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内外ニュース懇談会 講演要約

講演
「これからの政治課題─憲法改正・北朝鮮・教育をめぐって─」

衆議院議員
石破 茂 氏

内外ニュース東京懇談会6月例会は2017年6月6日、キャピトル東急ホテルで行われた。「これからの政治課題」と題し、今、やらなければならないこと、憲法改正、日本をとりまく外交問題を中心に語った(講演要旨は次の通り)。


日本をインディペンデントでサステナブルな国に

 議員になって32年目になる。自由で豊かで平和な日本を次の時代に残すために、やらなければならないことはまだたくさんある。そのために、いくつかの課題には答えを出していきたい。
 私はこの国をインディペンデントでサステナブルな国にしたい。逆に言えば今の日本は、サステナビィリティーではかなり危なく、エネルギーや安全保障、食糧に関して、外国のいろいろな事情に左右されないインディペンデントな国という意味では、相当に脆弱な国だと思う。
 これから先、日本の人口は恐ろしく減る。現在の1億2700万人の人口が、今の出生と死亡がこのまま続くと、西暦2100年に日本人は5200万人と半分以下になる。しかもこれから先は若い人が少なく、高齢の方が多い5000万人を迎えるわけで、それが本当に財政や社会保障においてサステナブルかといえば、全然そうではない。
 この国の最大課題は、この人口減少社会に、どう立ち向かっていくかということだ。フランスのように出生率が高くなった理由を積極的に受け入れる。また、現在、移民を受け入れないという政策の下で、技能実習生として受け入れている外国人が、過酷な労働条件で働かせられ、日本を好きにならないで帰っていく状況を、これからも続けていくべきなのだろうか。
 これから先、韓国、台湾、中国で労働者が絶対的に足りなくなり、外国人の奪い合いが始まるであろう。だから、単純労働はだめ、移民はだめ、という時代ではないと私は思う。

憲法改正について理を尽くして説得すべき

 当然のことだが、日本国憲法は日本が独立していない、占領下において定められた憲法である。
 しかし、独立を果たしたからには、日本人の手で憲法を改正するべきで、なぜ憲法を改正しなければならないのか、変えなければ日本はどうなるのかということを、きちんとお示し、理を尽くして説得していかなければならない。
 国の独立、国民主権とは何かについて、私は正面から教わったことがなければ、論じたこともない。選挙の時は、自分が為政者ならばどうするかということを考えなければ、国民主権における主権国家の一員とは言えないだろう。
 主権国家の3要件は、領土、国民、統治機構である。この3つだけは、何があっても外国に指一本触れさせてはならない、それが国家の独立である、ということを、私は教わったことがなかった。国会議員になって初めて知ったことだ。
 国家とは何か。それは警察、軍隊という実力組織を、合法的に独占する主体である。そして国家の独立とは、国家主権を守り抜くということである。
 国の独立を守るのが軍隊で、国民の生命、財産、公の秩序を守るのが警察である。同じ実力組織だが、その目的は全く違う。軍隊は国の独立を守る組織なので、その作用は対外的に向かうのに対し、警察は対内的に向かうものである。軍隊と警察は全く別のものである。
 独立していない時にできた憲法だから、独立に必要な規定がないのは当たり前のことだ。だから、独立に必要な軍隊の規定がない。従って、独立したからには、主張信条とは関係なく、国の独立を守る組織を憲法に書くべきだというのは、論理的な帰結として当たり前のことである。

