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内外ニュース懇談会 講演要約

講演
「最近の内外政治情勢と国内政局の行方」

元自由民主党副総裁、近未来政治研究会最高顧問
山﨑 拓 氏

 内外ニュース東京懇談会5月例会は15日、ホテルグランドパレスで行われた。「最近の内外政治情勢と国内政局の行方」と題し、元自民党副総裁の山﨑拓氏が、かつての中曽根内閣で官房副長官を務め、外交安保に一貫して取り組んできた経験を基に、現在の外交情勢について語った(講演要旨は次の通り)。


官房副長官として中曽根元総理とソ連へ

 私を国会に導いていただいたのが、今月28日に100歳の誕生日をお迎えになる中曽根康弘先生で、中曽根内閣の時に官房副長官を務めた。中曽根先生は外交、安保政策の第一人者で、非常に戦略的な外交をおやりになり、その中曽根先生のご指導もあり、私は一貫して外交安保について取り組んできたので、今日は過去のエピソードを紐解きながら、お話ししたい。
 1985年、当時はソ連であったチェルネンコ書記長が亡くなり、今の安倍晋三総理のお父さんであり、外相だった安倍晋太郎さんと、官房副長官の私が中曽根総理のお供として、モスクワでの葬儀に参列した。
 その時に中曽根総理が、新しく書記長になったゴルバチョフと会談をし。その会談で中曽根総理が、「今の米ソの冷戦構造がいつまでも続くのはよくない。そろそろこれを解消しようじゃないか。これはアメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフの英断にかかっている」と言われた。
 さらに同年8月に行われたドイツのボン・サミットの日米首脳会談の際にも、中曽根総理は「先頃、ゴルバチョフにも話したが、そろそろ冷戦構造を解消すべき時が来ているのではないか。あなたとゴルバチョフで切り口をつくってもらいたい」と話された。その際に「冷戦構造の東西のフロントは、ベルリンの壁と38度線であり、ベルリンの壁はNATOの守備範囲だから盟主たるアメリカでやってくれ。38度線は日本の隣国であり、かつて朝鮮半島36年日帝支配と言われる植民地支配をした日本に責任があるから、日本がコミットしたい」と言われた。
 その解消方策として、中曽根総理は「たすき掛け承認」を提唱した。これは東側の北朝鮮と我々とが国交を結び、東側の中国とソ連が韓国と国交を結ぶということであり、当時のレーガン大統領もOKを出した。
 そこで、冷戦構造の解消に向けて一気呵成に進むことが、当時の国際外交の方向性であり、1990年に韓国はソ連と国交を正常化させ、同年に中華人民共和国と国交を結んだ。

平壌宣言と拉致問題

 一方、北朝鮮と日本、北朝鮮と米国との国交正常化は、その後遅々として進まず、今日に至っても国交はない。だから6月12日に行われる米朝首脳交渉が、まさに歴史的な局面になるであろう。ここで本当にCVID、つまり完全にして不可逆的で検証可能な核放棄が本当に実現すれば、かなり難しいとは思うが、トランプ大統領はノーベル平和賞をもらうことになると思う。
 2002年9月17日に小泉総理が北朝鮮に行き、金正日と会談を行い、平壌宣言を出した。その時に5人の拉致被害者が帰ってきたことにより、北朝鮮は決着済みとしているが、当時は家族まで返すことができなかったので、家族を取り戻そうということになり、小泉総理が2004年5月に2回目の訪朝を行い、家族を連れて帰ってきた。
 私はこの4月30日から5月2日かけて訪韓し、文在寅とは会えなかったが、ナンバー2の国務総理と話しをした。その話のポイントの一つは、米朝会談で朝鮮半島の非核化、CVIDが合意できれば、北朝鮮の体制はアメリカから保障されるが、経済援助については北朝鮮と日本、アメリカ、韓国、中国、ロシアの6者協議が必要だということ。
 二つ目は、その際の日本の役割が重要だから、平壌宣言の再確認のための日朝首脳会談を行うべきであること。ただし拉致問題の解決を日本側は強く言うはずだが、拉致問題の解決を一応文在寅は提唱したが、金正恩は答えなかった、という話だった。
 以上の話から、私は平壌宣言が一つのキーワードであると考える。これには、「双方は、この宣言に示された精神および基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした」と書かれている。しかしその後、ただの一日も一秒も日朝正常化交渉は行われていないわけで、これが問題である。
 私は、実際に正常化交渉を行い、その中で拉致問題を再度取り上げたほうがよかったと思う。なぜ正常化交渉が行われなかったかというと、拉致被害者の12人が帰ってきていない。なかんずく横田めぐみさんが帰ってきていないということがあったからだろう。
 また、平壌宣言には日本の役割について書かれているが、一言でいえば戦時賠償を行うということである。その最後には、「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した」とあり、これはNPT(核拡散防止条約)などを含んでいると思う。さらに「また双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した」と書いてある。つまり核問題もここで話し合われることになった。その後、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降もさらに延長していく意向を表明した。
 さらに問題は、今後、平壌宣言に基づいて日朝交渉をしていこうとすると、北朝鮮は「拉致問題はすでに解決済みだ」と言い張ることだ。
 これから先、南北首脳会談があり、朝鮮戦争は終結宣言ではなく休戦協定になっているので、この秋には終結宣言を行おうという流れになっていく。その次に平和協定の段階、つまり国交正常化に向け、米朝平和条約と南北統一に向けた何等かの取り組みをやるように考えられる。その時に果たして日本と北朝鮮が、中曽根総理が御託されたように、CVIDが前提だが、同時並行的に日朝国交正常化ができるかどうかが重要だ。
 ただし日本が拉致問題にこだわった時には、もちろんこだわるには正当な理由があるが、それをもって日米間で足並みがそろわないことがあることを考えなくてはならない。
 これからの東アジア、北東アジアにおける日本の外交安保政策の中で、果たして日米同盟堅守ということを、外交三原則の第一における日本の外交としての立場で、果たしてそういうことができるかどうかである。
 また、朝鮮半島の非核化という言葉には、マジック的なところがあり、私も何回も北朝鮮で聞いたことがある。つまり「南側にも核がないことだ」と必ず言う。「南側に核があるわけないじゃないか」というと、「いや、在韓米軍がもっている。だから在韓米軍が撤退してくれ」と。
 北朝鮮からこの要求が今度も出ると思うが、在韓米軍が撤退したら日本の安全保障はおかしくなる。朝鮮半島は一気に中国と北の支配下に入ってしまうと思う。何しろ文在寅政権は非常に親北政権であり、非常に危ないことになりかねない。
 国際政治は中曽根流に言うと、「二眼レフで見なきゃいかん。北東アジアと中東だ」と。中東も今、アメリカはエルサレムに大使館を移し、緊迫した情勢がある。二眼レフで見なくてはいけないが、我々としては至近距離の朝鮮半島の問題を、当面どのようにクリアするかを考えなくてはならない、非常に重要な時期にきている。ややもすれば蚊帳の外に置かれがちな、日本の外交であると私は心配している。

