは、トランプ氏のイデオロギーを熱狂的に支持し、大統領に対する忠誠心を前面に打ち出すMAGA派だ。この中にはトランプ氏の尽力によって当選した連邦議員や福音派の宗教指導者、そして現政権では閣僚入りしていないスティーブン・バノン元首席戦略官のような人物も含まれる。また、忠誠派には、1期目からトランプ氏を支えた人もいれば、J・D・バンス副大統領やマルコ・ルビオ国務長官のように、1期目では激しく対立したものの、トランプ氏に勝てないと悟って後から転向して忠誠派に加わった者もいる。
次いで、二つ目のグループは、同盟国である日本とも太いパイプで繋がっている反中タカ派である。この集団の中心には、マイク・ウォルツ前国家安全保障担当大統領補佐官やエルブリッジ・コルビー国防次官などがいる。彼らは対中強硬派として知られており、米中関係を、「管理」するものではなく、戦争と見なして「勝利」する必要があると捉える。それゆえ、反中タカ派には知日派が多く存在し、同盟国としての日本の地政学的重要性を十分に認識している。また、心底からMAGAの思想に傾倒していないのもこのグループの特徴であり、伝統的共和党やかつてのネオコンの残りも参画している。
そして、三つ目のグループは、大富豪からなる機会便乗的なオリガルヒ派である。彼らの多くはトランプ氏のイデオロギーに共鳴しておらず―従って忠誠派の点では偽善者と罵られている―むしろ持ち前の財力を駆使してトランプ氏を支えることで政権中枢に食い込み、?らにとって有利な政策を導き出すことを目指している。このように機会便乗的に行動するオリガルヒ派の紛れもないリーダーは、テスラ社のイーロン・マスク最高経営責任者である。
これら三グループは基本的に対立関係にあり、例えばMAGA派とオリガルヒ派は相互に非難合戦を派手に繰り広げている。特に、関税政策とトランプの「大きくて美しい法案」を巡って確執は一気に拡大した。同時にMAGA派は好戦的なタカ派を危険視しており、かつオリガルヒ派も米中関係の安定こそが利益に直結すると考えているため、タカ派を警戒している。他方、タカ派は米国の同盟関係を軽視するMAGA派の姿勢が国益を毀損させることを憂慮する上に、オリガルヒ派が是とする中国の経済的な絆の強化を愚行と見なす。つまり、これはまさしく大統領への影響力をめぐる三つ巴の戦いであり、三陣営は激しく鎬を削りあっている。
しかし、6月になってこの争いについに決着が着いた。オリガルヒ派は、マスク氏と大統領の確執が一気に表に噴出し、最終的にマスク氏が政権中枢を去ることになった。一方の反中タカ派は、機密情報のリーク事件などがあってワルツ氏が更迭された結果、大統領に対する影響力は一気に萎んだ。なお、政権内に残っているコルビー氏は、「台湾防衛は必ずしも米国の死活事項ではない」と語るなど、政権に踏み止まるために従来の主張を大きく後退させている。すなわち、政策集団で唯一勝ち残ったのがMAGA派となったことにより、今後の米国は同盟国との関係を軽んじつつ、不法移民に対する取り締まりや反DEI政策といった自国を作り直すことを目的とした国内政策の追求に邁進しよう。
しかし、この矢先にイスラエルによるイランの攻撃があり、また米国がこの戦争に直接的に介入したことで目下MAGA派には深刻な亀裂が走っている。同派閥における親イスラエル派(対イラン攻撃容認派)と非介入派(イラン攻撃反対派)の争いはまだ序盤段階にあり、今後の展開次第で最終的な勝者は決する。つまり、対イラン戦争が泥沼化すれば非介入派の勢いは増し、他方、戦争が一気に片付いてイランの体制変革が円滑に進めば新イスラエル派が優勢になる。いずれにせよ、今の米国は日本が従来頼ってきた米国とは本質的に異なることを理解することが肝要であり、もはや変数となってしまった唯一の同盟国である米国と今後いかに上手に付き合っていくのかが日本にとって最大の外交課題及び試練であるのはいうまでもない。
2025年7月21日号 週刊「世界と日本」2297号 より

《きむら まさと》
1961年生まれ。元産経新聞ロンドン支局長。国際政治、安全保障、欧州問題に詳しい。元米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。元慶応大学法科大学院非常勤講師(憲法)。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』
世界がいま日本をどう見ているのか。日本製鉄のUSスチール買収や令和のコメ騒動も筆者には「今さら鉄やコメを論じてどうなるのか」という気がしてならない。
英紙フィナンシャル・タイムズのレオ・ルイス東京支局長は「日本の指導者はコメへの執着を捨てるべきだ」(5月22日付)と題して「この国では農業よりも自動車産業に生計を頼っている人の方が多い。コメは必要であれば犠牲にしても構わない」と断じている。
血縁、地縁の世襲政治に囚われてきた日本は取捨選択を誤ってきた。中でも、日本の輸出競争力を削いだ1986年の日米半導体協定が電子立国・日本の大きな転機になった。
岸田文雄首相(当時)が2022年に「半導体は国の重要な戦略物資」と旗を振るまで実に36年を要している。
集積回路の部品数が2年ごとに2倍になるというムーアの法則に基づけば実に26万倍以上の歳月である。政府の無策は日本経済の未来に致命的な打撃を与えた。