憲法第9条2項と自衛隊の整合性をどうつけるか

 日本国憲法は、前文からしてかなりユニークだ。それを受ける形として憲法第9条第1項はあり、私は憲法学で、第1項は武力の行使を禁じ、第2項において実力的にもその行使を禁じていると習ったが、今でもそのはずである。
 第1項の「国権の発動たる戦争」とは、最後通牒を発し、宣戦布告を伴う正規の戦争のことである。第2項の「国の交戦権」の国とは、一定の領土を有し、アイデンティティを共有する国民を持ち、統治のしくみがあることだ。交戦権とは戦争をする権利ではなく、戦争をする国家に与えられた権利である。
 また、「国の交戦権はこれを認めない」とは、独立を脅かされた場合には、皆様が義勇軍となって、侵略国家と闘うことである。軍服を着ていないので、当然捕虜となっても、虐殺されても文句は言えない。「それはいくらなんでもひどいじゃないか」、ということになる。だから国の独立を守り、国際社会の平和と安全に寄与するため、陸海空軍その他の戦力、その他の組織を有する、というような書き方は極めて妥当なものだと思う。
 しかし、そうすると第2項との関係はどうなるのか。「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」と書いてあるからだ。
 その上、第3項に「国の独立並びに国際社会の平和を維持するため、陸海空の自衛隊を保持する」と書いたとすれば、第2項と3項とは、論理的にどのようにつながるのか、私にはわからない。無理やりつなげようとすると、「前項の規定にかかわらず」という言葉を入れることになるのだろうが、それは法律の立て方として正しいのだろうか、と私は思っている。
 自民党においては、小泉政権下、あるいは野党の時代、谷垣総裁の下において、憲法改正草案について、侃々諤々の議論をしてきた。しかし、その時の議論で、「2項は変えよう」ということに異を唱えたものは一人もいなかったと記憶している。
 憲法第9条第1項は、「国際紛争を解決する手段」という言葉を使っている。国際紛争というのは、国または国に準ずる組織が主体だ。しかし、「9.11」以降、テロ組織やテロ集団というものが、従来は国家しかなしえなかった破壊行為ができるようになった。これが21世紀の課題である。
 また、圧倒的多数の国民は、自衛隊は合憲だと思っているので、自衛隊をきちんと憲法上に位置付けることに反対する人はいない。私も反対はしない。しかし、第2項との整合性をどうするのかということに答えを出さないまま、憲法改正をすることに、少なくとも私は納得していない。

国際環境の中でのバランスオブパワー

 「抑止力とは何か」ということにも、答えを出さなければならない。抑止力というのは報復的抑止力と拒否的抑止力があり、前者が「やってみろよ、倍返しだぞ」というもので、後者が「やれるものならやってみろ。お前たちが思うような成果は絶対に上がらないぞ」というものだ。報復的抑止力は日本は持たないことになっており、アメリカに委ねることになっている。
 憲法は最も大事だが、明日起こるかもしれない、そういう事態に備えて、我々はアメリカの核抑止力の実効性を確保しなければならない。ミサイル防衛の実効性もさらに向上させていかなければならない。また国民の保護も考えていかなければならない。独立を守るということは、それほど難しいことだと私は思っている。
 これから先、激変する国際環境の中にあり、いかにしてこの地域のバランスオブパワーを保つか。これが保たれている時には、大きな戦争は起こらない。だから法的、能力的、運用で、どのように防衛力を最大限に発揮するかも考えていかなければならない。
 特に我が国の自衛隊法は、ポジティブリストになっているので、やっていいことしか書いていない。自衛隊法に書いていないことは、例え1ミリたりとも戦車は動かない、飛行機は飛ばない。いざとなった時に防衛六法を開いているようではどうにもならない。そして人員は、燃料は十分なのかということを全部点検し、我が国は独立を守り、平和を守ることができる。
 北朝鮮に対し、中華人民共和国が鍵を握っているといわれている。北朝鮮が切れて暴発したら、「中朝同盟が発動されて、戦争に巻き込まれるのはまっぴらごめんだ」と、中国は思っているはずだ。戦争が起こり、朝鮮の人たちが難民として中国国境に押し寄せること、そして戦争が終わった後、朝鮮半島が統一されて、仮にアメリカの同盟国が朝鮮半島を統一し、それと国境を接することは、中国にとって悪夢のはずだ。
 そうならないためにはどうするか、ということを考えていかなければならない。そうでなければ、今の情勢は、この後どう変わるかわからない。そういう極めて難しい時代に、我々は生きているということだと思う。
 冒頭に申し上げたように、人口も社会保障も、財政も、国家の独立も、今まで「是」としてきたことが、これから先は是ではない。その時にどのような優先順位をつけて我々は国民に向け、訴えかけていくべきか。
 私たちは自民党の中で、徹底した議論をし、そして決まったことにはみんなが従う。自由民主党はそういう党である。この厳しい時代にあって、我が自民党は「民進党よりましだから」ということではダメである。民進党がダメだから支持率が高い、そのことに何ら意味はない。「政策を支持したいから自民党」という方々が増えるように、一党員として更なる努力を、していかなければならないと思っている。

※講演全文は月刊『世界と日本』1277号に収録されます。また、要約は週刊「世界と日本」NO.2105号に掲載されます。

※講演の動画・資料は会員限定で「内外ニュースチャンネル」でご覧頂けます。

https://www.naigainews.jp/懇談会/懇談会動画/動画-石破氏201706-会員専用/

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