今国会の3つの障壁をどう乗り越えるか

 最後に会場からの質問に答えたい。まず「平壌宣言は対話を前に出している書き方になっているが、そうすると安倍総理の立場を修正するのか、今のままがいいのか」という質問だが、安倍総理は最大限の圧力という方針を貫いてこられ、今も振り上げた拳をどうするかであると思う。しかし最大限の圧力を誰が加えるのかというと、それは国連決議であり、国連決議による制裁である。
 日本は北朝鮮に圧力を加える方策は、全てやってしまい、日本独自ではもはや方法はない。圧力を加えることができるのはアメリカと中国だ。やはり中朝貿易は北朝鮮の9割を占めている状況で、中国が油を止めない限り、北朝鮮の経済は逼塞しない。アメリカは軍事力、もちろん金融制裁との両方があるが、最終的には軍事力を行使する線が残っている。
 中国とアメリカ、この2つの国が圧力を行使できるわけで、そこが緩んでしまったら、日本はいくら言っても空振りにすぎない。ここに拉致問題を持ち込んでも、最大限の圧力と拉致問題は関係ないから、「それは日朝交渉でやりなさい」ということに必ずなると思う。
 もう一つの質問の「安倍政権をどう評価するのか」については、私は長い間歴代政権を見てきたが、安倍内閣の支持率はある程度は下がったが、まだ内閣支持率は比較的高いので、安倍総理の三選は現時点でいうと可能であろう。しかし三選されても、それ以上はないから、次の人が手を挙げておかないと、次の総理総裁の地位は取れない。今回名乗りを上げた人が、絶対に有利だと思う。
 また、安倍政権がどうなるかは、今国会にかかっているが、そこには3つの障壁がある。一つは6月12日の米朝会談。もう一つは、今国会で上程されている重要法案のうち、いわゆる働き方改革の法案と、言葉は悪いが賭博法案の、この2つの法案が成立を阻まれた時にどうなるかということだ。
 それからもう一つは、皆さんあまり気づいていないが、6月10日に新潟県知事選挙があり、保革の対決になっているが、この勝敗がこの時期にある唯一の国政選挙につぐような重大な意味をもった選挙であるということだ。この3つの障壁をすべて乗り越えれば、総裁選挙の結果はわからないが、総裁選挙まではおそらく大丈夫であろう。
 さらに自民党の支持率が下がらないことも、大きく影響している。これには2つの理由があり、一つは野党に替わるべき存在がいないことと、自民党に替わるべき存在がいるということだ。少なくとも石破氏、岸田氏、野田さんという存在がいることが、自民党の支持率が下がらない理由だと思う。自民党と内閣の支持率が並んだが、これが逆転すると内閣は危ないということである。

※講演の動画は「内外ニュースチャンネル」でご覧頂けます(会員専用)。

https://www.naigainews.jp/懇談会/懇談会動画/講演要約-山﨑氏/

また、要約は週刊「世界と日本」NO.2127号に掲載されます。

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