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内外ニュース懇談会 講演要約

講演
ウクライナ危機後の世界と日本

 

元防衛大学校校長・
兵庫県立大学理事長 五百旗頭 眞 氏

 内外ニュース創業50周年記念第2回東京懇談会10月例会は20日、ザ・キャピトルホテル東急で行われ元防衛大学校校長・兵庫県立大学理事長の五百旗頭眞氏が「ウクライナ危機後の世界と日本」と題し、プーチンの権威主義、対ロシア経済制裁の今後、日米安保の重要性と台湾有事などについての問題を幅広く提議、強く熱く語った。

(講演動画は内外ニュースチャンネルで会員限定でご覧になれます)。


市場経済と民主化の停滞とプーチンの権威主義

 今やロシア、北朝鮮、中国は武器を磨いて機会があれば使うぞという姿勢で迫ってくる状況で、本当に我々もしっかりと取り組まねばならない。

 ロシアは、ソ連時代から武力行使が好きで結局、それ以外に本当に強いものは少ない。ソ連崩壊で冷戦が終わり、市場経済と民主化を模索した。軍事しか大きな事をやった事がないロシアが戦後、市場経済と民主主義をこなせなかった。ローマは一日にして成らずです。エリツィンの時代、民主主義をジグザグしながら、うまくいかず、プーチンの権威主義に帰結した。

 ロシアのウクライナ侵攻時、私も世界も驚いた事が3つあり、1つは、ロシアは軍事強国ではなかったということ。ロシアがウクライナを一気に攻め落とすかと思われたが、意外なことにキエフすら取れない。ロシア軍は十分な指揮と訓練をされていなくて、戦車も次々と炎上されてしまった。2つ目は、ウクライナはずいぶん抵抗力があるということ。アメリカやNATO諸国からもらった小火器で、戦闘機、戦車が次々とやられたことがロシアはすごく痛手だった。3つ目は、トランプ時代に米欧の関係はガタガタで、米欧もNATOもバラバラで怖くないとプーチンは簡易に考えたかもしれないが、ウクライナ侵攻で逆に強く一体化し、厳しい経済制裁に米欧日が久々に結束した。

ロシア経済制裁の今後

 歴史上、経済制裁は効いた試しがない。対ロシア制裁は、国際金融活動を全部止めるという大変に厳しいものだ。だが、ロシアは、産業・経済が十分成長しきれてなく、自国の物を食べてかなり対応できるのかもしれない。大祖国戦争と思えば、2000万人死んでも頑張れる。米欧日が団結し厳しい経済制裁をかけたが、効くかどうか。かける側も劣らずつらい。

 サハリン1、サハリン2もそうだが、それ以上にヨーロッパがこの冬、暖房も苦しい、食料が値上がりする中、私たちの生活はウクライナ問題どころでないと悲鳴を上げて制裁を緩めれば、プーチンのやり得になる。まさにプーチンの狙いで、米欧は割れるとの期待が当たれば、世界は100年前のジャングルの掟に戻ることになる。

 ウクライナ侵攻には2つの戦場がある。1つ目は陣取りだ。ウクライナがだいぶ、取り返しても2割近く取られている。ロシアもウクライナも戦場の実績が戦後の境界線を規定するという厳しい現実を認識しているから、止められない。2つ目は、経済制裁でどちらが音を上げるかの戦場だ。ここでプーチンのやり得を許せば、戦後の秩序は大きく崩れる。

 今、中国が呼応し、台湾解放か尖閣奪取に出れば、世界は第三次世界大戦に向かうことになる。それだけにウクライナの戦場以上に経済制裁の効果が大きな意味を持つことになる。

ロシアと距離を置く中国の動き

 中国とすれば、中ロ一体と思われ、西側から一緒に制裁されたら困る。ロシアと違い、中国の産業社会は世界の市場経済に十分組み込まれている。中国は米欧日の厳しい経済制裁を見て、ロシアと距離を取るに至っている。アメリカとは、敵として経済制裁の対象になることは回避したいから対話もする。

 巨大帝国の人々が一番重視するのは強い政府で、その点ロシアも中国も同じ感情が強い。今年、出版された『毛沢東の強国化戦略』(山口信治 著:慶應義塾大学出版会刊)を見ると、軍の建設は着々と揺らぐことなく続いてきた事が分かる。中国軍は冷戦後40倍に国防費が上がっている。

 戦前の日本も含め、大軍拡をした国で使わずに済ませた国はない。軍が国家安全保障上いると言って、予算を多く獲って成果を出さないのは、説明がつかない。使って見せないと申し訳が立たない雰囲気がある。今、中国は人類史上、稀な大軍拡をやっているが、使わずにいられるのか。人類史的な大問題だ。

ペロシ氏の台湾訪問と習近平路線

 習近平が、経済の成り行きや米中関係を悪くしたということで、長老たちが少し抑えようと動けば、習近平も一定、従わざるを得ない雰囲気の中、習近平には幸運があった。米国連邦議会のペロシ下院議長が、台湾訪問を断行したことだ。

 習近平が、経済の成り行きや米中関係を悪くしたということで、長老たちが少し抑えようと動けば、習近平も一定、従わざるを得ない雰囲気の中、習近平には幸運があった。米国連邦議会のペロシ下院議長が、台湾訪問を断行したことだ。

 それに対し、習政権は台湾周辺を砲撃する軍事訓練をやり、日本のEEZ内にも撃ち込んだ。この反撃を中国は挙国一致で当然やるべき、よくやった、どんどん行けみたいな雰囲気になった。長老たちによる北戴)河(ほくたいが)の会議で習近平を抑えようという雰囲気は吹っ飛んだ。習近平は中国の立場を貫くしっかり者と評価され、習近平路線は益々強くなり、さらに5年、10年やる体制を今回の党大会で決めることになる。

日米安保の重要性と台湾有事

 日本が日米安保条約を大事にしたのは、とても賢明だった。
 今、日本は静かに、射程1500キロまでの中距離ミサイルを持たなくてはならない。持てば大体、日本のどこに置いても大陸の沿岸部まで届き、台湾海峡にも飛ばせる。中国が台湾を解放する直接行動を躊躇させる能力を日本も持っておかねばならない。日本の方から不用意に撃たないが、相手に下手な事はできないと思わせ、戦端(せんたん)を開かせないのが日本にとって一番大事だ。その備え、能力を日米でしっかり持つことだ。台湾に侵攻しようとしたら日米まで敵にしかねない厳しい対応力を持つことが大変だが、現在の中国の中近距離ミサイルの圧倒的優位を日米で中和するにはかなりの覚悟をもっての努力を要する。いずれにせよ、我々の運命を左右する重大な秋を迎えている。

講演動画は「内外ニュースチャンネル」でご覧いただけます。(会員専用)

動画 五百旗頭氏202210(会員専用) - 内外ニュースチャンネル (naigainews.jp)

講演要約は週刊「世界と日本」NO.2233号に掲載されます。

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