02~03年、米ニューヨークのコロンビア大学に社費留学した時、日本では世界初の携帯電話IP接続サービス「iモード」が普及していたにもかかわらず、現地ではまだ「ページャ」と呼ばれるポケットベルのメッセージ機能が使われていた。
07年にロンドンで暮らし始めた当時、携帯電話はフィンランドのノキア製。米アップルの製品で身近にあったのは携帯型デジタル音楽プレイヤーの「iPod」のみだった。
それからタッチパネルで携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、オーディオプレーヤー、ゲーム機、カーナビを操作できる万能端末の「iPhone」、SNSのフェイスブックやツイッター(現X)、OpenAIの生成AI(人工知能)「ChatGPT」が次々と市場を席巻し、世界は激変した。
いつしか駐英日本大使が「日本の主要輸出品はスシになった」という自虐ネタを披露しているという本当かウソか分からないウワサ話を耳にするようになった。ロンドンで日本の電気製品を見かけることは少なくなった。
スシよりロンドンでブームになったのは博多(豚骨)ラーメンだ。コラーゲンたっぷりの濃厚なスープがなぜかロンドンっ子には受ける。
日本研究で知られる英ケンブリッジ大学のバラク・クシュナー教授が12年に大和日英基金のイベントで著作『ラーメンの歴史学―ホットな国民食からクールな世界食へ』の出版に合わせて講演し、豚骨ラーメン店「Tonkotsu」の試食が行われた。
それからアッという間にラーメン・ブームに火がつき、日本の一風堂、金田家も上陸してきた。
コロナ危機に端を発するインフレと日・米英間の金利差で「円弱」となり、昨年5月には円の国際的な価値を示す「実質実効為替レート」は過去最低を更新した。
1ドル=360円の固定相場制の時代よりも「円の購買力が低い」という衝撃的な水準だった。
友人の英国人カップルが「日本にホリデーに行ってきた。激安だった」と嬉々として話す様子を見ると複雑な気持ちになる。
英誌エコノミストのビックマック指数によると、日本では480円で買えるマクドナルドのビックマックが英国では884円もする。
英国の大学に留学すると学費と生活費を合わせて1年で1000万円もする時代になった。ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンに留学した長州五傑一人当たりの渡航費、学費、生活費が千両だったことを思い出した。
ロンドンから地方の有力紙の支局が撤退し、全国紙の人員も大幅に縮小された。欧州連合(EU)離脱で英国のニュース価値が下がったという事情はあるにせよ、長州五傑や薩摩藩遣英使節団が明治という新時代を切り開いた歴史を考えると寂しい限りだ。
その背後にあるのは日本の政府債務だ。
米紙ニューヨーク・タイムズ(5月28日付)は「日本の政府債務は今や経済規模の2倍を上回り、難しい選択を迫られている。日本政府は借金依存の財政支出を削減するよう圧力を受けている」と報じている。
人口減・高齢化・低成長に加え、物価上昇と金利上昇の中で財政規律への圧力が強まるが、財務省に不当な国民の怒りが向けられる。
日銀の異次元緩和に依存したアベノミクスの副作用が制御不能になりつつあると言う他ない。
「負の遺産」ばかりに注目していても仕方がない。スシ、ラーメンとくれば次はマンガである。
フィナンシャル・タイムズ紙(5月8日付)は「日本アニメは次の世界的な知的財産の金脈になるのか」と題した特集記事で「個性豊かなアニメは世界中の視聴者、ハリウッドスタジオ、プライベートエクイティ企業を魅了している」と報告している。
日本アニメのファンはスポーツ選手、ミュージシャン、政治家を含め推定8億人とされる。すごいソフトパワーだ。
米投資銀行ジェフリーズは24年版レポートで世界のアニメ市場は23年の312億ドル(4兆5000億円)から30年には601億ドル(8兆7000億円)にほぼ倍増すると予測している。
経済産業省のまとめによると、映像・アニメ・ゲーム・出版・音楽のコンテンツ産業の海外売上は半導体産業の5・5兆円を抜いて5・8兆円に達している。
「日本製鉄のUSスチール買収」の黄金株導入が米国への投資のあり方を変えたとしても、日本の鉄鋼産業の輸出額は4・8兆円に過ぎない。
政治家も新聞・テレビのレガシーメディアもナショナリズムを掻き立てる鉄やコメが大好物なのだ。
ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズ防衛部門責任者マイク・ギャラガー氏は米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿(6月11日付)で「ドナルド・トランプ米大統領にとって日本は大きなチャンス」と指摘している。
「貿易とテクノロジー分野での同盟強化は米国にとって利益となると同時に中国への抑止力にもなる。いまトランプ大統領は日本を相手に、さらに大きな一歩を踏み出す機会を得ている」と論じている。
トランプ氏のカモになるわけにはいかない。
ロボット工学から材料科学、半導体装置に至るまで世界をリードする日本企業がビジネスチャンスをものにできるかどうか石破茂首相と赤沢亮正経済再生担当相の交渉力が問われている。